第2555回 天敵アルゼンチンに辛勝(2) 大きくリードして前半を終える

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、このたびの台風15号などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■1年間で大きく入れ替わったフランスの先発メンバー

 9月21日、東京スタジアムでフランスはワールドカップの初戦を戦う。フランスはこれまで8回のワールドカップで初戦で敗れたのは1回だけ、それが2007年大会のことであり、今回と同じアルゼンチンである。
 フランスの先発メンバー、FWはフロントローにジェファーソン・ポワロ、ギエーム・ギラド、ラバ・スリマニ、ロック陣はアルツール・イトゥリアとセバスチャン・バーマイナ、フランカーはベンセラス・ローレとシャルル・オリボン、ナンバーエイトはグレゴリー・アルドリット、スクラムハーフはアントワン・デュポン、スタンドオフはロマン・エンタマック、センターはガエル・フィクーとビリミ・バカタワ、ウイングはヨアン・ウジェとダミアン・プノー、フルバックはマキシム・メダールという布陣である。
 ワールドカップ経験者はギラド(2011年と2015年)、スリマニ、フィクー、ウジェ(以上2015年)、メダール(2011年)の5人、そして昨年秋のアルゼンチン戦で先発したメンバーはポワロ、ギラド、イトゥリア、バーマイナ、ウジェ、フィクー、メダールの7人だけである。昨秋の勝利したアルゼンチン戦はその前の週に惜敗した南アフリカ戦とほぼ同じメンバーを起用しており、ベストメンバーかと思われたが、1年たたないうちにメンバーはがらりと入れ替わった。

■ミスの目立つ序盤、スクラムの反則からアルゼンチンが先制

 ワールドカップが開幕して3試合目、ティア1同士の最初の対戦とあって4万4000人の観衆が東京スタジアムに集まった。アルゼンチン国歌に続いてフランス国歌が演奏され、エンタマックのキックオフでフランスのワールドカップが始まった。開始直後はノータッチキック、インターセプトなど、両チームともミスが出る。4分にファーストスクラム、フランスはこのスクラムで反則を取られる。しかし次第に試合は落ち着きを見せ、フランスはバックスのスピードあふれる攻撃を見せるようになる。ところが12分、この試合3回目のスクラムでフランスは2度目の反則を犯す。中央40メートルの位置からアルゼンチンの名手ニコラス・サンチェスがペナルティゴールを狙うが、これは外れる。ドロップアウトからのキックをアルゼンチンは確保し、前進する。これを止めようとしたところでフランスは反則、今度は15メートルの位置から難なく決めてアルゼンチンが先制する。

■バックスラインの活躍でガエル・フィクーとアントワン・デュポンが連続トライ

 度重なる反則で先制されたフランスには暗雲が漂ったが、18分、相手のキックをキャッチしたメダールが右サイドのプノーにパスし、前進する。右サイドでラックを形成し、デュポンが左に展開、エンタマック、バカタワとボールをつなぎ、バカタワは相手ディフェンスを2人引き付けてフィクーにパス。フィクーは相手ディフェンスを潜り抜けてトライを左コーナー近くにトライを決める。角度のあるコンバージョンをエンタマックが決めて、7-3とフランスは逆転する。さらに22分にはアルゼンチン陣22メートル線上付近のラックのブレイクダウンでバカタワがボールを獲得、メダール、プノーと右サイドをパスでつなぐ、プノーはゴールライン直前でタックルされたがフォローしていたデュポンにオフロードパス、デュポンが右隅に飛び込んだ。今度もエンタマックがコンバージョンを成功、14-3とリードを広げる。

■キックが好調なロマン・エンタマック、前半は4本中すべてを成功

 30分にアルゼンチンは初めて反則を犯す。これで得たチャンス、エンタマックがペナルティゴールを決め17-3と2トライ2ゴール差をつける。さらに前半終了間際にもバカタワからのオフロードパスを受けたプノーがゴール前に迫るがタックルされる。主審は最初スクラムを命じたが、TMOの結果、その前のプレーでアルゼンチンの選手がウジェに対するハイタックルが認められ、フランスにペナルティキックが与えられる。エンタマックはこの試合で4回目のキックを成功させ、20-3と大きくリードしてハーフタイムを迎えたのである。(続く)

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