第2632回 チャンピオンズリーグ決勝トーナメント開幕(2) 驚異の19歳、ボルシア・ドルトムントのアーリング・ハーランド
平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、昨年の台風15号、19号などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■直前のリーグ戦でアミアンに大苦戦したパリサンジェルマン
今年のチャンピオンズリーグの決勝トーナメントが2月18日に始まった。ボルシア・ドルトムント(ドイツ)-パリサンジェルマン、アトレチコ・マドリッド(スペイン)-リバプール(イングランド)の2試合が21時にキックオフされるが、4チーム中3チームが前回の本連載で紹介した1992年のトゥルノワ・ド・パリに参加したチームである。
パリサンジェルマンは国内外の試合で勝ち続けているが、直前のリーグ戦は19位のアミアン相手にキリアン・ムバッペ、ネイマールをベンチからも外して臨み、アウエーゲームとはいえ大苦戦した。前半40分までに3失点する。ようやくパリサンジェルマンが1点を返したのは前半のアディショナルタイムであった。後半に入ってタンギ・クアッシが60分と65分に得点をあげて同点に追いつく。そして74分にマウロ・イカルディが逆転ゴールをあげて、このまま勝利かと思われたが、後半のアディショナルタイムにアミアンのセール・ギラシに同点ゴールを許し、4-4のドローとなった。
■過去3年間、決勝トーナメント1回戦で姿を消したパリサンジェルマン
パリサンジェルマンにとっては最近の決勝トーナメント1回戦は鬼門である。昨年はマンチェスター・シティ(イングランド)と1勝1敗ながらアウエーゴールの差で敗れ、一昨年はレアル・マドリッド(スペイン)に連敗、3年前はバルセロナ(スペイン)相手にホームで4-0と大勝しながら、アウエーの第2戦で1-6と大会を喫しており、3年連続で敗退している。その前の4年はいずれも突破しているのである。
■ベストメンバーをそろえたパリサンジェルマン、若手選手の多いボルシア・ドルトムント
ドルトムントのシグナル・イドゥナ・パークのピッチに立つ白いユニフォームのパリサンジェルマンは、GKはケイロ・ナバス、DFはマルキーニョス、チアゴ・シウバ、プレスネル・キンペンベ、MFはトマ・ムニエ、マルコ・ベラッティ、イドリッサ・ゲイエ、レイバン・クルザワ、FWはアンヘル・ディマリア、キリアン・ムバッペ、ネイマールという布陣である。ベンチにはパブロ・サラビア、エディンソン・カバーニ、ユルゲン・ドラクスラー、そしてアミアン戦で得点をあげたクアッシ、イカルディなどが控えている。
一方のボルシア・ドルトムントはマッツ・フンメルス、ウカシュ・ピシュチェク、アクセル・ビッツェルなど国際経験の豊富なベテランに交じり、19歳のアーリング・ハーランド(ノルウェー)とジェイドン・サンチョ(イングランド)、20歳のダン・アクセル・ザガドゥ(フランス)、21歳のアクラフ・ハキミ(モロッコ)などの若手選手が先発した。
■後半に動いた試合、ボルシア・ドルトムントのアーリング・ハーランドが2得点
前半はアウエーのパリサンジェルマンがパスで試合を支配したが、両チームとも守備の意識が高く、なかなかチャンスを作ることができない。パリサンジェルマンも直近の試合で4失点しているとはいえ、チャンピオンズリーグのグループリーグでは6試合でわずか2失点である。アウエーの第1戦でスコアレスドローならば上出来であろう。
しかし、後半に入って試合は攻撃的になった。ムバッペ、ネイマールがゴールを狙うが、得点にならなかった直後の69分、ボルシア・ドルトムントはハキムのクロスをゲレイロがシュートする。これをマルキーニョスがクリアするが、クリアボールをハーランドが素早い反応で押し込む。
一方のパリサンジェルマンも負けてはいない。75分には右サイドからドリブルで突破、最後は同じ年のフランス人選手のザガドゥを振り切り、クロスをあげて、ゴール前のネイマールが左足で同点ゴールを決める。ほぼムバッペの得点といってよいだろう。
しかし、77分にボルシア・ドルトムントは途中交代出場してきた17歳のジョバンニ・レイナがハーランドにパス、ハーランドは左足で強烈なシュートを決めて、これが決勝点となる。
ハーランドは年末にオーストリアのRBザルツブルクから移籍してきたばかりである。RBザルツブルクでは今季のチャンピオンズリーグのグループリーグに出場、6試合で8得点をあげている。そしてドルトムントに移籍後も6試合で9得点という驚異的なペースでゴールを量産、3月11日のパリでの第2戦も要注意である。(続く)