第409回 節目を迎えたフランスのクラブシーン
読者の皆様、あけましておめでとうございます。本年もよろしくお願いいたします。
■折り返し点のリーグ戦、1部のチームも参戦するフランスカップ
夏に始まり、初夏に終わる欧州のサッカーカレンダーであるが、近年のフランスのクラブシーンでは年の変わり目がちょうど節目になるように日程がデザインされている。まず、リーグ戦はちょうど年末年始が折り返し点となる。つまり、年内に全てのチームと一通り対戦が終わり、年が明けてからは年内とは逆のグラウンドでもう一度対戦するようになっている。また、フランスカップについては秋からフランス本土だけではなく海外県や海外領土でも熱戦が展開されているが、年が明けてから1部リーグのチームも参戦するようになる。
■「秋の王者」は4連覇を目指すリヨン
まず、20チームで争うリーグ戦の1部は12月19日の第19節で前半戦が終了した。この時点で首位のチームを「秋の王者」と称すが、4連覇を目指すリヨンが無敗をキープし、10勝9分の勝ち点39で秋の王者になっている。リヨンの失点は19試合でわずか8であり、安定した守備力も健在である。
しかし、気になるデータもある。過去10年間の「秋の王者」のうち、最終的にリーグを制覇することができたのは1998-99シーズンのボルドーと1999-2000シーズンのモナコだけである。昨シーズンまで3連覇を果たしたリヨンも折り返し点では首位に立ってはいない。年の代わりとともに再開される後半戦が「秋の王者」にとって順調に行かないのは、後述するように国内外のカップ戦が本格化し、リーグ戦以外にも神経を集中しなくてはならなくなることが大きな理由であろう。
■強行日程を克服し、国内外で活躍する2位リール
秋の王者リヨンを追う2位はリヨンと勝ち点3差のリールである。昨季リーグ10位のリールは真夏からインタートトカップに参戦するというハードスケジュールをこなし、インタートトカップを勝ち抜いただけではなく、UEFAカップでも決勝トーナメント進出を決めている。真夏の過密スケジュールを回避するためにインタートトカップ出場を辞退するチームが多い中、リールは欧州での戦いのみならず、国内リーグの成績も素晴らしく、多くのチームを見返す形となった。昨夏のインタートトカップはリーグ7位のマルセイユ、8位ランス、9位レンヌが相次いで辞退した。これらのチームは国内のリーグ戦に専念するつもりであったが、リーグの前半戦を終了した時点でマルセイユは5位、ランスは12位、レンヌは13位という成績であり、猛省を望みたい。そのリーグ戦は11日にリールがマルセイユを迎えるというカードで再開する。首位を狙うリール、新体制で汚名返上を期すマルセイユ、後半戦のスタートにふさわしい一戦である。
■年明けから本格化する国内外のカップ戦
そしてリーグ戦より先にキックオフされるのがフランスカップのベスト32決定戦である。1月7日、8日に32試合が行われるが、1部リーグの20チームが登場する。例年ジャイアントキリングが多発するが、休暇明けの初戦がこのカップ戦であり、今年も1部リーグ20チームは戦々恐々で今年初めての試合を迎えることになるであろう。
忘れてはならないのが第三のタイトルであるリーグカップである。優勝チームはUEFAカップ出場権が与えられることから、考えようによってはフランスカップと同価値のタイトルである。さらに決勝は4月30日であり、リーグ戦の展開にもよるが、欧州カップ出場の一番乗りも可能である。すでに秋から戦いは始まっており、1月18日に準々決勝が行われる。
また、国際試合に目を転ずると、前回までの本連載で紹介したように、チャンピオンズリーグ、UEFAカップとも年明けからは決勝トーナメントとなり、かつての欧州三大カップ以来の伝統である負けたら終わりというホームアンドアウエーでの戦いが展開される。前回まで本連載で紹介したとおり、フランスからはチャンピオンズリーグにリヨンとモナコ、UEFAカップにソショー、オセール、リールが勝ち残っており、2月の再開が楽しみである。(続く)