第2505回 フランスリーグファイナル(7) 5位のRCランスが入替戦へ
8年前の東日本大震災、3年前の平成28年熊本地震、昨年の平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■3位トロワ、4位パリFC、5位RCランスの争うプレーオフ
フランスリーグ2部は優勝したメッスと2位のブレストが1部に昇格、3位トロワ、4位パリFC、5位RCランスの3チームで1部18位のディジョンとの入替戦の出場権争いを行うこととなった。まず、入替戦の前にプレーオフが2試合あり、4位のパリFCがホームで5位のRCランスと対戦し、この勝者が3位のトロワの本拠地に乗り込む。この勝者がディジョンとのホームアンドアウエーの入替戦に臨む。
■リーグ最少失点を誇るパリFC
プレーオフの第1戦、パリFC-RCランス戦はリーグ戦が終了した4日後の5月21日にパリのシャルレティ競技場で行われた。パリのペリフェリック沿いには多くのスポーツ施設が並んでいるが、パルク・デ・プレンスを除くと最も大きいのがこのシャルレティ競技場であり、サッカー、ラグビーなどの球技以外にも陸上競技も行われている2万人収容の競技場であり1994年に完成した。1960年代末にパリから1部リーグのチームがなくなった際に作られたパリFCも、1部に所属したのは3季のみ、1980年代以降は下位低迷が続き、プロチームではなくなり、一時は4部相当まで落ちている。しかし2015年には33年ぶりに2部に復帰、プロのステータスを取り戻し、今季は4位になった。38試合で22失点というリーグ最少の守備の強さがセールスポイントである。対するRCランス、第二次世界大戦後は一時期を除いて1部に在籍し、1997-98シーズンはリーグ初優勝を飾る。ところが2008年に2部に降格するとその後は1部と2部の往復、特に2015-16シーズンからは4季連続で2部生活、2016-17シーズンは4位になったがこの時は4位チームには入替戦への道はなかった。今季は終盤に3連勝し、プレーオフのチケットをつかんだ。
■PK戦を制したRCランス
パリFCはホームでは強く、また、リーグ戦でのRCランスとの対戦は1勝1分、しかし、ランスからのファンも数千人がパリに移動し、競技場はほぼ満員となる。試合はRCランスが16分に先制する。このまま逃げ切るかと思われたが、後半のアディショナルタイムにパリFCが追いつき、試合は延長戦となった。延長戦でも決着がつかず、最後はPK戦となる。パリFCは3人目が失敗、一方のRCランスは5人全員が成功させ、堅守のパリFCを退けてRCランスはトロワとのプレーオフ第2戦に臨むことになったのである。
■トロワにRCランスが入替戦へ
フランス東部のトロワ、プチバトー、ラコステというフランスを代表するアパレル企業の工場や本社のある都市であるが、第二次世界大戦では激戦地となった。アンドゥイエットという豚の腸詰でグルメの世界では有名である。
伝統ある都市のトロワのチームは紆余曲折があり、現在のESTACといわれるチームの誕生は1986年のことである。6部相当のリーグからスタートし、10年後の1996年に2部に昇格、リーグ戦こそ20位であったが、フランスカップでは準々決勝に進出する。1999年には初の1部昇格、昇格2季目と3季目にはクラブ史上最高の成績となる7位に入り、UEFAカップ、インタートトという欧州の舞台で戦っている。しかしその後は1部と2部の往復が続く。
トロワは後半戦の成績が良く、2月8日にパリFCに敗れたのを最後に無敗を続けている。一方のRCランスは死闘の3日後にはトロワに移動して戦うことになるが、疲労もものともせず、開始早々の3分には先制点をあげる。RCランスはパリFC戦に続いて先手を取る。試合は激しく、荒れ気味となり、40分にはPKの判定を巡って主審への抗議をしたRCランスの選手が退場処分となる。トロワはPKを成功させて追いつき、数的優位に立つ。
しかしトロワは勝ち越し点を奪えず、逆に67分に2枚目のイエローカードで退場者を出し、10人対10人の戦いとなる。試合は多数の負傷者を出すものの、両チーム得点なく、延長戦となる。疲労がたまっているRCランスであったが、延長後半の108分にRCランスはシモン・バンザが勝ち越しゴールをあげ、2部の代表となったのである。(続く)