第2521回 最大の強敵、米国と対戦(3) 米国に力負け、準々決勝で敗退
8年前の東日本大震災、3年前の平成28年熊本地震、昨年の平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■今大会最後のパリでの試合
準々決勝は7月27日から始まり、2番目の試合としてフランスは米国と対戦する。会場はパリのパルク・デ・プランス、今大会はスタッド・ド・フランスを使用しないためイール・ド・フランスといわれるパリ並びにその近郊地域では唯一の試合会場である。また、マルセイユのベロドローム競技場も使用しないため、今大会では準決勝以降の試合を行うリヨンのパルク・オランピック・リヨネに次いで2番目に大きな収容人員を誇る。今大会ではグループリーグは開幕戦のフランス-韓国戦を含む5試合、決勝トーナメントでは1回戦と準々決勝それぞれ1試合ずつ、合計7試合を行う。このフランス-米国戦が今大会最後のパリでの試合となる。
■過去の戦績は米国が圧倒するが、直近3試合はフランスが2勝1分
ドナルド・トランプ大統領との確執はあるものの、今大会でも圧倒的な強さを誇っている米国女子代表、フランスとの過去の戦績でも、米国の17勝3分5敗という成績を残している。ワールドカップでも日本が優勝した2011年のドイツ大会の準決勝で3-1と勝利している。オリンピックでも2回対戦し、2回とも米国が勝利している。
しかし、フランスのファンは希望を持っている。それは2016年のオリンピックで敗れてからは年に1回、合計で3回親善試合で対戦しているが、フランスが2勝1分と負けていないのである。直近の対戦は今年1月のルアーブルでの試合、米国の反撃を後半のアディショナルタイムの1点に抑え、フランスは3-1と勝利している。
■決戦に臨む両国の選手
パルク・デ・プランスは開幕戦を上回る45,595人の観衆が集まり、上から下まで白いユニフォームの米国と同じく青一色のフランスの柔道のような試合を見守った。
フランスはブラジル戦は2トップで臨んだが、1トップに戻す。フランスの先発メンバーは、GKはサラ・ブハディ、DFは右からマリオン・トラン、グリエッジ・ムボック、ウェンディ・ルナール、アメル・マジリ、守備的なMFはエリーズ・ビュサグリアとアマンディーヌ・アンリ、攻撃的なMFは右にカディディアトゥ・ディアニ、左にユージェニ・ルソメ、中央のトップ下にガエタン・ティネ、FWはバレリー・ゴーバンという布陣で主将はアンリが務める。
一方の米国はGKはアリッサ・ナーハー、DFは右からケリー・オハラ、アビー・ダルケンパー、ベッキー・サウアーブラン、クリスタル・ダン、MFは中央の低い位置にジュリー・エルツ、右にローズ・ラベル、左にサマンサ・ミュイス、FWは3トップで右にトビン・ヒース、左にミーガン・ラピノー、中央のアレックス・モーガンが主将を務める。
■エースのミーガン・ラピノーの2ゴールで米国が準決勝進出
フランスのキックオフで始まった試合であるが、1分経過したところで米国はエルツがシュートする。今大会の米国は前半の早い時間帯に先制点を奪って試合を決めるパターンが多いことはフランスの守備陣もよくわかっている。4分には危険な位置でムボックが米国のエースのモーガンを倒し、早くもイエローカード、そして米国は好位置でFKを得る。このFK、ゴール前20メートルの所にボールを置いたのはラピノーである。ラピノーの蹴ったボールにムボックもブハディも反応したが、届かず、フランスはこの大会はじめて先制を許す。
フランスはボール支配率では米国を上回るものの、攻撃を組み立てることができず、結局前半は枠内シュート無しに終わり、エンドが入れ替わる。
後半もフランスのボール支配は続き、ようやくシュートが枠内に飛ぶようになる。しかし、前がかりになったところで米国のカウンターアタックによる追加点を許す。65分に米国のペナルティエリア内でルナールと競り合ったボールをヒースが奪い、そのまま前進し、ファーサイドにクロスをあげ、そこにいたラピノーが右足で決める。
フランスも81分にはゴール前のFKでティネからのボールを高さで勝負したルナールが決めて1点差に迫り、さらに86分、攻め上がったマジリがクロスをあげる。このボールが米国のオハラの腕に当たったが、ウクライナ人の主審は笛を吹かない。数日前のオランダ-日本戦で、熊谷紗希がハンドを取られたのとは対照的な判定であった。
5分のアディショナルタイム、パルク・デ・プランスの大声援もかなわず、フランスは1-2で敗れ、準々決勝で夢は終わったのである。(この項、終わり)