第2496回 レンヌ、フランスカップを制す(4) レンヌ、12年ぶりのPK戦を制し優勝
8年前の東日本大震災、3年前の平成28年熊本地震、昨年の平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■12年ぶりのフランスカップ決勝のPK戦
3か月ぶりに先発出場となったネイマールの活躍により、前半の早い時間帯に2点をリードしたパリサンジェルマンであるが、前半のうちにオウンゴールで1点差に詰め寄られ、そして後半に追いつかれる。9年ぶりの延長戦に突入する。9年前の決勝はパリサンジェルマンとモナコの間で行われ、延長前半の終了間際にギヨーム・オアロのゴールでパリサンジェルマンが優勝している。しかし、今回の延長戦では両チーム無得点、そのかわりに激しいイエローカードの応酬となり、終了間際にはキリアン・ムバッペがレッドカードで退場となる。そして試合はPK戦となる。フランスカップの決勝がPK戦となるのは2007年のソショー-マルセイユ戦以来12年ぶりのことである。この時はソショーがPK戦を制し、70年ぶり2回目の優勝を果たしている。
■国内カップ決勝では22年ぶりのダブルPK戦
今回のフランスカップであるが、パリサンジェルマンはPK戦の経験はないが、レンヌは初戦となるベスト32決定戦で2部のブレスト相手にPK戦となり、勝ち抜いている。またレンヌはリーグカップで準々決勝のモナコ戦でPK戦となっている。この時は11人目までもつれ込み、最後のキッカーとなったGKのトーマシュ・クーベックが外して敗退している。今年はリーグカップ決勝のストラスブール-ギャンガン戦もPK戦となっている。フランスカップとリーグカップの決勝の両方がPK戦となったのは1997年の、フランスカップのニース-ギャンガン戦、リーグカップのストラスブール-ボルドー戦以来のことである。この年はフランスカップ、リーグカップの決勝がパルク・デ・プランスで行われた最後の年であった。それ以来22年ぶりの国内カップ戦決勝のダブルPK戦となったわけである。
■6人全員成功させたレンヌ、6人目が外したパリサンジェルマン
PK戦の先蹴はレンヌ、最初のキッカーはエンバイ・ニアン、左隅に決める。パリサンジェルマンの最初のキッカーはエディンソン・カバーニ、負傷で戦線を離脱していたが、この試合は延長開始時にユリアン・ドラクスラーに代わって出場している。試合から離れていたカバーニに第1キッカーを任せることを不安に思うまなざしもあったが、左側に決めてまずは両チーム1本ずつ成功させる。その後レンヌはハテム・ベンアルファ、クレマン・グルニエ、ジェームズ・レア・シリキ、ラミ・ベンセバイニと決めて5人全員が成功、そしてパリサンジェルマンもダニエウ・アウベス、レアンドロ・パレデス、フアン・ベルナト、ネイマールが決めて両チームとも5人ずつきれいに決めて、サドンデス形式の6人目となる。
レンヌの6人目はイスマエル・サール、左側に決める。そしてパリサンジェルマンの6人目はクリストファー・エンクンク、力強く蹴ったボールはバーの上を通り過ぎて行った。この瞬間にレンヌの48年ぶりの優勝が決まった。
パリサンジェルマンは圧倒的にボールを支配し、枠内シュート数12でありながら、枠内シュート数2のレンヌに追いつかれ、地元と言えるスタッド・ド・フランスで地元ファンの前でPK戦で敗れるという悲劇的な幕切れとなった。
■5年ぶりにフランスカップ優勝チームとしてヨーロッパリーグに出場するレンヌ
また、レンヌはこの勝利によりフランスカップ勝者として来季のヨーロッパリーグに出場する。このところフランスカップはリーグで優勝争いをしていたパリサンジェルマンが4連覇していたため、フランスカップの優勝チームとしてヨーロッパリーグに出場するのは2014年のギャンガンが最後、すなわち前回レンヌが決勝に進出して敗れた相手以来のフランスカップ優勝チームのヨーロッパリーグ出場となる。
そして、フランスカップだけではなくリーグカップも現在リーグ中位以下のストラスブールが優勝しているため、リーグ戦上位のチームに与えられるヨーロッパリーグのチケットは1枚だけ、リーグ4位チームのみに与えられる。このフランスカップ決勝が行われた週末にもリーグ戦が行われており、サンテチエンヌ、マルセイユ、モンペリエが4位争いをしているのである。(この項、終わり)