第2835回 リール、10年ぶりにリーグ優勝(6) 優勝のかかった試合でスコアレスドローに終わったリール
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■リールとパリサンジェルマンが優位に立つ優勝争い
フランスリーグは第35節でリヨンがモナコに勝利する。残り3試合となったこの時点での順位は首位がリール（勝ち点76）、2位にパリサンジェルマン（75）、3位モナコ（71）、4位リヨン（70）である。数字の上では4チームに優勝の可能性はあるが、4チーム間の直接対決はないため、リールとパリサンジェルマンのレースであり、取りこぼしをしない方に栄冠が輝くであろう。
第36節以降の対戦相手であるが、リールはRCランス、サンテチエンヌ、アンジェの順に対戦、パリサンジェルマンはレンヌ、スタッド・ド・ランス、ブレストとの試合が残っている。
■過密日程の終盤戦を戦うパリサンジェルマン
さらにパリサンジェルマンの場合はレンヌ戦の前にマンチェスター・シティ（イングランド）とのチャンピオンズリーグ準決勝第2戦、レンヌ戦とスタッド・ド・ランス戦の間にフランスカップ準決勝のモンペリエ戦が控えている。結果的にチャンピオンズリーグでは敗退したが、フランスカップは決勝に残ったため、スタッド・ド・ランス戦とブレスト戦の間にモナコとの決勝を戦うことになる。実はパリサンジェルマンはワールドカップ予選明けの第31節以降は毎週2試合を戦っており、4月は8試合、5月は7試合という過酷な終盤戦を迎えたのである。
■マンチェスター・シティに連敗、レンヌに引き分けたパリサンジェルマン
そしてマンチェスター・シティ戦の連敗が精神的にこたえたのか、第36節のアウエーのレンヌ戦では痛い引き分けに終わる。もちろんレンヌは昨季もチャンピオンズリーグに出場し、今季もこの時点で7位と実力のあるチームである。パリサンジェルマンは前半終了間際にVARの末、PKを獲得してネイマールが決める。これまでのパリサンジェルマンであれば、1点あれば十分に守り切ることができたが、今年のパリサンジェルマンはそうではない。70分にCKから同点ゴールを許してしまう。第36節まではテレビ中継の関係でキックオフ時間が区々である。すでにリールはアウエーでRCランスに勝利、さらに追うモナコ、リヨンも勝利しており、ライバルが勝ち点3を獲得する中、パリサンジェルマンは勝ち越し点を奪うことができず、勝ち点を1しか獲得できなかったのである。
■パリサンジェルマンを上回る成績で優勝の決まるリール、スコアレスドロー
第37節と第38節はすべての試合が同時にキックオフされる。リールとパリサンジェルマンの勝ち点差が3に開いたため、第37節でリールの優勝もありうる。リールがパリサンジェルマンより良い成績、すなわちリールが勝利してパリサンジェルマンが引き分け以下、あるいはリールが引き分けてパリサンジェルマンが敗れれば、リールの優勝となる。
第37節でリールはサンテチエンヌ、パリサンジェルマンはスタッド・ド・ランス、いずれも名門を迎え、5月16日21時にキックオフを迎えた。無観客試合であるが、リール市内のいたるところにファンが集結して気勢を上げ、警官との小競り合いも勃発する。
優勝のかかるこの試合、リールはほぼベストメンバーで臨む。一方のサンテチエンヌは新型コロナウイルスの感染の影響はないが、多くのメンバーが負傷で離脱している。試合は優勝を目前に控えるリールがパスを回し、ボール支配率で上回る。しかし、シュートにはつながらず、先制点をあげることができない。負傷者続出のサンテチエンヌのピッチの中でリーダーシップを発揮したのが主将のマチュー・ドビュッシーである。元フランス代表の右サイドバックはリール近郊で生まれ育ち、下部組織から通算して20年間をリールでプレーし、10年前の優勝も経験している。その後、イングランドに渡り、フランスに戻ってきた。サンテチエンヌはドビュッシーなどの守備陣の健闘、そして攻撃陣が少ないチャンスをシュートに結びつける。リールはサンテチエンヌ相手に無得点に終わり、スコアレスドローとなったのである。（続く）
