第2475回 欧州選手権予選で連勝スタート(2) モルドバ、アイスランドと対戦するメンバー
8年前の東日本大震災、3年前の平成28年熊本地震、昨年の平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■ランキングが大きく変わる欧州のトップレベル
昨年のワールドカップで優勝し、そして秋のUEFAネーションズリーグでグループ2位となり、欧州選手権予選で第1ポットとなったフランス、振り返ってみれば優勝した2018年ワールドカップは予選では第2ポットであった。この時は第1ポットは9チームであったが、連続して第1ポットに入っているチームはベルギー、オランダ、ポルトガル、イングランド、スペイン、クロアチアの6チームに過ぎない。欧州における代表チームの競争の厳しさを物語っている。
■アイスランド、トルコなどと対戦するフランス
そして抽選の結果フランスはグループHに入り、第2ポットからはアイスランド、第3ポットからはトルコ、第4ポットからはアルバニア、第5ポットからはモルドバ、第6ポットからはアンドラが同じグループに入った。
第2ポットのアイスランドはUEFAネーションズリーグでは最上位のリーグAで戦っており、全体のランキングでは12位である。ワールドカップ、欧州選手権とも予選敗退が続いたが、2016年の欧州選手権に出場して準々決勝に進出、そして2018年のワールドカップにも初出場を果たしており、近年最も力をあげた国と言えるであろう。同様に第4ポットのアルバニアも2016年の欧州選手権に初出場を果たしている。他方、第3ポットのトルコはかつては欧州で最弱国と見なされていたが、1990年代から台頭し、欧州選手権には1996年大会に初出場、ワールドカップも2002年大会で48年ぶりに出場する。さらに2008年の欧州選手権では準決勝に進出する。しかし、2010年代になって精彩を欠いていることは否めない。モルドバとアンドラは力がやや落ちるであろう。
フランスにとっては前回の地元開催で準優勝に終わったことから、今度こそ優勝を果たし、ワールドカップとの二冠を達成したい。そしてこの新方式を提唱したのは当時のUEFAの会長であったミッシェル・プラティニである。1984年の欧州選手権優勝時の主将、1998年のワールドカップの大会組織委員長を務めたプラティニは、現在はスキャンダルで活動停止となっているが、フランスの英雄のためにも優勝したいところである。
■ワールドカップ後の新メンバーの少ないフランス
UEFAネーションズリーグが行われたため、フランスのワールドカップ以降の親善試合は2試合のみ、さらにUEFAネーションズリーグは実力の均衡したチームとの試合であるため、簡単に選手をテストすることができなくなっている。ワールドカップ以降に代表の試合にデビューした選手はフェルラン・マンディ、アラッサン・プレア、タンギ・ヌドンベレの3人しかいない。
フランスは3月22日にアウエーでモルドバ、25日にホームのスタッド・ド・フランスでアイスランドと対戦する。ここで新戦力を試すかどうか、ファンは注目した。ディディエ・デシャン監督が発表したメンバーは驚きの少ないものとなった。
■驚きの少ない手堅いメンバー選考をしたディディエ・デシャン監督
GKはウーゴ・ロリス、スティーブ・マンダンダ、アルフォンス・アレオラ、DFはプレスネル・キンペンベ、ルカ・ディーニュ、バンジャマン・パバール、ジブリル・シディベ、ラファエル・バラン、サミュエル・ウムティティ、レイバン・クルザワ、クルト・ズーマ、MFはエンゴロ・カンテ、ブレーズ・マツイディ、ポール・ポグバ、ヌドンベレ、ムーサ・シソッコ、FWはアントワン・グリエズマン、フローリアン・トーバン、キリアン・ムバッペ、ナビル・フェキル、キングスレー・コマン、オリビエ・ジルー、アントニー・マルシャルである。
新顔はおらず、ワールドカップ後に加わったメンバーもヌドンベレのみである。最大の驚きは2017年11月以来1年4か月ぶりの復帰を果たしたクルザワである。また、バルセロナ(スペイン)に所属するウスマン・ダンベレは発表の直前にチャンピオンズリーグでリヨンに勝利したが、負傷したためメンバーから外れた。デシャン監督らしい手堅いメンバー選出となったのである。(続く)