第2967回 グランドスラムを目指すフランス(3) イタリアから5トライをあげて勝利
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■イタリア戦史上最多の78,750人の観衆の前でキックオフ
今年のフランスの6か国対抗はスタッド・ド・フランスでのイタリア戦で幕を開ける。例年、イタリア戦は観客動員に悩むカードであるが、今年はコロナ禍の中で、ラグビー観戦を熱望するファンの熱い気持ちを象徴しているのであろうか、78,750人の観衆が集まった。これはイタリア戦としては史上最多の観衆となった。2年前は新型コロナウイルスがまだ欧州のスポーツ界に影響を与える前であったが、観衆は5万2000人にとどまっている。その前の2018年のホームゲームはスタッド・ド・フランスでは観客動員が難しいと判断し、サッカーの都、マルセイユのベロドロームに舞台を移して開催し、5万人の観客の前で試合が行われている。
■ボーナスポイントを獲得したいフランス、番狂わせを起こしたいイタリア
ホームのフランスが白、ビジターのイタリアはファーストジャージの青を着用する。前日の土曜日にはライバルのアイルランドがウェールズに29-7と大勝し、ボーナスポイントを獲得している。フランスとしてはアイルランド同様にボーナスポイントを奪って勝利したい。そして、もう1つの試合では劣勢を予想されていたスコットランドがイングランドに対し、終盤に追いつき、勝ち越している。イタリアとしては各チームが仕上がっていない初戦で番狂わせを起こしたいところである。
■最初のトライをあげたイタリア、30分過ぎの時点でフランスをリード
大量得点での勝利を目指すフランスは立ち上がりから攻め込む。攻められたイタリアはオフサイドの反則を犯し、フランスは5分に35メートルの位置でペナルティを獲得する。キッカーは昨年夏の豪州遠征でデビューしたメルビン・ジャミネ、これを難なく決める。代表7試合目で早くも22本目のペナルティゴール成功である。3点先制した後のフランスは攻め込み、イタリアは自陣22メートル陣内にくぎ付けとなる。
ところがこの試合初のトライはイタリアであった。16分、ハイパントをジャミネが競り合ったが、クリーンキャッチできず、このボールをイタリアのロックが確保して突進し、フランスの22メートル陣内に迫る。ここで大技を見せたのがイタリアのスタンドオフのパオロ・ガルビジである。逆の右サイドにキックパスを蹴り込む。これをキャッチしたのが、この日代表デビュー、19歳のトンマーゾ・メノンチェッロであった。右隅にトライをあげ、ガルビジのコンバージョンも決まって、イタリアが7-3と逆転する。
予想外の展開となったが、フランスはあわてなかった。22分には先制トライの起点となったミスを取り戻すべく、ジャミネが見事な50-22キックを決めてイタリアゴール前に攻め込む。イタリアボールのラインアウトが乱れたところをフランカーのアントニー・ジェロンチがパスをインターセプトし、そのままゴールラインを越えて逆転トライ、代表15試合目にして初めてのトライとなった。ジャミネのゴールは失敗、リードは1点となる。
しかし、イタリアも攻め続け、30分にはペナルティを獲得、ガルビジが決めて10-8と逆転した。イタリアの若い選手が躍動する。
■3トライをあげた赤いヘッドキャップのガバン・ビリエール
フランスは35分にジャミネのペナルティゴールで逆転、そして前半の終了間際、イタリアはスクラムで痛恨の反則、フランスはイタリアゴール前でのラインアウト、フランスはモールではなく、バックスで勝負、最後はガバン・ビリエールが左隅にトライをあげ、ジャミネがゴールも決めて18-10で前半を終えた。
後半のフランスの目標はあと2トライあげてボーナスポイントが欲しい。フランスは48分にはラックで相手ボールを奪い、グレゴリー・アルドリッドの突進からビリエールがゴールラインに飛び込んでトライ、23-10とする。
フランスがボーナスポイントを獲得したのは68分、左ウイングのダミアン・プノーがタッチライン沿いを走ってロングゲインしてトライ、ジャミネのゴールで30-10とする。これで目標を達成したフランスであったが、後半も40分過ぎにトライが待っていた。赤いヘッドキャップのビリエールがこの日3本目のトライ、ジャミネが交代していたため、エンタマックがゴールを決めて37-10、フランスは好スタートを切ったのである。(続く)