第2724回 第2回UEFAネーションズリーグ開幕(1) 予定通り始まった第2回大会
平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■ヨーロッパリーグはスペイン勢のセビリアが優勝
新型コロナウイルスの感染拡大によってチャンピオンズリーグ、ヨーロッパリーグの決勝トーナメントは8月に前者はポルトガルのリスボン、後者はドイツでセントラル方式で決勝トーナメントが行われた。チャンピオンズリーグは前回までの本連載で紹介した通り、ドイツのバイエルン・ミュンヘンが6回目の優勝を果たし、ヨーロッパリーグはスペインのセビリアが優勝している。今季のチャンピオンズリーグにはイングランド勢とスペイン勢が準々決勝に23年ぶりに1チームも残ることができなかったが、ヨーロッパリーグでは2012年のアトレチコ・マドリッド以降9季、スペイン勢かイングランド勢が優勝を独占している。
■昨年11月を最後に試合から遠ざかっている代表チーム
そして、欧州の主要国でもリーグ戦が開幕している。イングランドとスペインは9月12日、ドイツは9月18日、イタリアは9月19日と主要リーグは9月の中旬に開幕しているが、フランスだけは8月21日に開幕している。いわゆる欧州五大リーグの中で唯一打ち切ったフランスが、そのブランクを埋めるかの如くいち早くリーグ戦を開幕している。
3月から欧州で猛威を振るった新型コロナウイルスであるが、結局、主要なタイトルについていうならば、欧州選手権が1年延期となり、フランスリーグが途中で打ち切られただけで、それ以外のタイトルは中断はあったものの、最後まで行われた。
欧州のクラブシーンのサッカーは6月から7月にかけて復活したが、長いブランクになったのが代表チームの試合である。2020年になって最初のインターナショナルマッチデーは3月下旬に設定されていた。フランスは欧州選手権にむけて、3月27日にウクライナとスタッド・ド・フランス、31日にフィンランドとリヨンでそれぞれ親善試合を行う予定であった。しかし、これらの試合は中止となり、合宿で選手が集まることもなく、昨年11月11日の欧州選手権予選のアルバニア戦を最後に活動が休止してしまった。
本来であるならば、欧州選手権前の5月から6月にかけて親善試合を2試合行い、分散開催となった欧州選手権に臨むはずであったが、それらはすべてクリアされてしまった。
■欧州選手権後に予定されている第2回UEFAネーションズリーグ
欧州選手権後の9月からは第2回となるUEFAネーションズリーグが開幕する予定であり、新型コロナウイルスが欧州を席巻する直前の3月初めに組み合わせ抽選が行われている。欧州選手権の1年延期により、UEFAネーションズリーグについてもどのようになるか心配されたが、当初の予定通りに開幕した。今回からは2回目となるUEFAネーションズリーグについて紹介しよう。
■力量の接近したチーム同士の試合を増やすUEFAネーションズリーグ
UEFAネーションズリーグは第1回大会は2018年の秋に開幕している。UEFAに所属するすべての国が出場するが、特徴としてはその開催時期と大会形式である。まず、開催時期であるが、ワールドカップ、欧州選手権という国際大会の終わった秋から始まり翌年の春までとなる。そしてそれが終わると次のワールドカップもしくは欧州選手権の予選が始まるというわけである。大会形式に関してはランキング順に4つのレベルに分けてグループ分けし、力量の接近したチーム同士が争うことになる。この大会創設の大きな目的は代表同士の公式戦を増やす、正確にはレベル差の小さい試合を増やすことである。そして、これまでは力量に差のあるチームとの対戦の多いワールドカップや欧州選手権の予選、力量に差の少ない相手を選ぶことのできるので親善試合、という構図であったが、このUEFAネーションズリーグは力量に差のないチームとのタイトルマッチであり、結果的に親善試合を少なくすることができる。
夏以降、数々の制約の中で欧州のサッカー界は再起動した。欧州選手権は1年延期されたが、UEFAネーションズリーグは当初の予定通りキックオフを迎えたのである。(続く)