第2635回 パリサンジェルマン、4年ぶりに八強入り(2) 無観客のパルク・デ・プランスで見事な勝利

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、昨年の台風15号、19号などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■体調を崩したキリアン・ムバッペ、検査の結果は陰性

 コロナウイルスの感染拡大によって3月11日に予定されていたパリサンジェルマン-ボルシア・ドルトムント(ドイツ)戦は無観客試合となった。グループリーグ首位突破チームに与えられる第2戦ホームゲームというアドバンテージをパリサンジェルマンは失ったが、決定を受け入れるのはやむを得ないであろう。
 2月18日にドルトムントで敗れてからのパリサンジェルマンは週末のリーグ戦ではボルドー、ディジョンと対戦し、ボルドーには4-3と競り勝ち、ディジョンには4-0と勝利し、フランスカップの準決勝でリヨンに5-1と大勝し、ストラスブール戦は中止となり、このボルシア・ドルトムント戦が1週間ぶりの試合となる。そのリヨン戦で3得点をあげたキリアン・ムバッペがその後体調を崩し、練習場から姿を消す。コロナウイルスの検査も受け、陰性であったが、先発メンバーから外れる。

■第1戦以降3連勝して第2戦を迎える

 一方のボルシア・ドルトムントであるが、ドイツカップは2月初めのベスト8決定戦でブレーメンに敗れており、ドイツにはリーグカップがないため、国内リーグとチャンピオンズリーグだけが残されたタイトル、パリサンジェルマンとの第1戦の後はリーグ戦でドイツカップで敗れたブレーメンに雪辱したのを皮切りにフライブルク、ボルシア・メンヘングンドバッハにも勝利、こちらも3連勝でパリに乗り込む。ボルシア・ドルトムントはアウエーの試合を苦手としているが、この3勝のうち2勝はアウエーゲーム、さらにパルク・デ・プランスは無観客試合となり、アウエーゲームが決定的に不利な状態で行われるわけではない。

■第1戦とシステム、メンバーを大きく変えたパリサンジェルマン

 パリサンジェルマンの布陣であるが、トーマス・トゥヘル監督は第1戦は奇策を取り3-5-2システムで臨んだが、4-4-2システムに戻し、大幅にメンバーを入れ替える。GKはケイロ・ナバス、DFはティロ・ケーラー、マルキーニョス、プレスネル・キンペンベ、フアン・ベルナト、MFはアンヘル・ディマリア、イドリッサ・ゲイエ、レアンドロ・パレデス、ネイマール、FWはエディンソン・カバーニ、パオロ・サラビアが先発メンバー、ムバッペはベンチに控えている。トマ・ムニエとマルコ・ベラッティは出場停止、チアゴ・シウバは負傷でベンチ入りしていない。
 一方のボルシア・ドルトムントは最前線に第1戦勝利の立役者アーリング・ハーランドを擁し、3-4-3システムで臨む。
 パリサンジェルマンがパルク・デ・プランスで無観客試合を戦うのはこれが3回目のことである。これまで2回はいずれも国内リーグ戦でのファンの不祥事によるものであり、最初は2005年2月26日のバスティア戦、2回目は2010年3月28日のブローニュ・シュール・メール戦である。

■パルク・デ・プランスの外の大観衆の声援に応えたパリサンジェルマン

 無観客試合となり、パルク・デ・プランスに入れないファンはパルク・デ・プランスの近くに集団で陣取り、濃厚接触も何のその、声援よ届けとばかりに気勢を上げる。
 その声援が届いたのであろうか、パリサンジェルマンはキックオフ直後かボールを支配する。15分経過した時点でボール支配率は75パーセントを越える。ボルシア・ドルトムントは守備的でカウンターを仕掛けない。パリサンジェルマンは25分にはカバーニが決定的なチャンスをつかむが得点ならず、28分に右サイドのCKをディマリアが蹴り、ファーポストでマークが外れていたネイマールがヘディングで先制点をあげる。このままいけばパリサンジェルマンが勝ち抜くことになる。場外のファンのボルテージは上がり、ポルト・ド・サンクルー駅前の広場には発煙筒が夜空を照らす。前半のアディショナルタイム、ベルナトは相手からボールを奪い、パスを回しながら前進、サラビアからのクロスをピンポイントで合わせたベルナトが2点目をあげる。後半のパリサンジェルマンは引いて守り、ボルシア・ドルトムントは攻めあぐね、ゴールが遠い。
 パリサンジェルマンは2-0と勝利し、通算スコア3-2で4年ぶりの準々決勝進出、試合終了後に選手はパルク・デ・プランスの回廊に出て、スタジアムの外で応援していたファンとともに喜びを爆発させたのである。(この項、終わり)

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