第2519回 最大の強敵、米国と対戦(1) グループリーグで圧倒的な強さを見せた米国
8年前の東日本大震災、3年前の平成28年熊本地震、昨年の平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■6グループ中5グループは首位通過は3戦全勝
前々回と前回の本連載では決勝トーナメント1回戦のブラジル戦について紹介したが、各グループリーグの結果と決勝トーナメント進出チームを紹介しよう。
各グループの決勝トーナメント進出チームであるが、グループAは首位フランス(勝ち点9)、2位ノルウェー(6)、3位ナイジェリア(3)、グループBは首位ドイツ(9)、2位スペイン(4)、3位中国(4)、グループCは2勝1敗で並んだ首位イタリア、2位豪州、3位ブラジル、グループDは首位イングランド(9)、2位日本(4)、グループEは首位オランダ(9)、2位カナダ(6)、3位カメルーン(3)、グループFは首位米国(3)、2位スウェーデン(6)となっている。3チームが勝ち点6で並んだグループC以外は首位通過のチームは3連勝、これらのチームが決勝トーナメントでも勝ち進むであろう。
■首位通過チームが決勝トーナメント1回戦を通過
決勝トーナメント1回戦では首位通過のチーム同士の対戦はなく、フランスが3位通過のブラジルを延長戦で下した以外は、ドイツはナイジェリアに3-0、イタリアは中国を2-0、イングランドはカメルーンに3-0、オランダは日本に2-1、米国はスペインに2-1と首位通過のチームはすべて勝利している。
そして準々決勝から首位通過同士のチームの対戦が始まる。それがフランス-米国戦、オランダ-イタリア戦である。それ以外の準々決勝はイングランド-ノルウェー戦とドイツ-スウェーデン戦である。
■タイ相手に新記録の13得点を奪った米国
米国は世界ランキング1位、今大会でも優勝候補の筆頭である。第1回大会から8大会連続出場であり、これまで7回の大会で3位以上という成績を残している。前回大会を含み、これまでに3回の優勝を誇る。オリンピックでも女子サッカーが採用された1996年アトランタ大会以降6大会すべてに出場、優勝4回、準優勝1回、ベスト8が1回である。女子サッカーにおいて最も成功している代表チームであることに異議はないであろう。
今大会でもグループリーグの初戦で世界を驚かせた。米国の初戦の相手はタイ、伸長著しいアジアのチームで、フランスも開幕前に戦い、3-0と勝利している。このタイ相手に米国は前半に3点、後半に大量10点を奪い、13-0と大勝している。これはワールドカップ、オリンピックの本大会における最多得点、最多得点差試合である。タイ戦のフランスが控えメンバー中心であったとはいえ、驚異的な得点力である。米国の第2戦の相手はチリ、初戦のスウェーデン戦で敗れたとはいえ、80分過ぎまでは0-0と粘りを見せていた。このチリ相手に前半に奪った3点を守りきり、連勝し、決勝トーナメント進出を決める。
■首位をかけたスウェーデン戦で強さを見せつける
そして第3戦は2勝同士のスウェーデンとの戦いとなる。このグループFは首位通過であれば準々決勝でフランス、2位通過であれば準々決勝でドイツとの対戦が予想される。米国はメンバーをあまり入れ替えなかったが、スウェーデンは大量に選手を入れ替えて優勝候補との試合に臨んだ。両チームは双方とも勝利を目指して激しい試合となった。特に米国に関してはタイ、チリと実力差の離れた相手との試合が続いたこともあり、世界ランキング9位のスウェーデンとの戦いでその真価を今大会で初めて見せる機会となった。
開始早々の3分に米国はリンゼイ・ホランが先制点をあげる。その後も米国は安定した試合運びでピンチらしいピンチを迎えることなく前半を終える。主将のアレックス・モーガンが膝を痛めてハーフタイムで退くというアクシデントがあったが、後半にも立ち上がりの50分に相手のオウンゴールで追加点をあげる。米国はスウェーデン相手に2-0で勝利し、首位通過となる。米国はグループリーグ3試合で18得点、無失点と強さを改めて見せつけたのである。(続く)