第2816回 2022年ワールドカップ予選開幕(6) ボスニア・ヘルツェゴビナに勝利
平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■着々と進む欧州選手権への準備
ワールドカップ予選はホームでウクライナと引き分け、アウエーでカザフスタンに勝利したが、ウクライナはフィンランドと引き分けたため、この時点でフランスは首位に立った。フランスはこの2試合で招集した26人中22人の選手を起用している。出場しなかった4人の選手のうち3人はGKであり、夏の欧州選手権、秋のUEFAネーションズリーグのファイナルへの準備も進んでいる。
■低迷期にあるボスニア・ヘルツェゴビナ
欧州選手権前の最後のタイトルマッチとなるのが3月31日のボスニア・ヘルツェゴビナ戦である。ボスニア・ヘルツェゴビナというと2012年の欧州選手権予選ではホームで引き分け、そして2014年のワールドカップは本大会出場という実績があるが、このところの成績は芳しくなく、10試合連続で勝ちがない(5分5敗)という状況である。ただ、この中には最上位のリーグAで戦ったUEFAネーションズリーグで対戦も含まれている。ボスニア・ヘルツェゴビナはイタリア、オランダ相手にそれぞれ1試合引き分けただけで、2分4敗で最下位となり、リーグBへの降格が決まり、今回のワールドカップ予選も初戦ではフィンランドと2-2で引き分けている。世界ランキングも2013年には13位を記録したが、現在は55位となっている。
■出場試合数が歴代2位となったウーゴ・ロリスが好セーブ
試合会場はサラエボのグルバビツァ競技場、かつジェフ市原の指揮を執ったアマル・オシムが現在は監督を務めるFKジェリェズニチャルの本拠地である。
今予選で初めて白いユニフォームで臨むフランス、先発メンバーはGKにウーゴ・ロリス、DFは右からバンジャマン・パバール、ラファエル・バラン、プレスネル・キンペンベ、ルカ・エルナンデス、DFは低い位置にポール・ポグバとアドリアン・ラビオ、攻撃的なMFは右にキングスレー・コマン、アントワン・グリエズマン、左にトマ・ルマール、FWは1トップでキリアン・ムバッペである。
ウクライナ戦と似た陣容となったが、負傷のエンゴロ・カンテに代えてポグバ、そしてトップにムバッペを起用して、左サイドの攻撃はルマールが担う。3試合連続で先発となったのはロリスとグリエズマン、ロリスはこの日が代表で123試合目の出場となる。これはティエリー・アンリと並んで歴代2番目のキャップ数である。トップは142試合出場のリリアン・テュラム、2022年にワールドカップがあることを考えるとロリスがトップとなることは十分に考えられる。そして、この123試合のうちに、2012年の欧州選手権予選のボスニア・ヘルツェゴビナ戦がある。ロリスは唯一過去にボスニア・ヘルツェゴビナ戦を経験しているメンバーである。
試合は開始早々からフランスが攻める。3分に早くもムバッペがゴールネットを揺らすが、これはオフサイドでゴールは認められず。コマンも15分にヘディングで枠内にシュートを放つが、これも得点には至らない。守勢のボスニア・ヘルツェゴビナは24分に右サイドDFのダルコ・トドロビッチが右サイドを駆け上がってシュート、これをロリスがセーブする。ロリスはその直後のCKのピンチも左手で防ぎ、記念すべき試合にふさわしい活躍をした。
前半は攻め込みながら枠内シュート1本に終わってしまい、ロリスの活躍だけが印象に残り、両チーム無得点で後半に入る。
■ロリスとともに3試合連続先発のアントワン・グリエズマンのゴール
ディディエ・デシャン監督は59分にはムバッペを下げてオリビエ・ジルーを起用する。しかし、勝利に貢献したのはもう1人の3試合連続先発のグリエズマンであった。60分に左サイドからラビオがクロスをあげる。このクロスをニアサイドで頭で合わせたのがグリエズマンであった。ボスニア・ヘルツェゴビナのGKイブラヒム・セヒッチは全く反応できなかった。グリエズマンの代表35ゴール目となる得点でフランスは1-0と勝利した。フランスはアウエーでの8連勝と記録を更新した。
フランスは6月初めにウェールズ、ブルガリアと親善試合を重ね、中旬から欧州選手権に臨む。ワールドカップ予選は9月に再開するのである。(この項、終わり)