第2735回 第2回UEFAネーションズリーグ開幕(12) エドゥアルド・カマビンガ、オリビエ・ジルーなどのゴールでウクライナに大勝

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■新型コロナウイルスの感染の影響を受けた両チーム

 前回の本連載では7年ぶりの対戦となるウクライナ戦の先発メンバーを紹介した。フランスは9月に初めて代表入りしたダヨ・ウパメカノ、エドゥアルド・カマビンガ、ホッサム・アウアの3人がそろって先発することになるが、ウクライナはGKに新型コロナウイルスルの感染者が続出し、代表初出場となるヘオリー・ブスキャンに最後の砦を任せなくてはならなくなった。さらに控えのGKには45歳のGKコーチが登録された。
 一方のフランスも試合の前日にレオ・デュボワが新型コロナウイルスで陽性となり、この3連戦からの離脱を余儀なくされた。早速ディディエ・デシャン監督はフェルラン・マンディを呼び寄せ、ポルトガル戦以降の2試合に備えた。
 両チームとも新型コロナウイルスの感染の影響を受けたが、やはりウクライナにとっては厳しい結果となった。

■史上2番目の若さで得点をあげたエドゥアルド・カマビンガ

 試合は開始早々からフランスが押し込む展開となり、ウクライナは防戦一方となった。8分にはフランスが初めてのCKのチャンスを得る。キッカーは代表デビュー戦となるアウアである。ゴール前ではうまく照準に合わなかったが、フランスはこぼれ球を拾ってチャンスを継続する。ルカ・ディーニュがクロスをあげて、これをオリビエ・ジルーがヘディングで合わせる。ウクライナのGKは両手でセーブしたものの、これがうまくクリアできず、ゴール前に詰めていたカマビンガが浮き球をシュート、これが先制点となる。
 この日、初先発となったカマビンガは代表での初ゴールを決める。カマビンガは17歳と11か月で得点をあげた。カマビンガは戦後では最年少、戦前を通じても3番目に若くして代表の試合に出場したが、17歳332日での得点は史上2番目に若くして得点をあげた選手となった。フランス代表の史上最年少得点が記録されたのは、今から106年前、第一次世界大戦の前の1914年3月に行われたスイス戦のことである。この日に代表戦にデビューしたモーリス・ガスティゲが17歳128日でゴールを決めている。新記録ではないが、カマビンガのゴールは驚異的と言えるであろう。

■ミッシェル・プラティニを抜いて歴代2位となったオリビエ・ジルー

 そしてフランスの2点目は24分、この日出場しているフランスの選手の中で最年長の34歳のジルーが左足で決めた。ジルーはこの日が代表出場100試合目、そして主将を務めている。ジルーの得点は41点目となり、ついにミッシェル・プラティニと並んだ。さらに33分にはアウアがボールを持ちこんでシュート、これをウクライナのGKがうまくクリアできず、そこに飛び込んできたジルーがヘディングでゴールネットを揺らす。42点目を決めたジルーはプラティニを抜き去り、単独2位となった。ジルーの前にいるのは51得点のティエリー・アンリのみである。
 ジルーの得点はその多くが前半に記録され、さらに前半でも早い時間帯に得点を決めている。この日の得点も24分と33分に記録されており、早めに得点を奪って精神的にも優位に立って試合を進めたいチームにとっては頼りになる存在である。
 3点差が付いたこの時点でもまだウクライナはシュートを記録しておらず、試合は一方的なものとなった。36分にウクライナは初めてのシュートを放つが、スティーブ・マンダンダを脅かすには至らない。 その後もウクライナの守備はほころびを見せ、39分にはアウアの蹴ったCKをウクライナの選手がオウンゴール、フランスが4-0と大量リードして後半を迎える。

■第3GKのマイク・マイニャンも代表デビュー

 親善試合ということで交代枠が6人、フランスは後半開始時に3人を交代し、その中にはGKのマイク・マイニャンが含まれており、代表デビューとなった。フランスの正GKのウーゴ・ロリスは33歳、第2GKのマンダンダは35歳である。それに次ぐアルフォンス・アレオラは27歳であり、若い世代のGKが見当たらず、マイニャンには期待したい。
 ところが、マイニャンには苦いデビュー戦となる。52分にビクトール・ツィガンコフが強いシュート、マイニャンは左に飛んだが及ばず、初失点となる。
 ただ、フランスはコランタン・トリッソ、キリアン・ムバッペ、アントワン・グリエズマンが次々に得点をあげ、7-1と大勝する。フランスがスタッド・ド・フランスで7得点をあげたのは初めてのことである。(続く)

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