第2906回 前半戦を終えたヨーロッパリーグ(2) 単独首位で前半戦を終えたモナコ

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■育成組織出身の選手で固めたレアル・ソシエダ

 前回の本連載ではヨーロッパリーグの前半戦で3連勝したリヨンについて紹介した。ヨーロッパリーグの前半戦で全勝したチームはグループAのリヨンとグループHのウェストハム・ユナイテッド(イングランド)だけである。
 今回はグループBのモナコを紹介しよう。
 初戦を白星でスタートしたモナコの第2節はスペインのレアル・ソシエダとのアウエーゲームである。スペインリーグで昨季は5位に入り、2年連続のヨーロッパリーグ参戦となったレアル・ソシエダは第3シードとなり、初戦は第2シードのPSVアイントフォーヘン(オランダ)と引き分けている。選手の多くは育成組織出身であり、モナコ戦に登録された23人のメンバーのうち18人が該当する。そして監督のイマノル・アルグシアルも育成組織の出身である。外国籍の大物選手はいないが、育成育ちの選手で固めたチームは3万6000人のシーズンチケットホルダーが収容人員4万人のレアレ・アレナを埋め尽くす。

■守勢のモナコ、オウンゴールで先制点、アウエーで引き分けに持ち込む

 青と白の縦縞のレアル・ソシエダが試合を支配する。しかし、モナコは16分にストッパーで主将のアクセル・ディザジがCKをヘディングでシュート、これがポストに当たる。跳ね返ったボールはレアル・ソシエダの選手に当たり自らのゴールに入り、オウンゴールでモナコが先制した。これに対して試合を一方的に支配したレアル・ソシエダは後半に入って53分にCKをミケル・モリノがヘディングで合わせて同点に追いつく。メリノは東京オリンピックにも出場したことから日本の皆様もよくご存じであろう。その後もレアル・ソシエダは多くの得点チャンスをつかんだが、勝ち越し点を奪うことができず、試合は1-1のドローとなる。モナコは苦しい試合で勝ち点1を獲得したのである。

■中盤戦はPSVアイントホーフェンと首位攻防戦

 1勝1分となったモナコは第3節と第4節の相手はPSVアイントフォーヘンである。PSVアイントフォーヘンは第2節でオーストリアのシュトゥルム・グラーツとアウエーで対戦した。モナコがホームでの開幕戦で苦労したシュトゥルム・グラーツであるが、PSVアイントフォーヘンはアウエーゲームの不利をものともせず、4-1と大勝、1勝1分とする。モナコとは同じ勝ち点4で並んでいるが、得失点差で上回り、首位となり、中盤戦の首位攻防戦を迎えた。
 この連戦は10月21日にまずPSVアイントフォーヘンの本拠地フィリップス・アリーナで行われた。3万3000人の観衆の集まる中での試合、モナコにとっては今季最多の観衆の前での試合となる。PSVアイントフォーヘンはこれまでフランスのチームとホームでは15回試合をしているが、6勝6分3敗と圧倒的に勝ち越している。両チームには注目の相手国の選手がいる。まず、モナコにはAZアルクマールから移籍してきたオランダ代表のマイロン・ボアドゥ、弱冠20歳であるが、フランス代表のウィッサム・ベン・イェデルを押しのけて2トップの一角を占める。そしてPSVアイントフォーヘンにはモナコ生まれのフランスのアンダーエイジの代表の常連、オリビエ・ボスカグリが先発する。

■終了間際に決勝点、首位で前半戦を折り返したモナコ

 モナコは試合開始から優勢に試合を進め、PSVアイントフォーヘンのゴールを襲う。その勢いでモナコは先制点を奪う。18分にボアドゥがPSVアイントフォーヘンのGKの股間を抜くシュートを決める。今季オランダから移籍してきたボアドゥはモナコに加入してからの初ゴールをオランダで決めた。
 後半に入ってPSVアイントフォーヘンが目覚め、攻勢に出る。59分にコーディ・ガクポの右足のシュートで追いつき、ホームの観客は沸く。ところがそのガクポはこの直後に負傷のため、ピッチを去る。
 このままドローで試合終了かと思われたが、モナコは89分、相手のペナルティエリア付近でケビン・フォランドがボールを奪い、カイオ・アンリケ、ソフィアン・ディオップとつなぎ、ディオップが決勝点を決め、2-1と勝利する。
 モナコは首位決戦をアウエーで制し、単独首位に立ったのである。(続く)

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