第2514回 グループリーグを首位で突破(1) 開幕戦で韓国に圧勝
8年前の東日本大震災、3年前の平成28年熊本地震、昨年の平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■過去最高の順位は4位、地元開催で優勝を狙うフランス
1991年に始まった女子ワールドカップ、8回目にしてフランスが開催国となった。開催国としてフランスが優勝した大会として今でもサッカーファンの脳裏に焼き付いているのは1984年の欧州選手権、1998年のワールドカップである。21世紀に入ってからは2016年の欧州選手権、競技は違うが2007年のラグビーワールドカップと優勝を逃している。フランスの世界ランキングは4位、これまでのワールドカップでの最高順位と同じであり、地元開催の風に乗って優勝したいところである。
■女子代表史上で国内では最多の観衆が集まったパルク・デ・プランス
6月7日、パルク・デ・プランスでの開幕戦にフランスは登場する。コリン・ディアクル監督就任以来、フランスは親善試合を23試合こなし、その戦績は17勝3分3敗である。このところ主役をスタッド・ド・フランスに奪われたパルク・デ・プランスであるが、この日は45,261人の観衆が集まった。これはフランス国内における女子代表の試合としてはこれまでの24,835人を大きく更新する新記録となった。これまでの記録は3年前の6月、レンヌのロアゾン・パークで行われた欧州選手権予選のノルウェー戦である。なお、本連載の古くからの読者の方であれば、2000年8月16日に男子のフランス代表とFIFA選抜がマルセイユで戦った際の女子の代表チームが前座試合に登場したことをご存じであろう。この時の観衆は5万人と言われているが、女子代表単独の試合ではないことから外している。
■本大会招致で敗れた韓国、アジア第5代表として本大会出場
さて、対戦する韓国については日本の読者の方は良くご存じであろうが、2019年の本大会開催をフランスと争った国である。その両国が開幕戦で対戦するとはなんの因果か。韓国はワールドカップ予選となった昨年のアジアカップではグループリーグで豪州、日本、ベトナムと対戦、豪州、日本、韓国が1勝2分、すなわち、ベトナム戦以外は引き分けるという大混戦となる。豪州-日本戦は1-1であったが、韓国は豪州戦、日本戦ともスコアレスドローのため、3位となってしまう。決勝トーナメント進出は逃したが、アジアから5チームがワールドカップに出場できるため、アジア5位の座をかけてフィリピンとプレーオフを戦い、5-0と完勝してアジア第5代表となり、招致レースで敗れたリベンジを果たそうとフランスに乗り込んだのである。
■負傷者も復帰、ゴールラッシュで圧勝する
一方、フランスは前回の本連載で心配された負傷者が戻ってきた。初めてのフランス国内でのワールドカップの初戦、先発メンバーはGKはサラ・ブハディ、DFは右からマリオン・トラン、グリエッジ・ムボック、ウェンディ・ルナール、アメル・マジリ、守備的なMFはエリーズ・ビュサグリアとアマンディーヌ・アンリ、攻撃的なMFは右にデルフィン・カスカリノ、左にユージェニ・ルソメ、中央のトップ下にガエタン・ティネ、1トップはカディディアトゥ・ディアニという布陣である。ルソメ、アンリ、マジリの3人が上下青のユニフォームでピッチに立ち、キャプテンマークはアンリが付ける。
試合はフランスが立ち上がりから見事な試合運びをする。スコアは9分に動いた。中盤でアンリが韓国からボールを奪い、ディアニとパス交換し、アンリがクロスをあげる。ペナルティスポット付近で待っていたのがルソメ、右足で先制点をあげる。代表で75得点目となるルソメのゴールがファンファーレとなり、35分は右サイドからのティネのCKをファーポストで待ち受けていたストッパーのルナールがヘディングで2点目を決める。さらにルナールは前半のアディショナルタイムにも逆の左サイドのCK、マジリが蹴ったボールをまたヘディングで決める。前半でフランスは3点をリードする。パスをつないだフランスはボール支配率で上回っただけではなく、高さでも韓国を圧倒し、競り合いに勝ち、枠内シュート数では大きな差がついた。
フランスは85分にもルソメのパスをアンリが決めて4-0、過去のワールドカップの開幕戦では第1回となる1991年大会のチリ-中国戦以来の大差で勝利をあげたのである。(続く)