第2730回 第2回UEFAネーションズリーグ開幕(7) 新型コロナウイルスで陽性となったキリアン・ムバッペ
平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、昨年の台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■スウェーデン戦の収穫と課題
第2回となったUEFAネーションズリーグ、フランスは開幕戦でスウェーデンに対して苦戦したが、キリアン・ムバッペの唯一の枠内シュートで勝利した。10か月ぶりの代表の試合で少なくとも勝ち点3を獲得したことは評価できる。また、2年半ぶりに代表に復帰したアドリアン・ラビオはエンゴロ・カンテとコンビを組んで中盤で守備と攻撃の起点となり上々の動きを見せた。
一方、アントワン・グリエズマンがまたPKを失敗してしまったことは個人レベルの課題であるが、なかなか攻撃を組み立てることができなかったことも事実であり、その結果が枠内シュート1という数字である。
■クロアチア戦前日に陽性となったキリアン・ムバッペ
スウェーデン戦は数少ないチャンスをムバッペが決めたが、そのムバッペはフランスカップの決勝で痛めた負傷が万全ではなく、スウェーデン戦では両チームで最初にピッチから去った。クロアチア戦の先発も微妙であったが、新型コロナウイルスで陽性反応が出てしまった。フランスはすでに5日のスウェーデン戦の時点でスティーブ・マンダンダとホッサム・アウアが新型コロナウイルスで陽性反応となり、試合に出場できなくなっていた。
ディディエ・デシャン監督は第2GKのマンダンダの代わりとしてブノワ・コスティルをボルドーから呼び寄せ、アウアの代わりにスペインのセビリアからナビル・フェキルを呼び寄せた。ただ、試合の前日に試合欠場となったムバッペの代役を呼ぶことはできず、既存のメンバーで対応することになった。
ムバッペの陽性反応についてはひと悶着あり、代表チームでの活動中に新型コロナウイルスに感染したのではないかと、所属チームのパリサンジェルマンが不満をあらわにした。パリサンジェルマンはチャンピオンズリーグで決勝に進出したため、8月22日に開幕したフランスリーグの第1節と第2節の試合が延期となり、シーズン開幕戦は9月10日のRCランス戦、そして13日にはマルセイユとの試合が予定されている。当然、ムバッペはこれらの試合は欠場となってしまう。パリサンジェルマンとリヨンがシーズン開幕戦を戦う時点でそれ以外のチームは2試合を消化している。パリサンジェルマンは、シーズン開幕が遅れたため勝ち点はゼロ、そういう焦りもあったのであろうか、パリサンジェルマンのスポーツディレクターのレオナルドはフランスサッカー連盟に対して怒りをぶつけたのである。
■2018年のワールドカップの準優勝チームのクロアチア
さて、クロアチア戦に話題を戻そう。第1戦のスウェーデンが直近の国際大会であるワールドカップの本大会と予選で唯一敗れた相手であったが、そのワールドカップでフランスが最後に戦った相手がクロアチアである。すなわち、2年前のワールドカップ決勝の再戦となる。
■第1回UEFAネーションズカップではグループ最下位に終わる
ワールドカップで準優勝となったクロアチアも、9月から第1回のUEFAネーションズリーグに臨むが、組み合わせ抽選はワールドカップ前の1月に行われており、その時のランキングでシード分けされる。クロアチアはこの時点でUEFAでは11番目のランクということでリーグAの第3シードとなり、グループ4に入る。第1シードのスペイン、第2シードのイングランドと対戦することになる。
第1戦はアウエーでスペインと9月11日に対戦した。スペインはワールドカップでは決勝トーナメント1回戦でロシアにPK負けしている。スペインのホームゲームとはいえ、スペインが6-0と大勝し、クロアチアは銀メダリストのプライドが崩れた。10月には無観客のホームゲームでイングランドとスコアレスドロー。11月には2試合あり、15日にザグレブにスペインを迎え、3-2と勝利して借りを返す。最終戦はイングランドとうぇんぶりーでの戦い。この試合を迎える時点で、首位は全日程を終えたスペインが勝ち点6、クロアチアとイングランドは勝ち点4で並んでいる。勝利した方がグループ首位となり、クロアチアは大敗スタートからの逆転なるかと期待され、その通りに先制はしたが、イングランドが逆転勝利する。首位を喜ぶロンドンっ子の大歓声をよそに、グループ最下位となったのである。(続く)