第2975回 パリサンジェルマン、レアル・マドリッドに逆転負け (2) カリム・ベンゼマがハットトリック
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■続くパリサンジェルマンのペース、キリアン・ムバッペが先制点
パリサンジェルマンとレアル・マドリッド(スペイン)、今季のチャンピオンズリーグの1回戦屈指の好カードであることに間違いはない。パリでの第1戦はパリサンジェルマンが内容的には圧倒していたが、スコアの上ではキリアン・ムバッペのわずか1点差での勝利であった。ホームアンドアウエーのノックアウトシステムで第1戦のホームチームは2点差の勝ちが目安となっていることから考えれば、第2戦ではホームとなるレアル・マドリッド有利という見立てであった。ところが舞台がパリからマドリッドに変わった第2戦も試合展開は変わらない。そして38分にはスピードにまさるムバッペがレアル・マドリッドの守備陣を振り切り、ゴールをあげる。ムバッペはこれでパリサンジェルマンで通算157点となり、ズラタン・イブラヒモビッチを抜いて単独2位となった。
ムバッペのゴールはこの試合だけを考えれば先制点であるが、2試合合計でとらえれば、2点差となる追加点である。そして第1戦からここまでの128分間で劣勢だったレアル・マドリッドが残りの52分間で最低でも2点をあげることはほぼ不可能ではないかと、サンチャゴ・ベルナベウに集まったファンは覚悟し、ハーフタイムを迎えた。
■ジャンルイジ・ドンナルンマにプレッシャーをかけたベンゼマが1点を返す
後半に入っても試合の主導権はパリサンジェルマン、レアル・マドリッドはなかなかパリサンジェルマンのゴールに迫ることができない。ところが、試合はまさかの展開となる。
57分にレアル・マドリッドは慣れない中盤の底というポジションで苦戦していたトニ・クロースに代えて若きフランス代表エドゥアルド・カマビンガを投入し、リズムが変わる。61分、プレスネル・キンペンベからのバックパスを受けたジャンルイジ・ドンナルンマに対し、カリム・ベンゼマがプレッシャーをかける。ゴールの左側にいたドンナルンマは苦し紛れにゴールラインと並行に右サイドにパスを出す。このボールを走り込んで奪ったのがビニシウスであった。そしてGKにプレッシャーをかけたベンゼマも素早く中央にポジションを移す。ビニシウスがゴール前に折り返し、ベンゼマが難なくシュートを決める。
もちろん、これはドンナルンマの軽率なミスであったが、ベンゼマの献身的なプレーの賜物でもあった。パリサンジェルマンとしては決して動揺するようなゴールではなかったが、足が止まってしまった。
■チャンピオンズリーグ史上最年長のハットトリックを決めたベンゼマ
71分にはルカ・モドリッチが見事なスルーパスを最前線のベンゼマに通す。ベンゼマのシュートは身を挺して守ったマルキーニョスの足に当たってコースが変わったこともあり、ゴールネットを揺らし、レアル・マドリッドが追いついた。
この同点ゴールで動揺したパリサンジェルマンはまさに自滅ともいえる決勝点を奪われる。78分にはレアル・マドリッドはスピードに乗った攻撃で左サイドのビニシウスに展開する。ビニシウスと競り合ってボールをタッチしたマルキーニョスはあろうことか、ゴール前のベンゼマにプレゼントパス、これをベンゼマが豪快にゴール左隅に蹴り込む。チャンピオンズリーグ史上最年長の34歳のハットトリックにより、レアル・マドリッドが通算スコアで逆転する。残り時間はいくらあってもパリサンジェルマンが追いつく可能性はなく、パリサンジェルマンはこの試合は1-3、通算スコアで2-3と敗れたのである。
■不満が爆発、ムバッペのレアル・マドリッドへの移籍も報道
まさかの逆転負けを喫したパリサンジェルマンに対するファンの不満は爆発、中でもバロンドール7回獲得のリオネル・メッシ、バルセロナでもメッシの僚友だったネイマールに対して批判が集中した。さらにクラブの経営陣の責任を問う声も存在する。そしてなんといっても、この2試合で孤軍奮闘の活躍を見せた最大の功労者であるムバッペがチャンピオンズリーグをパリサンジェルマンでは獲得できないと見切って、レアル・マドリッド移籍という報道がなされるに至ったのである。(この項、終わり)