第2589回 新方式となったテニスのデビスカップ(2) 世界のスターが集結、フランスのファンは応援ボイコット

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、この度の台風15号、19号などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■ガエル・モンフィス、ブノワ・ペール、ジョー・ウィルフリード・ツォンガのシングルス

 新方式のデビスカップは、まず3チームずつに分かれて行われるグループリーグで始まる。第1シードとなったフランスの相手は第2シードのセルビア、第3シードの日本である。これまでのデビスカップでは有力選手の欠場が相次いだが、今回は英国のロンドンでのATPファイナルズが終了したばかりであるが、世界のスーパースターが集まった。 さて、フランスのデビスカップチームであるが、シングルスは世界ランキング10位のガエル・モンフィス、24位のブノワ・ペール、29位のジョー・ウィルフリード・ツォンガと上位選手で固める。

■ATPファイナルズのダブルスで優勝したピエール・ユーグ・エルベールとニコラ・マユ

 ダブルスはATPファイナルズで優勝したばかりのピエール・ユーグ・エルベールとニコラ・マユである。チームを率いる監督はセバスチャン・グロスジャンである。試合形式は第1試合はシングルスのナンバー2同士、第2試合はシングルスのナンバーワン同士、そして第3試合はダブルスとなる。
 フランスの所属するグループAの日程は19日にフランス-日本戦、20日にセルビア-日本戦、21日にフランス-セルビア戦となっている。会場はマドリッドのマンサナーレス・デニスセンター、インドアのハードコートである。12,345人を収容するセンターコートの他に3,436人収容の第2コートと2,172人収容の第3コートがある欧州有数のアリーナであり、来年もここで決勝が行われる。

■新方式に反対するフランスのファンが応援ボイコット

 隣国のスペインでの開催であるが、フランスにとってはアドバンテージを試合前から失った。それはフランスのファンが応援をボイコットしたことである。フランスがデビスカップの新方式に対して反対してきたことを本連載では取り上げてきたが、結局、新方式の大会に出場している。ところがフランスのサポータークラブはボイコットを決定したのである。これまでデビスカップは対戦するいずれかの国で行われ、ホームチームは熱狂的な声援に押され、ビジターのチームは敵地という表現がふさわしいほどの相手の声援とも戦う、これがデビスカップの醍醐味であった。しかしながら、18か国が1か所に集まる新方式ではその楽しみがない、ということで昨年の準決勝がリールで行われた際に会員総会を行い、メンバーの85%はボイコットを支持したのである。
 これまでそろいの青いシャツを着こんで大応援団を組織していた大会の風物詩は新方式になって消えてしまったのである。

■世界のトップ選手が集結する大会になった新方式

 さて、フランスのファンの心が離れてしまった新方式であるが、世界のスター選手がそろい、賞金額も大幅に増加し、世界一を決めるにふさわしいメンバーと環境がそろったことは事実である。この時点でATPランキングのトップ10のうち5人がそろった。1位のスペインのラファエル・ナダル、2位のセルビアのノバク・ジョコビッチ、8位のイタリアのマテオ・ベレッティニ、9位のスペインのロベルト・バウティスタ、そして10位のフランスのモンフィスである。3位のスイスのロジャー・フェデラー、直前のATPファイナルズで準優勝した4位のオーストリアのドミニク・ティエム、優勝した6位のギリシャのステファノス・チチパスはチーム自体が出場しない。5位のロシアのダニル・メドベージェフと7位のドイツのアレキサンダー・ズべレフは直前のATPファイナルズに出場し、負傷をかかえていることから欠場である。ただ、ATPファイナルズにはナダル、ジョコビッチ、ベレッティニは出場している。トップ10にはないっていないが英国のアンディ・マレーも出場している。これまでのデビスカップとは顔ぶれが違うことは間違いない。
 この新方式はスペインと日本のリードによって導入されたものであるが、フランスの初戦の相手は日本、そして舞台はスペインと因縁のある相手と場所で行われる。この大会で優勝することがフランスチームには期待されているのである。(続く)

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