第2705回 パリサンジェルマンとリヨン、準決勝進出 (6) 終了間際の逆転で25年ぶりの準決勝進出を果たす
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■25年ぶり2回目の準決勝進出を狙うパリサンジェルマン
23年前にカップウィナーズカップで決勝に進出して以来、チャンピオンズリーグでは4たび準々決勝で敗れてきたパリサンジェルマン、クラブ創設50周年を迎えるこの夏、チャンピオンズリーグで25年ぶり2回目の準決勝進出を狙う。
25年前の準決勝ではイタリアのユベントスに敗れており、準々決勝の相手は同じイタリア勢のアタランタである。アタランタは25年前には2部に相当するセリエBに所属していたが、本連載でこれまで紹介してきたように、ジャン・ピエロ・ガスペリーニ監督就任以来、チームは生まれ変わり、3バックで攻撃的な展開をするチームとなった。
■キリアン・ムバッペ、アンヘル・ディマリアを欠く先発メンバー
リスボンでの試合、パリサンジェルマンの布陣はGKはケイロス・ナバス、DFは4人、ティロ・ケーラー、チアゴ・シウバ、プレスネル・キンペンベ、フアン・ベルナト、MFは4人、右にアンデル・エレーラ、中央の低い位置にマルキーニョス、高い位置にはネイマール、左はイドリッサ・グイエ、FWは2トップで右にマルコ・イカルディ、左にパオロ・サラビアである。キリアン・ムバッペはベンチ、アンヘル・ディマリアは出場停止となっている。
■先制点をあげたアタランタ
パリサンジェルマンは白いユニフォームで胸のエンブレムの上にMerciと書かれ、青と黒の縦縞のアタランタは同じくGrazieとともに「ありがとう」という意味の言葉を胸に試合に臨む。新型コロナウイルスで亡くなった人たちを悼み、1分間の黙祷の後、無人のルッス競技場でアタランタのパプ・ゴメスのキックオフで試合は始まった。試合は序盤は打ち合いの様相を呈す。2分にアタランタがパリサンジェルマンのゴール前に迫るが、その直後の3分にパリサンジェルマンが最初の得点機をつかむ。ハーフウェーライン付近からネイマールがドリブルで突進、相手GKと一対一になるが、右側にシュートを外す。一方アタランタはレモ・フロイラーのクロスから、ハンス・ハテブールのヘディングシュートが枠に飛ぶが、ナバスがキャッチする。
先制点を奪ったのはアタランタであった。28分、ペナルティエリアの外側でパスをつないだアタランタはマリオ・パシャリッチがペナルティエリアに入ったところで左足でシュート、ナバスのセーブも及ばず、ボールはきれいにゴールネットに吸い込まれた。
パリサンジェルマンはその直後に反撃に出る。ネイマールがシュートするが、わずかに枠の外を通過していく。
その後はパリサンジェルマンが優勢に試合を進める。攻めるパリサンジェルマン、守るアタランタという構図で時計の針は動くが、なかなかパリサンジェルマンは同点に追いつくことができず、ハーフタイムを迎える。トップ下のネイマールは獅子奮迅の働きをするが、2トップの動きがさえず、シュートが枠に飛ばず、同点に追いつくことができない。
■終了間際の2得点に絡んだ最後の交代選手、マキシム・シュポ・モティン
58分にはアタランタのシュートがあわや追加点、というところであったが、わずかに外れ、パリサンジェルマンのベンチは胸をなでおろす。交代枠が5人ということで、両チームとも選手交代を積極的に行い、パリサンジェルマンの最初の交代は59分、サラビアに代えてムバッペを投入する。ムバッペは76分にはドリブルで抜けでシュートをするが相手GKが右足でセーブ、同点には追いつけない。逆にパリサンジェルマンはGKのナバスが負傷、貴重な交代枠を1つ消費してしまう。しかし、フィールドプレーヤーとして最後にピッチに入ったマキシム・シュポ・モティンが奇跡の時間を作る。
時間は89分を過ぎたところで、右サイドのシュポ・モティンが逆サイドのネイマールにパス、ネイマールがゴール前に折り返す、これをマルキーニョスが押し込んで同点、時間は89分47秒であった。
アディショナルタイムは5分、パリサンジェルマンは一気に逆転を狙う。93分、ムバッペが左サイドを突破、自らがシュートを狙うのではなく、ゴール前にパス、これをシュポ・モティンが決めて逆転する。
終盤の2得点でパリサンジェルマンは、チャンピオンズリーグでの25年ぶりに準決勝に進出したのである。(続く)