第2665回 2019-20フランスリーグ回顧 (1) 圧倒的な差をつけて優勝を重ねたパリサンジェルマン
平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、昨年の台風15号、19号などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■3年連続9回目の優勝を果たしたパリサンジェルマン
新型コロナウイルスの感染拡大を受けて3月上旬の第28節終了の段階で打ち切りとなってしまったフランスリーグ、ドイツをはじめとする他国がリーグ再開の動きをする中での打ち切りに様々な意見が出たが、昨年8月から3月までのフランスリーグを振り返ってみよう。
優勝はパリサンジェルマン、3年連続9回目の優勝となった。9回の優勝のうち7回は2010年代になってからであり、過去10季のうち7季で優勝となった。過去10季でパリサンジェルマン以外のチームで優勝したのはリール(2010-11)、モンペリエ(2012-13)、モナコ(2016-17)の3チームだけである。
パリサンジェルマンは優勝回数でライバルのマルセイユと並んだ。なお、最多優勝回数はサンテチエンヌの10回である。パリサンジェルマンがサンテチエンヌと並び、抜き去るのは時間の問題であろう。
■打ち切り時点での2位マルセイユとの勝ち点差は12
今季もパリサンジェルマンは2位以下を大きく引き離して優勝している。試合消化数が異なることから1試合当たりの平均勝ち点で決定し、パリサンジェルマンは2.52、2位のマルセイユは2.00、この見慣れない数字を比較しただけではなかなか実感がわかないかもしれないが、パリサンジェルマンが27試合消化で勝ち点68、マルセイユが28試合消化で勝ち点56、勝ち点差は12である。シーズン全部の試合が行われたとして38試合に換算するとパリサンジェルマンの勝ち点は95を超え、マルセイユは76、その差は20近くなる。
■2位との勝ち点差を31とした2015-16シーズン
今世紀に入って黄金時代を築いたチームは2つ、2000年代に7連覇を果たしたリヨンと、2010年以降7回の優勝を果たしたパリサンジェルマンである。パリサンジェルマンは連覇記録ではリヨンに及ばないものの、2012-13シーズン以降、パリサンジェルマンは1シーズンだけモナコに王座を奪われただけでそれ以外の7シーズンで優勝している。この7回の優勝であるがいずれも他チームを寄せ付けない圧倒的な強さで優勝してきた。2012-13シーズンの今世紀初優勝の際は勝ち点83、2位のマルセイユは勝ち点71であった。なお、第2664回の本連載でも紹介した通り、この時はパリサンジェルマンとマルセイユがチャンピオンズリーグに出場したが、優勝パリサンジェルマン、2位マルセイユというのは、その前にパリサンジェルマンが優勝した1993-94シーズン以来2回目のことである。優勝2年目の2013-14シーズンの勝ち点は89、2位のモナコの勝ち点は80、優勝3年目の2014-15シーズンは勝ち点83で、2位のリヨンの勝ち点差は75であった。このシーズンがパリサンジェルマンの優勝の中で最も勝ち点が少なく、2位との差が小さかった。しかし、その翌年の2015-16シーズンはパリサンジェルマンは圧倒的な力の差を見せる。2位は前年に続きリヨンであったが、パリサンジェルマンは30勝6分2敗で勝ち点96、2位リヨンの勝ち点は65、実に勝ち点の差は31であった。
唯一優勝を逃した2016-17シーズンも2位となり、勝ち点は87を積み上げたが、このシーズンはモナコが勝ち点95を記録している。
■勝ち点だけではなく得失点差でも圧倒的な数字を残したパリサンジェルマン
優勝を逃した翌年の2017-18シーズンはモナコを押さえて優勝、勝ち点93で2位モナコの勝ち点80に13の差をつけた。そして昨季は前年に続き勝ち点を90台にのせ、勝ち点91,2位のリールは勝ち点75と二桁の勝ち点差をつけている。
そして今年もパリサンジェルマンは途中打ち切りの段階でマルセイユに勝ち点12の差をつけている。平均勝ち点通りにシーズンの全日程を終えれば、その勝ち点差は16と推計できる。
また、パリサンジェルマンは勝ち点だけで他を圧倒しているのではない。得点、失点のいずれでも他を圧倒しており、それぞれの試合でも大差をつけて勝利している。今季は27試合で得点75、失点24、得失点差は+51となる。得点は最多で2位はモナコの44(28試合消化)、得失点差も最多で2位はリヨンの+15、失点は最少はスタッド・ド・ランス(28試合消化)の21に次いでレンヌ(28試合消化)と並んで2番目に少ないのである。(続く)