第2549回 日本行きの31人のメンバー決定(4) 壮行試合は7トライをあげイタリアに大勝

 8年前の東日本大震災、3年前の平成28年熊本地震、昨年の平成30年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■スタッド・ド・フランスでのラグビーの試合の観客動員のワースト記録

 観客数わずか3万人のスタッド・ド・フランス、1998年に完成してからフランスのサッカーとラグビーの代表戦のメインスタジアムであった。ラグビーの試合としては今までにない少ない観客数であった。代表戦でのこれまでのワースト記録は本連載第2441回で紹介したとおり2012年11月24日のサモア戦の3万6500人である。サモアはティア2であるが、イタリアはティア1のチームであり、これはショッキングであった。前回のワールドカップが行われた4年前を振り返ってみるとスタッド・ド・フランスでスコットランド戦が行われ、4万8000人が集まっている。
 成績の低迷、相次ぐ内紛により、ファンは代表離れを起こしており、昨年の秋に南半球勢を迎えて行われたテストマッチでも南アフリカ戦には5万人しか集まらなかった。 今回のワースト記録はフランスだけが問題ではなく、相手がイタリアであったことにも原因がある。6か国対抗では最下位が指定席となり、特にアウエーでの試合には弱い。過去13回の国外での試合で勝利したのは昨年6月の神戸での日本戦だけである。

■ほとんどが国内のクラブに所属するイタリア代表

 スタッド・ド・フランスに白のジャージで姿を現したイタリアの先発メンバーはシモーネ・フェッラーリ、ルーカ・ビージ、マルコ・リッチョーニ、アレッサンドロ・ザンニ、ルッツァ、ブラーム・ステイン、ジェイク・ポッレドリ、セルジオ・パリッセ、ハーフ団はティト・テバルディ、トンマーゾ・アラン、スリークォーターバックスはマッテーオ・ミノッツィ、ルカ・モリージ、ミケーレ・カンパニャーロ、マティア・ベッリーニ、フルバックはジェイデン・ヘイワードというメンバーである。かつてはフランスのクラブに所属している選手が多かったが、この日の先発メンバーにはトゥーロンに所属している主将のパリッセだけである。イングランドのクラブに所属している選手も3人のみ、それ以外は国内組であり、8人はベネトンに所属している。

■遠征トライをあげ、逆転されるが、ペナルティトライで再逆転

 キックオフ直後からフランスは猛攻を仕掛けた。ルイ・ピカモールの前進を起点にラインアウトを獲得。カミーユ・シャは最初のセットプレーを確実に決め、ロマン・エンタマック、ウェスレイ・フォファナとつなぎ、最後は右ウイングのヨアン・ウジェが左隅に先制トライをあげる。
 追加点の奪えないフランスに対し、20分にイタリアはペナルティキックからパリッセが持ち込み、ベッリーニにパスをしてトライ、アランがゴールも成功させ、イタリアが逆転する。スタッド・ド・フランスにはため息が漏れるが、流れが変わったのはその直後であった。23分に自陣ゴール前でガエル・フィクーがインターセプトしアントワン・デュポンにパス、ロングゲインしたデュポンはウジェにパスし、ウジェはドリブルでゴールラインに近づく。この時、ウジェはイタリアのベッリーニにタックルされ、ビデオ判定の結果、決定機におけるノーボールタックルということでペナルティトライがフランスに与えられた。
 12-7と逆転したフランスはイタリアに対しFW戦で劣勢になったが、得点を重ねた。31分にはイタリアのゴール前のラインアウトからモールを押し込んでスローワーのシャがトライをあげ、ジャック・ブルネル監督の選手起用が的中する。エンタマックはこの日初めてキックを成功させ、19-7とリードを広げてハーフタイムを迎える。

■後半はトライの奪い合い、前後半で7トライのフランスが大勝

 後半立ち上がりには、相手の反則を誘い、タッチキックで敵陣深くに攻め込む。ここからスクラムハーフのデュポンがビデオ判定の結果トライが認められ、難しい角度からエンタマックがゴールを成功させ24-7となる。ここからは大味な試合となり、トライの奪い合いとなる。フランスは46分にはアルツール・イトゥリアが代表での初トライをあげる。イタリアも51分にはトライで反撃するが、フランスは59分にベンセラス・ローレがトライ、イタリアが67分にトライをあげると、フランスは74分に途中交代出場のトマ・ラモスがこの試合最後のトライをあげる。
 最終スコアはフランスが47-19で大勝、トライ数はフランス7、イタリア3であったが、フランスは反則14、シンビン2回と規律面で課題を露呈したのである。(続く)

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