第2590回 新方式となったテニスのデビスカップ(3) 初戦で日本相手に大苦戦
平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、この度の台風15号、19号などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■2年ぶりの対戦となるフランスと日本
大会2日目となる11月19日、フランスは日本と対戦する。日本はエースの錦織圭が負傷のため欠場である。錦織不在のチームを支えるのは世界ランキング73位の西岡良仁、81位の内山靖崇、104位の杉田祐一、111位のダニエル太郎、ダブルスのマクラクラン勉、そして監督は岩淵聡である。
これまでのフランスと日本の対戦は4回あり、すべてフランスが勝利している。最新の対戦は2年前、東京の有明コロシアムでのワールドグループ1回戦、フランスは初日のシングルス2試合、2日目のダブルスと1セットも落とさず3連勝し、準々決勝進出を決めた。この時のフランスのシングルスはリシャール・ガスケとジル・シモン、一方の日本は西岡とダニエルであった。
■わずか400人の観衆の前で試合
それから2年、フランスのシングルスのナンバーワンはガエル・モンフィス、ナンバー2はジョー・ウィルフリード・ツォンガに代わったが、日本は西岡とダニエルが雪辱を期す。日本企業がスポンサーになったとあってファンの注目度も高くなり、いわゆるにわかファンもマドリッドへと応援に駆け付け、サポータークラブが応援をボイコットしたフランスとは対照的である。
会場は第2コート、1990年代の女子の名選手からアランチャ・サンチェススタジアムと命名されている。平日の昼間の試合とはいえ、観客はわずか400人であった。この日は6つの対戦が行われ、観客の多くはセンターコートで行われていたスペイン-ロシア戦に集中したが、観客のお目当てはこのスペイン戦を応援に来たラファエル・ナダルとネイマールというサッカー選手というのも新方式のデビスカップを象徴する現象である。
■ジョー・ウィルフリード・ツォンガは完勝、ガエル・モンフィスは完敗
第1試合は両国のナンバー2同士の対戦、フランスはツォンガ、日本は内山、閑散としたコートで繰り広げられた試合であるが、試合はツォンガのワンサイドゲームとなってしまった。ツォンガが内山のサービスゲームを再三にわたってブレークし、6-2、6-1と2セットを連取して勝利する。試合時間はわずかに58分、あまりにもあっけない勝利でフランスが先勝した。
ところが第2試合、両国のナンバーワン対決であるが、第1試合とは大きく様相が変わった。モンフィスはサーブが荒れ気味で、サービスエースを決めるものの、ダブルフォールトも目立ち、サービスゲームを優位に進めることができない。これに乗じて西岡は2回ブレークする。さらに西岡はファーストサーブの精度こそ悪かったものの、セカンドサーブは確実に決め、失点を防ぎ、ブレークされたのはわずか1回だけである。このブレークの差が西岡に有利に作用し、第1セットは西岡が7-5と競り勝った。
第2セットに入ると、モンフィスのサーブの精度が悪くなる一方で、西岡のサーブは改善される。西岡は第2セットはサービスゲームは全てキープしつつ、2回ブレークに成功、6-2で第2セットも奪い、試合時間1時間6分であっさりと西岡が勝利し、勝敗は最後のダブルスに委ねられたのである。
■ピエール・ユーグ・エルベールとニコラ・マユのダブルスは逆転勝ち
フランスにとっては想定外のナンバーワンのモンフィスの敗退であったが、ピエール・ユーグ・エルベールとニコラ・マユのダブルスには絶対の自信を持つ。前週にATPファイナルズで優勝し、今年は全豪オープンを制しグランドスラム四大会で優勝、マスターズ1000も9大会のうち7大会で優勝経験がある。世界最強ペアに対する日本はシングルスに出場した内山がマクラクランと組む。試合は第1セットから両者はサービスゲームをキープ、タイブレークにもつれ込み、これを取ったのは日本のペアであった。続く第2セットはフランスペアがブレークを決めて、6-4と取る。最終セットはサーブの精度が落ち、ブレーク合戦となった。日本が1つブレークを決めたが、フランスがそれを上回る2つブレーク、最終的にはフランスが7-5でこのセットを奪い、2時間40分という長時間の末にようやく1勝をあげたのである。(続く)