第2837回 リール、10年ぶりにリーグ優勝(8) 最終戦で勝利したリールが優勝
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■3チームに優勝の可能性のある最終節
第37節で優勝なるかと思われたリールであるが、ホーム最終戦で痛恨のスコアレスドロー、一方2位以下のパリサンジェルマン、モナコ、リヨンがそろって勝利し、フランスリーグ最終節は歴史的な混戦となった。最終節を迎える段階での各チームの勝ち点、得失点差を紹介しよう。首位はリール(勝ち点80、得失点差+40)、2位パリサンジェルマン(79、+56)、3位モナコ(77、+34)、4位リヨン(76、+39)となっている。つまり3位のモナコにまで優勝の可能性があり、4位のリヨンもチャンピオンズリーグの本戦出場権を獲得する2位までの可能性がある。今季のフランスリーグはこの4チームの力が傑出しており5位のマルセイユは勝ち点59、4位のリヨンとは勝ち点で17もの差がある。
■勝てば優勝となるリールはアウエーでアンジェと対戦
5月23日21時に全国で一斉にキックオフされる最終戦、上位4強の対戦相手を紹介しよう。首位リールは12位アンジェとのアウエーゲーム、2位パリサンジェルマンもアウエーで16位のブレストと対戦する。3位のモナコは6位ランスとのアウエーでの対戦、4位のリヨンは上位陣では唯一ホームで最終戦、9位のニースが相手である。
これらの対戦相手の中でパリサンジェルマンの相手のブレストは降格プレーオフの危険性があり、モナコの相手のRCランスはヨーロッパリーグの出場権がかかる。
リールは勝利すれば優勝、引き分けの場合はパリサンジェルマンが引き分け以下ならば優勝、負けた場合はパリサンジェルマンが負ければ優勝となる。また、3位のモナコが勝利して、リールが敗れた場合は勝ち点で並ぶが、得失点差の6ポイントを逆転し、さらにパリサンジェルマンが敗れる(引き分けの場合はモナコは23点差以上の勝利が必要)ことが必要である。
■先制点をあげてからは、守備的な試合運びをするリール
首位のリールは勝利すれば優勝であるから、目の前の相手に集中したい。その通り、この4試合の中で最も早くゴールをあげたのがリールであった。リールは立ち上がりからロングボールで前線に攻撃のチャンスを供給する。10分のレナート・サンチェスは冷静であった。ブラク・イルマズがオフサイドポジションと判断すると、パスをジョナタン・ダビッドに送る。ダビッドは右足でグラウンダーのシュート、これリールで優勝を見守っているファンに捧げる先制点となった。追うパリサンジェルマンであるが、押し気味に試合を進めるものの、なかなか得点が生まれない。3日前にフランスカップで優勝を果たし、逆転を狙うが、18分にはPKを得たが、ネイマールがいつも通りの助走から蹴るが、ボールはポストの外を通過する。パリサンジェルマンは37分にアンヘル・ディマリアのCKが相手のミスを誘いオウンゴールで先制した。アンジェがリールに追いつけばパリサンジェルマンの二冠の道も開けたが、先制した後でリールは引き気味になり、守備を固めて優勝への道を進める。その引き気味のリールであったが、前半終了間際にPKを得る。これをイルマズが決めて2-0とリードを広げ、ハーフタイムを迎える。前半を1-0で折り返したパリサンジェルマンのファンにとっては後半のアンジェの大逆転を願うしかない。
■リールが勝利、10年ぶりの栄冠に沸くリール市内
後半に入っても、リールはまず守りを固めるという手堅いサッカーを展開する。ただし、優勝を待つリールの街は大騒ぎである。日本では鳥茶屋亡き後の神楽坂の新たなランドマークとなったPAULの発祥の地として知られるリールであるが、フランス第4の都市でありながら、サッカーの世界では優勝回数が他の大都市に比べて少ないリールのファンが10年ぶりの優勝を待っている。
今季最終戦となったパリサンジェルマン、ここまでのタイトルは3日前に獲得したフランスカップのみである。71分にはスルーパスを受けてGKも交わしたキリアン・ムバッペが相手DFのファウルをものともせず、得点をあげるが、アンジェの試合は動かない。後半アディショナルタイムにアンジェは1点を返すが、リールが2-1と勝利、10年ぶり4回目の優勝を決めたのである。(続く)