第2483回 フランスカップ準決勝(1) 四強はパリサンジェルマン、リヨン、レンヌ、ナント
8年前の東日本大震災、3年前の平成28年熊本地震、昨年の平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■残るタイトルは国内のリーグとカップとなったパリサンジェルマン
前回までの本連載では今季最初のタイトルとなるリーグカップの決勝について取り上げた。ジャイアントキリングが続いたリーグカップはストラスブールがギャンガンにPK戦の末に勝利して3度目の優勝を果たした。
その決勝の直後にフランスカップの準決勝が行われる。2月末に準々決勝が行われ、ベスト4はリーグ戦の順位順にパリサンジェルマン、リヨン、レンヌ、ナントという顔ぶれになった。準決勝に臨む4チームを紹介しよう。
まずパリサンジェルマン、このところフランス国内では無敵であるが、チャンピオンズリーグでは今季もマンチェスター・ユナイテッド(イングランド)相手にホームの第2戦で大敗し、ファンの期待を裏切る結果となってしまった。そしてカップ戦のスペシャリストと言われつつも、5連覇中のリーグカップでは当時リーグ最下位のギャンガンに敗れてしまい、連覇がストップしてしまった。
しかし、リーグ戦では独走、4月初めの段階で2位のリールに勝ち点で20の差をつけており、優勝はほぼ確実である。そしてこのフランスカップでも4連覇を果たしており、5連覇に向けてここまで危なげなく勝ち残ってきた。チャンピオンズリーグで敗れたパリサンジェルマンにとって残るタイトルは国内のリーグとカップ、ファンにとってリーグ戦よりは4月初めの準決勝、そして4月27日の決勝戦の残るフランスカップの方が気にかかるであろう。
■2010年代はタイトルが遠いリヨン
続くリヨンもこの時点ではリーグ戦で3位、2位リールとは勝ち点の差は4である。2位になって来季のチャンピオンズリーグの本戦出場権を獲得したいところである。来季の応酬での戦いを考えるならば、ヨーロッパリーグの出場権が与えられるフランスカップの優勝よりはリーグ戦2位の方が価値があるが、タイトルは欲しい。2000年代にはリーグ7連覇を果たしたが、2010年代になってからのタイトルは2012年にフランスカップで優勝しただけにとどまっている。タイトルには届かなくとも安定して好成績を残してきたリヨンが2010年代最後のチャンスにかける思いは強い。
■今季ヨーロッパリーグで大活躍したレンヌ
レンヌはフランス国内では今季最も躍進したチームであると言えるであろう。国内リーグの成績はこの時点で10位であるが、今季はヨーロッパリーグに出場、チーム史上初めて年を越えて欧州カップで戦った。そして決勝トーナメント1回戦はスペインのベティスに対しホームの第1戦はドロー、アウエーの第2戦で勝利し、ベスト8決定戦に相当する2回戦に進出する。
2回戦の相手はイングランドのアーセナル、名門チームに臆することなく、ホームの第1戦で3-1と逆転勝利したものの、ロンドンでの第2戦は0-3と沈黙してしまい、2試合通算得点でベスト8への道を絶たれた。しかし、今季のフランス勢で最後まで残っていたのはパリサンジェルマンでもリヨンでもなくこのレンヌだったのである。今年のフランスサッカー界はジレ・ジョーンヌの影響を受けて大幅にスケジュールが乱れ、レンヌは年明けからは週の半ばに延期されたリーグ戦、ヨーロッパリーグ、フランスカップ、リーグカップの試合を戦い、ほとんど週2試合のペースが続いたが、フランスカップはくじ運にも恵まれた。これまで1部勢との対戦はベスト8決定戦のリール戦だけ、この試合は後半に先制されたが終盤に追いつき、アディショナルタイムに逆転ゴールを決めて勝ち抜いた。
■エミリアーノ・サラを飛行機事故で失ったナント
最後は15位のナント、かつての名門チームも今世紀に入ってからは精彩を欠く。2001年に今世紀初のリーグチャンピオンになったのが唯一のタイトルである。欧州の舞台へもリーグチャンピオンの翌年に出場したのが最後である。そして今季は悲報に包まれた。本連載第2449回で紹介したとおり、ナントに所属し、ウェールズのカーディフに移籍したエミリアーノ・サラが飛行機事故で死亡した。その後、リーグ戦では2勝1分4敗と苦戦したが、フランスカップでは3連勝、サラに栄冠を捧げたいとバヒッド・ハリルホジッチ監督以下は意気込んでいるのである。(続く)