第2530回 ラグビーワールドカップに向けて代表候補発表 (1) メンバーから外れたマチュー・バスタロー

 8年前の東日本大震災、3年前の平成28年熊本地震、昨年の平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■6月に試合がなかったラグビーのフランス代表

 前回までの本連載では来年の東京オリンピックの予選を兼ねた女子のワールドカップと男子の21歳以下の欧州選手権を紹介してきた。オリンピックの出場権を獲得したのは男子がスペイン、ドイツ、ルーマニア、フランス、女子はオランダ、イングランド、スウェーデン、男女のアベック出場を決めた国はなかった。
 今年は奇数年であり、ワールドカップ、欧州選手権の本大会がない。通常は奇数年の6月のスポーツシーンの主役はローラン・ギャロスからウィンブルドンに移行するテニス、そしてラグビーの代表チームの南半球遠征であるが、今年はワールドカップがあるため、この時期に試合が行われず、その分、ファンの関心は男女のサッカーに集まった。

■ファンの期待も低い現時点の代表、31人プラス6人を発表

 ワールドカップを控えるラグビーであるが、ファンの期待は高くない。このところの代表チームの不振を考えれば無理もない。さらに本大会では欧州の強豪イングランド、相性の悪いアルゼンチン、成長著しい米国、常連国のトンガと対戦する。決勝トーナメント進出を危ぶむファンが多数派である。
 ジャック・ブルネル監督も現状認識をしており、このワールドカップで勇退することを明らかにしている。ワールドカップに向けて出場各国は6月に候補メンバーを発表したが、フランスも6月18日に候補メンバー31人、バックアップメンバー6人の合計37人を発表した。
 メンバーを紹介するとプロップはジェファーソン・ポワロ、ダンバ・バンバ、ダニー・プリゾ、エメリック・セティアノ、ラバ・スリマニ、フッカーはカミーユ・シャ、ギエーム・ギラド、ペアト・モーバカ、ロックはポール・ガブリヤーグ、フェリックス・ランベイ、ベルナール・ルルー、セバスチャン・バーマイナ、バックローはグレゴリー・アルドリット、ヤクーバ・カマラ、アルツール・イトゥリア、ベンセラス・ローレ、ルイ・ピカモール、スクラムハーフはアントワン・デュポン、マキシム・マシュノー、バティスト・サラン、スタンドオフはカミーユ・ロペスとロマン・エンタマック、センターはガエル・フィクー、ウェスレイ・フォファナ、ジョフレイ・ドゥーマイルー、ソフィアン・ギトゥン、ウイングはヨアン・ウジェ、ダミアン・プノー、アリベルティ・ラカ、フルバックはマキシム・メダール、トマ・ラモスの31人である。
 また、バックアップメンバーであるが、プロップのエチエンヌ・ファルグー、ロックのポール・ウィレムス、フランカーのフランソワ・クロとシャルル・オリボン、スタンドオフのアントニー・ベロー、ウイングのバンサン・ラッテの6人である。

■副将のマチュー・バスタローがメンバーから外れる

 ブルネル監督は負傷者でなければ、このメンバーで本大会に臨むとしているが、本連載の読者の皆様であれば驚きが2つあるであろう。まずは今春の6か国対抗でも副将として活躍したマチュー・バスタローの名前がないことである。バスタローは1メートル83センチ、126キロの大型センターであり、その突破力は世界屈指であり、18歳でフランス代表入りしている。不祥事もあり、代表から離れていたが、昨年2月の6か国対抗の最終戦で代表に復帰、以降は副将としてチームを支えてきた。主将のギラドは自らを支えてきてくれたバスタローの落選を悲しんでいる。そしてファンも規格外の選手の不在に失望している。

■代表初選出が37人中4人を占める

 もう1つはこの中に代表初選出がセティアノ、モーバカ、ラカの3人、バックアップメンバーにクロ、合わせて4人いるということである。この春の6か国対抗で初めて代表入りした選手が5人いたが、そのうちの4人はワールドカップの候補メンバーになっている。新人の抜擢そのものは悪くないが、なぜこの時期になっての初選出か、という疑問詞はついてしまうのである。(続く)

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