第2885回 ワールドカップ予選、9月の3連戦(8) アントワン・グリエズマンの2ゴールでフィンランドに勝利
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■2位に浮上したフィンランド
欧州選手権予選を突破し、スタッド・ド・フランスでフランスに勝利したフィンランド、欧州選手権でも初戦で北欧の強豪デンマークに勝利した。ウクライナに得失点差で1及ばずに決勝トーナメント進出を逃したが、注目チームの1つとなった。
欧州選手権明けの最初の試合は9月1日、ウェールズとのホーム、ヘルシンキでの親善試合であった。昨年のUEFAネーションズリーグではホーム、アウエーとも連敗し、首位を譲ったウェールズ相手にスコアレスドロー、力をつけてきたことを示して新シーズンを迎えた。そして9月4日にはワールドカップ予選の試合としてカザフスタンとホームで対戦、1-0と勝利している。この勝利で勝ち点を5に伸ばし、得失点差も+1となる。同日にフランスと引き分けたウクライナを得失点差で抜き、2位になっている。つまり、フランスは3日前のウクライナ戦に続き、2位チームとの首位攻防戦を戦うことになる。フィンランドはフランスを勝ち点3の差で追うが、試合消化が2つ少ないため、フランス戦で最低限引き分ければ、首位は射程圏内である。
■リヨンのグルーパマ競技場は満員の観衆
フランスのホームゲームであり、会場はリヨンのグルーパマ競技場である。2016年に完成した近代的な競技場、ここでフランス代表が試合をするのは3年ぶり3試合目となる。これまでのこの競技場での戦績は2016年の欧州選手権のベスト8決定戦でアイルランドに2-1で勝利し、2018年のワールドカップ直前には米国と親善試合、1-1で引き分けている。そしてこの試合は当初は入場者数に制限をする予定であったが、最終的にはすべての座席を開放することになり、57,057人の観衆が集まった。
フランスの先発メンバーであるが、GKはウーゴ・ロリス、DFは右からクルト・ズーマ、ラファエル・バラン、プレスネル・キンペンベの3バック、MFは右からルカ・デュボワ、ポール・ポグバ、アドリアン・ラビオ、テオ・エルナンデスと4人が並び、その前方のトップ下にアントワン・グリエズマン、FWは2トップで右にアントニー・マルシャル、左にカリム・ベンゼマという3-4-1-2システムである。デシャン監督は5試合連続して引き分けが続いており、今回初招集した選手を数人先発させるのではないかと予想されたが、新人は代表デビューとなるテオ・エルナンデスのみ、選手ではなくシステムを変更し、経験のあるメンバーで固めた3バックシステムで臨んだ。
■リヨン育ちのカリム・ベンゼマ、グルーパマ競技場にデビュー
また、欧州選手権前に復帰したベンゼマは直前のウクライナ戦で先発を外れたが、プロとしてのスタートを切った思い出の地リヨンで背番号19が戻ってきた。ベンゼマは2009年にリヨンからスペインのレアル・マドリッドに移籍し、2015年秋以来代表から離れていた。レアル・マドリッドの一員としてリヨンと対戦したことがあるが、2011年のことであり、またジェルラン競技場であった。ベンゼマにとって、リヨンの新スタジアムでの先発出場は感無量であろう。
■3バックシステムが奏功、アントワン・グリエズマンが2ゴール
このデシャン監督のシステム変更が功を奏し、フランス代表として今年のベストゲームを展開した。上り調子のフィンランドに対して試合の序盤から主導権を握り、ボールを支配した。試合開始直後から立て続けにCKのチャンスをつかむ。積極的に攻撃するフランスが先制点を奪ったのは25分のことであった。左サイドのマルシャルからペナルティエリア内のベンゼマにつなぎ、ベンゼマはチームメイトであるグリエズマンにパス、これを左足でシュートし、ネットを揺らす。5試合連続で先制点を奪われていたフランスはその不名誉な記録に終止符を打った。
さらに後半に入ってもフランスの勢いは止まらなかった。53分にベンゼマから右サイドのデュボワにパス、デュボワがゴール前にクロス、これをグリエズマンがニアポストに決めて2-0とする。グリエズマンはこれで代表通算41ゴールとなり、ミッシェル・プラティニに並ぶ。
9月の戦いを終え、フランスは2位ウクライナに勝ち点7の差をつけて、10月のUEFAネーションズリーグに臨むのである。(この項、終わり)