第2739回 第2回UEFAネーションズリーグ開幕(16) アウエーのザグレブでクロアチアに勝利

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、昨年の台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■唯一のザグレブでの試合でも勝利しているフランス

 前回の本連載で紹介した通り、クロアチア代表は本拠地であるザグレブのマクシミール競技場では非常に良い成績を残している。フランスは9月の試合までにクロアチアとは7回対戦し、対戦成績は5勝2分と分がよい。これまでの7回の対戦のうち、5試合はフランス国内での対戦、中立地(2004年のポルトガルでの欧州選手権)が1試合、そしてクロアチア国内では1試合だけとなっている。その唯一のクロアチア国内での試合はこのザグレブのマクシミール競技場で行われている。これは2000年5月28日に行われた親善試合である。1998年のワールドカップを制し、ベルギーとオランダで共同開催された欧州選手権を控えた最終テストでフランスはクロアチアに遠征し、2-0と勝利している。もちろん、現在の代表監督のディディエ・デシャンも主将としてフル出場している。
 前半戦を終えたところでフランスは勝ち点7、クロアチアは勝ち点3、連敗スタートで出遅れたクロアチアはここでフランスに勝利すれば、勝ち点1差に肉薄できる。スウェーデン戦、そしてその直前に行われたスイスとの親善試合と連勝した勢いをフランス戦にも持ち込みたい。スタッド・ド・フランスでの試合は無観客であったが、ザグレブでの試合は7000人ではあるが、観客をスタジアムに入れて行われ、フランスにとって20年ぶりのアウエーゲームの舞台は整った。

■ポルトガル戦とも9月のホームでの試合とも大幅にメンバーを入れ替えたフランス

 フランスの先発メンバーであるが、GKはウーゴ・ロリス、DFは4バックで右からフェルラン・マンディ、ラファエル・バラン、クレマン・ラングレ、ルカ・エルナンデス、MFは4人、ダイヤモンド型に配置し、中盤の底にはスティーブン・エンゾンジ、右にコランタン・トリッソ、左にアドリアン・ラビオ、高めの位置のトップ下にはアントワン・グリエズマン、2トップは右にアントニー・マルシャル、左にキリアン・ムバッペとなる。
 ポルトガル戦とシステムは同じであるが、メンバーを5人入れ替え、大幅なメンバー変更となった。また、3バックで臨んだ9月8日のスタッド・ド・フランスでの試合に出場していた選手6人にとどまった。
 一方のクロアチアはルカ・モドリッチの復帰が大きい。クロアチアはフランス戦でのオウンゴールが多く、過去5試合で3点を献上しており、守備の乱れにも注意したいところである。

■クロアチアに相性のいいアントワン・グリエズマンが先制

 クロアチアは立ちあがりから激しく仕掛けるが、フランスはクロアチア人内不覚に攻め込む。そして8分にマンディが右サイドからゴール前にクロスを上げる。これをクロアチアの守備陣がクリアミスする。これをグリエズマンがペナルティエリア内で拾って左足でシュート、フランスが先制する。グリエズマンはこれで代表戦では33得点となったが、クロアチア戦では2年前のワールドカップ決勝、9月のスタッド・ド・フランスでの試合に続いて3点目となる。
 一方のクロアチアも30分に決定機を迎えるが、フランスはGKのロリスが左手で失点を防ぐ。前半はフランスが1点リードして折り返した。

■決勝点を決めたキリアン・ムバッペ

 クロアチアは後半開始時に2人を入れ替えて何とか追いつきたい。早めの交代を仕掛けるクロアチアは、これが功を奏し、64分にはモドリッチからのパスを後半から入ってきたジョシップ・ブレカロがつないで、最後はニコラ・ブラシッチが同点ゴールを決める。
 ボール保持率でやや優勢なフランスであるが、なかなかシュートを放つことができない。試合の終盤にこの窮地を打開したのはやはりムバッペであった。ラビオに代わって後半途中から出場してきたポール・ポグバがディーニュにつなぎ、ルカ・ディーニュがムバッペにパス、これをムバッペが決めて決勝点となる。
 フランスはクロアチアをアウエーで下し、この日ホームでスウェーデンを下したポルトガルとともに勝ち点を10に伸ばしたのである。(続く)

このページのTOPへ