第2668回 2019-20フランスリーグ回顧 (4) 最終節となった第28節
平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、昨年の台風15号、19号などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■10試合同時にキックオフされ、サスペンスとなる最終節
新型コロナウイルスの感染拡大の影響を受け、フランスリーグは途中で打ち切られ、第28節が結果的には最終節となった。本連載で紹介してきた通り、最近のフランスリーグはパリサンジェルマンが2位以下に差をつけて早々に優勝を決め、最終節で優勝がケースはなくなった。しかし、例年、チャンピオンズリーグやヨーロッパリーグの出場権争い、2部への降格争いなど、最終節までファンにとっては落ち着かない1日となる。通常は金曜日から日曜日に行われるリーグ戦も最終節とその前節は10試合すべてが同じ時刻にキックオフされサスペンスとなるのである。
■3日間にわたって行われた第28節
ところが、今年の最終節は金曜日から日曜日にかけて行われた。この10試合をプレーしていた選手、スタッフ、そして観戦していたファンはこの試合が最終戦となることなど知る由がなかった。しかし、結果的にはこの試合が最終節となり、順位争いに影響する試合展開もあった。スポーツに「たられば」は禁物であるが、この第28節を振り返ってみたい。
第28節は3月6日の金曜日にマルセイユ-アミアンの1試合、7日の土曜日には、17時30分キックオフでストラスブール-パリサンジェルマン、20時キックオフでニース-モナコ、ディジョン-トゥールーズ、アンジェ-ナント、メッス-ニーム、スタッド・ド・ランス-ブレストの合計6試合が予定されていた。そして8日は3試合が組まれ、15時からサンテチエンヌ-ボルドー、17時からレンヌ―リヨン、21時からリール-リヨンが予定されていた。
この時点での順位は1位パリサンジェルマン(勝ち点68)、2位マルセイユ(55)、3位レンヌ(47)、4位リール(46)、5位リヨン(40、得失点差+16)、6位モンペリエ(40、+6)、7位モナコ(40、+1)であり、1位から6位までのチームは同時刻に他に試合が行われていないという設定であり、テレビで観戦するファンを喜ばせるスケジュールであった。
■19位のアミアンに終盤に追いつかれてしまった2位マルセイユ
首位パリサンジェルマンを勝ち点13差で追うマルセイユは19位のアミアンとベロドロームで対戦する。国内リーグ戦に専念するマルセイユは、下位低迷するアミアンに勝利して、パリサンジェルマンとの差を詰めたいところである。今季のマルセイユはホームでは強く、開幕戦のスタッド・ド・ランス戦で敗れてからは負け知らず、ところが2月22日のナント戦でほぼ半年ぶりにベロドロームで敗れてしまう。また、アミアンとは前半戦でもアウエーで敗れており、相性が良くなかったのであろうか、予期せぬ展開となった。マルセイユは前半のアディショナルタイムにモルガン・サンソンが先制点を奪う。後半に入っても57分にディミトリ・パイエが追加点、楽勝ムードとなる。しかし、84分に1点返され、長い後半アディショナルタイムの95分に同点に追いつかれてしまう。結果的には順位には関係なかったが、シーズン最終戦は選手にとってもファンにとっても悔いの残るものとなった。
■ヨーロッパリーグ出場の可能性もあったストラスブール
そして土曜日は夕方に1試合、ちょうどフランスカップの準決勝を戦ったばかりのパリサンジェルマンがストラスブールで試合を行う予定であったが、本連載第2636回でも紹介しいた通り、フランスにおいて新型コロナウイルスの感染の中心地であったグランテスト地方での試合であったため、延期となった。パリサンジェルマンもストラスブールも勝ち点を積み上げることができなかった。
パリサンジェルマンについては2位との差が大きいため、この試合が延期、結局は中止になっても影響はないが、10位のストラスブールは5位のリヨンとの勝ち点差はわずか2、欧州カップ出場権はすぐ近くにあったのである。5位のリヨン、6位のモンペリエ、7位のモナコはいずれも勝ち点40であったが、3チームとも第28節では敗れ、ストラスブールがホームでパリサンジェルマンに勝利していれば、これらのチームを抜き、最低でも7位に入り、勝ち点で並ぶニース、スタッド・ド・ランスとの得失点差で5位争いをすることになり、欧州カップ出場の可能性もあったのである。(続く)