第2924回 12年ぶりにオールブラックスを破る(3) ジョージアとの2回目の対戦も快勝

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■アルゼンチン戦であらわになった課題

 前回の本連載で紹介した通り、秋のテストマッチ第1戦はアルゼンチンに29-20と競り勝った。代表デビューとなったチボー・フラマン、今夏の豪州遠征で代表入りしたメルバン・ジャミネの活躍はうれしいが、課題も多い試合だった。課題の最たるものがフロントスリー、スタンドオフとセンターである。これまでスタンドオフで出場することの多かったロマン・エンタマックをセンターに起用、スタンドオフはマチュー・ジャリベールが務めた。しかし、この2人の連携が機能せず、攻撃にブレーキがかかった。

■フランスとゆかりの深いジョージアのラグビー

 第2戦の相手はジョージアである。近年はワールドカップの常連であり、ティア2の上位の力を保っている。2017年に両国のラグビー連盟は協定を結び、つながりを深めている。また、ジョージアの主力選手のほとんどはフランスのクラブに所属している。しかし、フランスとの対戦はこれまでに1回、2007年のラグビーワールドカップの予選プールで対戦しただけである。マルセイユでの試合は昨年亡くなったクリストフ・ドメニシが活躍し、64-7と大勝している。

■ウイングのマティス・ルベルが代表にデビュー

 この秋の3つの相手の中では最も力が落ちると目されるので、ファビアン・ガルチエ監督がどのような選手起用するかが注目されたが、エンタマックとジャリベールはアルゼンチン戦と同じポジションでの起用となった。FW第一列はシリーユ・バイユ、ジュリアン・マルシャン、ウイニ・アトニオ、第二列はカメロン・ボキとロマン・タオフィフェヌア、フランカーはアントニー・ジェロンチとセクー・マカルー、ナンバーエイトはグレゴリー・アルドリット、スクラムハーフはアントワン・デュポン、スタンドオフはマチュー・ジャリベール、スリークォータバックは左からマティス・ルベル、ロマン・エンタマック、ガエル・フィクー、ダミアン・プヌー、フルバックはメリバン・ジャミネというメンバーである。アルゼンチン戦と比べるとFWは半数が入れ替わったが、BKで入れ変わったのは人だけ、ウイングのルベルであるが、代表デビューとなる。
 白いユニフォームのフランスの戦いの場はボルドーのマットミュット・アトランティック競技場、2015年に完成した新スタジアム、2年後のラグビーワールドカップの会場にもなっているが、初めてラグビーのフランス代表が戦う。

■モールで押し込んだフランスが6トライをあげて快勝

 試合は終始フランスペースとなった。9分にジャミネのペナルティゴールで先制、ジョージアも21分にペナルティゴールで追いつく。ロースコアの試合となるかと思われたが、フランスは24分にペナルティキックをジョージアゴール前のタッチに蹴りこみ、5メートルラインのラインアウトで攻撃を仕掛ける。ここからモールで押し込み、ジョージアの繰り返しの反則によりペナルティトライで先制する。この反則でジョージアは1人がシンビンとなる。ジョージアは反則でしかフランスの攻撃を止められない状況が続く。32分にはジョージアが自陣でのラインアウトを確保できなかったところから、ジャリベールがトライ、ゴールも成功する。36分には5メートルスクラムからデュポンからフィクー、プノーとパスをつないでプノーがトライ、ゴールも決まって前半を24-3と折り返す。
 後半の最初の得点は48分のジョージアのトライ(ゴール成功)であったが、BKがトライを重ねた前半とは対照的に、後半はFWがトライを決める。51分にはフランスはラインアウトからモールで前進、ペアト・モーバカがトライを決める。
 64分にジョージアのトライを許したが、73分にはフランスはまたゴール前のラインアウトからモールで押し込み、トライこそプヌーの名前が記録されたが、この日3本目のモールからのトライである。試合終了間際にはモーバカがこの日2本目のトライをあげる。最終スコアは41-15、6トライをあげ、反則数も少なく、上々の試合内容で、オールブラックスとの一戦を迎えるのである。(続く)

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