第2494回 レンヌ、フランスカップを制す(2) パリサンジェルマン相手に闘志を燃やすハテム・ベンアルファ
8年前の東日本大震災、3年前の平成28年熊本地震、昨年の平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■最後のジャイアントキリングなるかレンヌ
今季のヨーロッパリーグではフランス勢として最後まで戦い、クラブ史上最高の欧州での成績を残したレンヌ、ファンのボルテージも高く、48年ぶりの優勝に向けて意気が上がる。レンヌのここまでの道のりであるが初戦となるベスト32決定戦は2部のブレストとのブルターニュ決戦となり、PK戦の末、競り勝っている。ベスト16決定戦はN2のチームに勝利し、最大の苦戦となったのがベスト8決定戦であった。リーグ2位のリールとホームで対戦、後半に入って65分にニコラ・ペペに先制ゴールを許してしまう。しかし、レンヌはここから挽回、ジョルダン・シエバチュが2点を奪い、逆転勝ちする。しかしシエバチュはその直後に行われたリーグ戦のサンテチエンヌ戦で負傷し、長期離脱を余儀なくされ、フランスカップの決勝にも出場できない。準々決勝は2部のオルレアン、準決勝はリヨンを破り、決勝進出している。リーグ戦順位で2位のリール、3位のリヨンを破っており、リーグ戦の順位だけ見れば中位のレンヌはジャイアントキリングを繰り返している。残るは首位のパリサンジェルマンだけとファンも気勢を上げる。
■パリサンジェルマンのローラン・ブラン監督が獲得したハテム・ベンアルファ
そして、忘れてはならないのがレンヌのエースとなったハテム・ベンアルファである。本連載ではレンヌの活躍のたびに紹介してきたが、その才能から来るグラウンド内外の態度がこれまでのクラブではたびたび問題になってきた。そしてベンアルファを最後に放出したチームがパリサンジェルマンに他ならない。2004年に15歳でリヨンとプロ契約を結び、アンダーエイジの代表を支えたベンアルファもトップレベルのクラブあるいはフル代表では先述の理由で評価されたとはいえず、それゆえに成果も残すことができなかった。 そのベンアルファがトップレベルで初めて輝いたのが2015-16シーズンに所属したニースでの1年である。ほぼ全試合に出場し、17得点、古豪ニースをリーグ4位に導く活躍を見せた。この活躍に対し手を差し伸べたのが当時パリサンジェルマンの監督であったローラン・ブランであった。ニースのファンから惜しまれつつ、首都のビッグクラブに移籍したベンアルファであった。
■パリサンジェルマン移籍後は冷遇されたベンアルファ
しかし、ベンアルファを獲得したブラン監督が去り、新監督はウナイ・エメリが就任する。ベンアルファは起用されないどころか、同じ攻撃陣にネイマール、キリアン・ムバッペというビッグネームをかなり無理をした形で獲得する。ベンアルファにはポジションはなく、自らパリを去る意思を見せ、レンヌに都落ちしたわけである。しかし、今季のレンヌの躍進はベンアルファ抜きには語れない。得点数はここまで9得点とそれほど多くないがトプしたとして攻撃を支え、そのドリブルは脅威である。
■負傷から復帰したネイマールが先発出場
一方のパリサンジェルマンであるが、今年になってからの失速は負傷者によるところが多い。特にネイマール、エディンソン・カバーニの離脱は大きかった。その2人が復帰の兆しを見せたのが4月21日、優勝が決定したモナコ戦に2人はベンチ入りする。ネイマールは後半開始時から出場し、優勝に花を添えた。その1週間後に行われるフランスカップの決勝戦で2人が復帰することになった。
パリサンジェルマンの先発メンバーの攻撃陣は中央にムバッペ、右にアンヘル・ディマリア、左にネイマールという布陣である。エディンソン・カバーニはベンチスタートであるが、負傷による欠場はトマ・ムニエとティロ・ケーラー飲み、それにクラブとの関係がもつれているアドリアン・ラビオが外れているだけであり、パリの隣町サンドニのスタッド・ド・フランスのファンに今季のふがいなかった戦いを忘れさせるゲームを見せたいところである。
一方、自らのポジションを奪ったネイマールとムバッペの先発出場にベンアルファは並々ならぬ闘志を見せるのである。(続く)