第2772回 6か国対抗に向けてフランスラグビー始動(4) スコットランドに雪辱、初戦を飾る

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■11月中旬から12月にかけて行われたオータムネーションズカップ

 中断、延期となった6か国対抗、2位には終わったもののアイルランドにも勝利し、2023年の自国開催のワールドカップへの期待は高まる。
 新型コロナウイルスの感染拡大を受けて3月から活動がストップしてしまった代表チームのためにオータムネーションズカップが行われた。6か国対抗を運営するシックスネーションズリミテッドが主催者となって11月中旬から12月初旬にかけて6か国の8会場で行われた。参加国は6か国に加えてフィジーとジョージアである。当初は日本が参加する予定であったが、渡航せず、代わりにジョージアが出場したという経緯がある。
 世界ランキング順を考慮して2つのグループに分け、グループリーグを行い、各グループリーグで同じ順位のチームが順位決定戦を行う。出場国の中ではイングランドに続く順位のフランスはグループBに入り、スコットランド、フィジー、イタリアと対戦する。6か国対抗で不覚を取ったスコットランド、近年力の差が開いているイタリアと対戦し、6か国対抗で対戦する5か国のうち4か国と対戦することになり、順位決定戦でイングランドと対戦すればコンプリートとなる。
 ただし、第2769回の本連載で紹介した通り、国内リーグと同時期に行われるため、各選手は秋から冬にかけて行われる6試合のうち最大3試合までしか出場できない。主力はウェールズ戦、アイルランド戦に連続して出場しているため、残り1試合しか出場できない。

■フィジー戦は不戦勝、スコットランドと対戦

 また初戦で対戦するはずであったフィジーは新型コロナウイルスの感染者が欧州での合宿中に出たため、グループリーグ3試合は棄権することとなった。
 したがって、フランスは初戦のフィジー戦は不戦勝、実質的な初戦は11月22日のスコットランド戦となった。エジンバラのマレーフィールドで行われた試合、雪辱を果たしたいフランスは主力を数人起用する。10月の2試合で活躍したロマン・エンタマックはメンバーから外れ、スタンドオフはマチュー・ジャリベールが務め、アントワン・デュポンとハーフ団を構成する。ワールドカップでは予選プールで敗退したスコットランドは初戦でイタリアを対戦、4トライをあげて勝利したが、終盤まで差をつけることのできない厳しい戦いであった。

■手堅い試合で前半はノートライ、4本ずつキックが成功

 事実上の首位決定戦ということで手堅い試合となった。フランスは3分にビリミ・バカタワがゴール前に迫り、スコットランド守備陣が反則、トマ・ラモスがペナルティゴールを決める。9分にもバカタウの突進にスコットランドはオフサイド、ここも3点を狙い、6-0とする。しかし、フランスの反則の多さは改善せず、16分、20分と連続してペナルティゴールをスタンドオフのダンカン・ウィアーに決められて追いつかれる。リードをしたいフランスは24分に30メートルの位置からジャリベールがドロップゴールを決めて9-6とリードしたが、28分にペナルティゴールで追いつかれる。フランスは29分にハーフライン付近からジャリベールがペナルティゴールを決めるが、スコットランドもペナルティゴールで38分に追いつき、両チームノートライで同点のまま後半に入る。

■ビリミ・バカタワ、この試合唯一のトライを決める

 突き放したいフランスは後半開始早々にビッグプレーが出た。フランスボールのスクラムからデュポンがセンターのガエル・フィクーにダイレクトにパス、そこにウイングのバンサン・ラッテスが内に切れ込んできてフィクーからボールを受け前進、22メールとラインを突破したところでバカタワにつないで、そこからはバカタワの独壇場となり、ゴールポスト真下のトライを決める。ラモスがコンバージョンを成功させ、フランスは19-12とリードをする。スコットランドは46分にペナルティゴールで4点差に迫るが、フランスも61分にラモスがパネルティゴールを決めて22-15と7点差に戻す。
 その前2試合に比べて不満の残る内容であったが、フランスは苦手とするアウエーでのスコットランド戦に勝利し、春の6か国対抗の雪辱を果たしたのである。(続く)

このページのTOPへ