第2708回 パリサンジェルマンとリヨン、準決勝進出 (9) 交代出場のムーサ・ダンベレの2ゴールでリヨンが準決勝進出
平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■ほとんど不動の再開後のリヨンの先発メンバー
8月15日21時、ポルトガルのリスボン、ジョゼ・アルバラーデ競技場、準々決勝最後のマンチェスター・シティ(イングランド)-リヨン戦がキックオフされた。この試合、ホーム扱いとなったのはマンチェスター・シティ、水色のユニフォームを着用する。アウエー扱いとなったリヨンは黒いユニフォームでこの一戦に臨む。
リヨンの先発メンバーであるが、GKはアントニー・ロペス、DFは3バックで右からジェイソン・デナイヤー、マルセロ、マルシャル、MFは5人、右からレオ・デュボワ、マクサンス・カケレ、ブルーノ・ギマラエス、ホッセム・アウア、マクスウェル・コルネ、2トップは右にメンフィス・デパイ、左にムーサ・ダンベレという布陣となる。この布陣は8月7日に行われたベスト8決定戦のユベントスとの第2戦とはトコ・エカンビがムーサ・ダンベレに入れ替わっただけで、リーグカップ決勝と全く同じである。いかにルディ・ガルシア監督がこのメンバーに信頼を置いているかがよくわかる。
■チャンピオンズリーグのキャリアに差がある両チームの選手、監督
この中でチャンピオンズリーグのキャリアが多いのが前回の本連載で紹介したGKのアントニー・ロペスであり、この試合が29試合目となる。逆に最も少ないのはユベントス戦でチャンピオンズリーグにデビューした20歳のカケレである。
一方のマンチェスター・シティはチャンピオンズリーグの出場経験が豊富なメンバーが集まった。チーム最多となるのは主将でストッパーのフェルナンジーニョ、この試合が90試合目となる。それ以外にもダビド・シルバ(70試合目)、ラヒム・スターリング(50試合目)、エデウソン(37試合)などである。なお、これまでに75試合に出場しているセルヒオ・アグエロは負傷のためメンバーから外れている。
また、キャリアという点では両チームの監督には大きな差がある。昨年10月に就任したリヨンのルディ・ガルシア監督はイタリアのASローマの監督としても出場経験があるが、これが31試合目である。一方のマンチェスター・シティのジョゼップ・グアルディオラはバルセロナ(スペイン)、バイエルン・ミュンヘン(ドイツ)、マンチェスター・シティと強豪チームを率い、チャンピオンズリーグは123試合目となる。
■守勢のリヨンが前半に先制点
マンチェスター・シティのキックオフで始まったこの試合、最初のシュートこそリヨンのマルシャルであったが、試合を支配したのはマンチェスター・シティであった。ところが24分、マルシャルからの前方へのフィードをカール・トコ・エカンビがつなぎ、ペナルティエリアの外からコルネがシュート、ゴールインし、VARによるチェックの後、先制点となる。その後もマンチェスター・シティがボールを支配し、前半終了間際にはロドリのゴールチャンスもあったが、リヨンは1-0とリードして前半を終える。
■名将のお株を奪ったリヨン、ムーサ・ダンベレが2得点
先に選手交代を行ったのはマンチェスター・シティ、前半に警告を受けた主将のフェルナンジーニョを56分にベンチに下げ、FWのリヤド・マレーズを投入する。さすが名将、鋼の交代が功を奏し、69分にはマレーズが攻撃の起点となってスターリングからのパスをケビン・デブライネが決めて同点となる。
リヨンのガルシア監督も負けていない。75分に攻撃陣に手を加え、デパイに代えてムーサ・ダンベレがピッチに入る。この4分後にアウアからのスルーパスを受けたムーサ・ダンベレはGKとの一対一でゴールを決め、リヨンが勝ち越す。
さらに87分、アウアがペナルティエリアの外からシュートを放ち、これをマンチェスター・シティのGKエデウソンがはじく。このボールにいち早く反応したのが、ムーサ・ダンベレであった。主将に代わって後退して張ってきた選手が短時間の間に2点を入れて、リヨンが10年ぶりに準決勝に進出したのである。(続く)