第2586回 欧州選手権予選突破(5) 本大会では第2シードにとどまるフランス

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、この度の台風15号、19号などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■3月に行われるプレーオフ

 前回の本連載では来年の欧州選手権への最後のチケットとなるプレーオフの出場国16チームの決定方法について紹介したが、このプレーオフの戦い方もこれまでにないユニークな方式となった。
 16チームがパスといわれる4つのグループに分かれ、1回戦制で準決勝と決勝を行う。準決勝と決勝は3月の下旬のインターナショナルマッチデーに行われる。これまでの欧州選手権やワールドカップのプレーオフは11月に行われていたが、今回は予選グループを11月まで行い、プレーオフが3月に行われた。本大会はこれまで通り6月に行われることからプレーオフで勝ち抜いたチームは本大会までほとんど準備の機会はない。

■UEFAネーションズリーグの最下位のリーグDからも本大会出場

 そしてもう1つ驚くべきはこのパスの組み合わせである。これまでのプレーオフの場合、それまでの成績に応じてシードとノンシードの2つに分けて組み合わせを行ってきた。しかし、今回はパス分けの大原則としてUEFAネーションズリーグにおいてグループ優勝チームは上位のリーグのチームと対戦しないということである。つまり、最も下位のリーグであるリーグDからはジョージア、北マケドニア、コソボ、ベラルーシの4チームがプレーオフに進むが、いずれのチームもグループで優勝していることから、この4チームだけで1つのパスを形成することになる。したがってUEFAネーションズリーグの最下位のリーグDから1チームは欧州選手権の本大会に出場することになる。

■7チームが出場するリーグCからも最低1チームは本大会に出場

 2番目の大原則が、UEFAネーションズリーグでの同一リーグから4チーム以上がプレーオフに出場する場合はそのリーグの4チームからなるパスを形成しなくてはならない、ということである。例えば、リーグCに関しては7チームがプレーオフに出場するため、この中の4チームのみで成立するパスを形成しなくてはならない。そしてリーグCのうちスコットランド、ノルウェー、セルビアはグループ優勝チームであり、上位リーグのチームとは対戦しないため、この3チームと他のリーグCからの1チームでパスを形成することとなり、抽選で決定される。抽選の結果、イスラエルがこの3チームに加わりパスを形成した。そしてリーグBからプレーオフに出場するボスニア・ヘルツェゴビナ、スロバキア、アイルランド、北アイルランドの4チームでパスを形成する。そして残りは4チーム、リーグAのアイスランド、リーグCのブルガリア、ハンガリー、ルーマニアでパスを形成する。この4チームはいずれもグループ優勝チームではない。

■最下位チームとの対戦がカウントされず、フランスは第2シードに

 そしてフランスに直接関係あるのが本大会のグループ分けに影響するシード分けである。24チームが出場する本大会では4チームずつの6グループに分かれる。すなわち第シードから第4シードまでに分けられる。シード分けの判断基準は予選のグループの順位、勝ち点、得失点差、得点数の順に決められていく。10グループに分かれて行われたため、フランスと同じ首位突破は10チームある。
 また6チームのグループで10試合戦ったチームと5チームのグループで8試合しか戦っていないチームが存在するため、6チームのグループの首位チームは最下位チームとの対戦を除外してすべてのチームが8試合の成績で比較する。この中で最も勝ち点が多かったのは10戦全勝で最下位以外のチームとの勝ち点が24のベルギーとイタリア、続いて8試合で勝ち点21のイングランドとドイツ、勝ち点26のスペインは最下位チームに連勝しているため勝ち点は20となり、5チーム目まで第1シードが決まる。フランスは10試合で勝ち点25であったが、最下位のモルドバに連勝しているため勝ち点は19、一方8試合しか戦っていないウクライナは勝ち点20となり、ウクライナが最後の第1シードに入る。
 ワールドカップを制したフランスは二冠に向けて第2シードからの出発となったのである。(続く)

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