第3006回 マルセイユ、準決勝で敗れる(4) 守りのミスが重なって敗れたアウエーの第1戦

 平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。

■熱いファンを抱えるフェイエノールト

 マルセイユが準決勝で対戦するフェイエノールト(オランダ)も準々決勝で対戦したPAOKテッサロニキ(ギリシャ)同様、ファンが熱いことで有名である。準決勝は準々決勝と逆で第1戦がアウエーでの試合となる。新型コロナウイスルの感染拡大以降、観戦に様々な制約が課せられていたが、その重しが取れ、ファンは従前以上に羽目を外した行動になりがちである。制限の解除とともにトラブルを起こすファンの存在に主催者や開催地は頭を抱えている。ロッテルダムでの第1戦にもマルセイユのファンが2000人集結した。このファンが安全にアウエーでの試合観戦ができるようにロッテルダムの旧港付近にはマルセイユのためのファンゾーンが設けられた。

■欧州で250試合目となるマルセイユ、100試合目となるスティーブ・マンダンダ

 マルセイユはこの試合が欧州カップでの250戦目に当たる。これはフランス勢ではリヨン(280試合)、パリサンジェルマン(255試合)に次ぐ3番目の数字である。そしてマルセイユのメンバーの中で注目すべきはGKのスティーブ・マンダンダである。37歳のマンダンダはこの試合が欧州カップでの100試合目となる。マンダンダは2007年にマルセイユに加入、2016-17シーズンのみイングランドのクリスタル・パレスに移籍したが、マルセイユのゴールを守り続け、クラブの欧州の歴史の4割の試合に出場するに至った。
 PAOKとの第2戦では3人の選手を出場停止で欠いたが、全員戦線に復帰する。ここまで欧州カップで7連勝、この勢いをアウエーの試合に持ち込みたいところである。一方のフェイエノールトは国内リーグの上位チームとのプレーオフから長い戦いを続けてきた。決勝はアルバニアのチラナで1回戦制で行われることから、準決勝が最後のホームアンドアウエー方式での試合となる。ホームでは予備戦ならびにプレーオフ3試合、グループリーグ3試合、決勝トーナメント3試合、9試合目のこの試合がホームでの最終戦である。フェイエノールトは欧州カップでは2001-02シーズンのUEFAカップ以来20年ぶりの準決勝、この時は日本の小野伸二が所属していたことから日本の皆様もよくご存じの通り、優勝を果たしている。20年ぶりの決勝、優勝を目指すフェイエノールトはほぼベストメンバーでマルセイユ戦に臨む。

■フェイエノールトが2点を先行、前半のうちに追いついたマルセイユ

 フェイエノールトのキックオフで始まった試合、フェイエノールトはいきなり攻め込む。試合は両チームが積極的に攻める展開となる。先制点を決めたのは赤と白のフェイエノールトであった。最終ラインからのロングボールを受けたルイス・シニステラはゴール前のシリエル・デセルスにヒールキックでつなぎ、デセルスがゴールを決める。マルセイユは守備陣のゴール前の集中が途切れたところを突かれた。さらにそれから間もない20分、今度は右サイドのネルソンが逆サイドの大きくクロス、ファーポストにいたシニステラが右足でシュート、このシュートがマルセイユのバランタン・ロンギに当たってコースが変わり、マンダンダも止めることができず、マルセイユは立て続けに失点する。デカイプ競技場は興奮のるつぼと化す。
 ここまでほぼ互角に試合を進めていたマルセイユもあきらめない。28分にはセドリック・バカンブが逆サイドにクロスをあげ、バンバ・ディアンがゴール前でシュート、このシュートが決まり、マルセイユは1点差に詰め寄る。そして前半も間もなく終わろうとする40分、マテオ・ゲンドウジが右サイドからクロスをあげフェイエノールトのGKオフィル・マルシアーノが止めたものの、はじいたボールをジェルソンがつめており、左足のシュートは同点ゴールとなった。

■後半キックオフからのマルセイユの痛恨のミスが決勝点につながる

 後半はマルセイユのキックオフで始まったが、キックオフボールを後退させたマルセイユ、ストッパーのドゥエ・チャレタツァルがマンダンダに返すボールが弱く、デセルスに奪われ、デセルスはマンダンダをかわしてシュート、後半開始わずか9秒で無人のゴールにボールは吸い込まれた。記録に残っている中では後半キックオフ後最速での得点となる。マルセイユは攻めるが守備を固めたフェイエノールトを崩せず、アウエーの第1戦を2-3で落としたのである。(続く)

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