第2627回 四強が決まったフランスカップ(5) 1部勢対決を制したレンヌ、サンテチエンヌ、マルセイユ、リヨン
平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、昨年の台風15号、19号などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■12チームが16強に残った1部勢
フランスカップのベスト8決定戦は1月28日から30日にかけて行われた。16チームの顔ぶれを見ると1部12チーム、2部なし、ナショナルリーグ1チーム、ナショナル2部2チーム、ナショナル3部1チームと例年になく1部勢が残っている。さらにベスト8決定戦が行われる時点の1部の順位を見ると1位パリサンジェルマン、2位マルセイユ、3位レンヌ、4位モンペリエ、5位リヨンなど、上位10チームのうち8チームが出場し、上位チームが軒並み残っている。さらにパリサンジェルマンとリヨンはリーグカップの決勝に残るとともに、2月からはチャンピオンズリーグの決勝トーナメントに臨む。
ベスト8決定戦は下部リーグのチームはすべて1部勢との対戦、これらの試合が4試合、そして1部勢同士の対戦が4試合となった。
■点の取り合いを制したレンヌ、最少得点で勝利したサンテチエンヌ
初日の28日は4試合が行われ、1部勢同士の対戦はアンジェ-レンヌ戦とモナコ-サンテチエンヌ戦の2試合である。
アンジェで行われた試合はリーグ戦でも上位のレンヌが前半の終盤に2点を奪い、ハーフタイムを迎える。試合はこれで決まりかと思われたが、予想外の展開となった。アンジェは後半の立ち上がりに1点を返し、レンヌも61分にPKを決めてリードを2点に戻す。しかし、アンジェは85分にPKで1点差に迫り、ついに89分に追いついて3-3のまま延長戦となる。延長に入っても両チームは点を取り合った。101分にレンヌが得点をあげ、リードする。しかし、アンジェは延長前半のアディショナルタイムに追いつき、延長後半を迎える。レンヌは110分ジェレミー・ゲランが勝ち越し点を決めて5-4で試合を制し、ベスト8入りしたのである。
一方、モナコ-サンテチエンヌ戦はこの試合とは逆の展開となった。モナコはホームであったが、サンテチエンヌが優勢に試合を進める。サンテチエンヌは24分に奪った得点を難なく守り抜き、1-0と勝利、2016年以来4年ぶりの準々決勝進出を決めた
■13戦連続負けなしのマルセイユもベスト8入り
その翌日の29日にはマルセイユとストラスブールが対戦した。マルセイユは右サイドバックに酒井宏樹ではなくブーナ・サールを起用、これが的中する。32分にサールは右サイドからドリブルで駆け上がり、ストラスブールの選手をスキーのスラロームのように次々と抜き去り、ペナルティスポット付近までボールを持ち込み、左足を振りぬいてシュート、マルセイユに先制点をもたらす。その後もマルセイユは得点を重ね、3-1でストラスブールを下してベスト8入りした。マルセイユは欧州カップには出場しておらず、リーグカップも初戦で敗れているため、リーグ戦とフランスカップだけが残されたタイトルであるが、このストラスブール戦の勝利で13戦連続負けなしとなった。リーグ戦では首位パリサンジェルマンと勝ち点10差であるが2位まで順位を上げており、国内タイトル争いが楽しみである。
■3日後にリーグ戦でも再戦するニースを下したリヨン
30日にはニースとリヨンが対戦した。実は全く同じカードが3日後の2月2日にリーグ戦で組まれている。このフランスカップでの結果が両チームのリーグ戦の戦いにも大きく影響する。リーグ戦は4位のモンペリエ(勝ち点33)から15位のサンテチエンヌ(28)までは混戦状態であり、リヨンはリーグ5位、ニースは12位であるが、両チームの勝ち点の差はわずかに3である。
リヨンはこの試合を最後にドイツのヘルタ・ベルリンに移籍するとみられているルカ・トゥザールが主将を務め、活躍する。前半15分にはリヨンはムーサ・ダンベレが先制点を奪う。このままリヨンが最少得点で勝利するかと思われたが、ニースは89分に主将のダンテが最後尾からロングパス、これを前線のアダム・ウナスが左足でシュート、起死回生の同点弾となる。しかし、アディショナルタイムの93分、ダンテがペナルティエリア内でカール・トコ・エカンビを倒してしまい、リヨンにPKが与えられ、これをフッセム・アウアが決めて決勝点、リヨンが準々決勝進出を決めたのである。(続く)