第2881回 ワールドカップ予選、9月の3連戦(4) ボスニア・ヘルツェゴビナと痛恨のドロー
平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■フランス国内ではボスニア・ヘルツェゴビナに勝利したことのないフランス
9月初めのワールドカップ予選の3連戦、初戦を待たずして23人のメンバーのうち3人が負傷して離脱したフランス、13試合連続で勝ちのないボスニア・ヘルツェゴビナが対戦する。両者の過去の戦績はフランスが3勝2分と無敗であるが、3勝はいずれもボスニア・ヘルツェゴビナのサラエボでの試合である。フランス国内では2004年にレンヌ、2011年にスタッド・ド・フランスで対戦したが、いずれも引き分けている。フランスがボスニア・ヘルツェゴビナ相手に国内での初勝利を目指す試合は、9月1日21時にキックオフされた。
この試合に先立ってキエフで行われたウクライナ-カザフスタン戦は1-1のドローとなり、このグループではフランスの最大のライバルと目されるウクライナは勝ち点をしか加えることができず、フランスにとっては突き放すチャンスである。
■ジョルダン・ベレトゥが先発、代表にデビュー
フランスの先発メンバーであるが、GKはウーゴ・ロリス、DFは右からジュール・クンデ、ラファエル・バラン、プレスネル・キンペンベ、ルカ・ディーニュ、MFは右からポール・ポグバ、ジョルダン・ベレトゥ、トマ・ルマール、FWは右にアントワン・グリエズマン、左にキリアン・ムバッペ、中央にカリム・ベンゼマという陣容である。背番号17のベレトゥが代表にデビューした。
■守りを固めたボスニア・ヘルツェゴビナ、エディン・ジェコが先制点
ボスニア・ヘルツェゴビナの監督はブルガリア人のイバイロ・ペテフ、不振の続くこのチームに1月に就任したばかりであるが、未勝利が続く。かつてはブルガリア代表の監督も務め、それ以外のクラブでの経験も豊富である。サウジアラビアのアル・カーディシーヤも指揮した経験があり、日本の皆様もよくご存じであろう。フランスに対して5バックで守りを固め、2トップにカウンターアタックを託す戦術である。2トップは右にエディン・ジェコ、2007年からボスニア・ヘルツェゴビナ代表の攻撃を支えてきた主将であり、今季はイタリアのASローマからインテルミラノに移籍した。そして2トップの左は22歳と若いエルメディン・デミロビッチ、現在はドイツのフライブルクの選手であるが、かつてソショーに所属したこともある。
戦前の予想通りにフランスはボールを支配し、優勢に試合を進める。シュートを放つものの、なかなか枠に飛ばない。ようやくフランスに初の決定機が訪れたのは27分であった。ムバッペが左サイドから攻め込んでシュート、これがポストに当たるが、ゴールには入らない。守勢で反撃の機会をうかがっていたボスニア・ヘルツェゴビナは35分、ジェコと並ぶこの国のスターである副将のミヤレム・ピヤニッチが初めて枠内に飛ぶシュートを放つが、ロリスが防ぐ。そしてその直後にジェコがペナルティエリア内でデミロビッチからのパスを受けてシュートを打つ、これがキンペンベの両足の間を抜け、ロリスも防ぐことができず、2本目の枠内シュートでボスニア・ヘルツェゴビナが先制したのである。スペインのバルセロナからトルコのベシクタシュに移籍した31歳のベテラン選手であるが、欧州のビッグクラブで活躍するベテランが先制点を決めた。フランスが先制されたのは欧州選手権から連続して4試合目となる。
■アントワン・グリエズマンが同点ゴール、ジュール・クンデが退場
1点先制されたフランスは早く追いつきたいところである。そしてそのシナリオ通り、40分にはフランスはCKを得る。これをムバッペが蹴り、グリエズマンが混戦の中から決める。ボールがゴールラインを超えていないのではないかということでVARの判定となったが、得点が認められたフランスが同点に追いつき、ハーフタイムを迎えた。
後半開始時点でルマールに代わってオーレリアン・チュアメニが投入され、代表に初出場となる。しかし、フランスは50分にクンデがセアド・コラシナツに対し、危険なタックル、VARの判定の末、退場となる。残り40分1人少ない状況でフランスは勝ち越し点を奪わなくてはならない。一方のコラシナツも負傷のため交代を余儀なくされる。試合終盤にはムバッペに代えて代表初出場となるムサ・ディアビを投入するもフランスは勝ち越し点を奪うことができず、ドローに終わってしまったのである。(続く)