第3012回 ナント、22年ぶり4回目のフランスカップ優勝(1) ニース優勢の下馬評、ファンの熱量はナント
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■4回目の優勝を目指すニースとナント
5月8日に行われるフランスカップ決勝戦はニース-ナント戦となった。両チームともこれまでに3回の優勝を誇り、どちらが勝利しても4回目の優勝となる。ニースは優勝した1997年以来、ちょうど25年ぶりの決勝進出となる。ナントも前回の決勝進出は2000年、連覇を果たしたとき以来の決勝である。優勝に関しては似たような歴史の両チームであるが、過去の決勝戦を振り返れば、興味深い違いが表れる。ニースは決勝戦では3勝1敗、敗れたのは1978年だけであるが、ナントは決勝戦では3勝5敗と負け越している。
■パリサンジェルマン以外では最後に連覇を果たしたナント
ただ、ナントは1999年と2000年に連覇を果たしている。連覇と言うと近年のフランスカップを席巻しているパリサンジェルマンのイメージ(2015年から2019年にかけての4連覇、2020年と2021年の連覇)が強いが、実はパリサンジェルマンの黄金期の前に連覇を果たしたのはナントが最後である。2000年代はリーグ戦ではリヨンが7連覇を果たしたが、そのリヨンもフランスカップでは連覇を果たすことができなかった。そしてこれは1990年代に絶頂期を迎えたマルセイユも同様であり、マルセイユも1989年に優勝しただけで1990年代に入ってからは優勝できなかった。
■パルク・デ・プランスでの最後の優勝を果たしたニース
そしてニースの最後の優勝は1997年であり、パルク・デ・プランスで行われた最後の決勝の勝者である。すなわち、ニースはスタッド・ド・フランスでのフランスカップを知らないチームである。フランスカップの決勝がスタッド・ド・フランスに移った初年の1998年の優勝チームはパリサンジェルマンであったが、それに続いて連覇を果たしたのがニースである。スタッド・ド・フランスでこれまでに24回決勝が行われたが、そのうち10回はパリサンジェルマンが優勝、残る14回をナント、ギャンガン、オセール、リヨンが各2回、ストラスブール、ロリアン、レンヌ、リール、ボルドー、ソショーが各1回という内訳であり、パリサンジェルマン以外で連覇を果たした唯一のチームがニースなのである。
■フランスでは最後のタイトルとなったフランスカップ
パリサンジェルマンが不在の決勝は2014年以来8年ぶり、そのパリサンジェルマンはリーグ優勝を4月23日に決めている。また、欧州に目を転じれば、欧州カップでフランス勢として最後まで残ったマルセイユはヨーロッパカンファレンスリーグの準決勝でオランダのフェイエノールトと戦い、5月5日に敗退が決定している。すなわち、フランスのサッカーチームにとって最後に決まるタイトルがフランスカップとなった。
フランスカップの決勝と同時にリーグ戦では第36節が行われているが、この時点でニースは5位、ナントは9位である。またニースとナントはリーグ戦ではすでに2試合とも対戦を終え、前半戦はナント、後半戦はニースで対戦したが、2試合ともニースが勝利している。試合前の予想ではニース有利という声が強いが、ファンの熱さではナントが勝っている。ナントは準決勝でも3万人以上のファンがボージョワール競技場に集まっており、スタッド・ド・フランスには2万人の黄色いファンがやってきた。
8万観衆が集まったが、チケットのうち、2万1000枚がナント、1万9800枚がニースに割り当てられ、その他サッカーファミリーの1万2500枚、大統領をはじめとする招待客に6000枚、ホスピタリティチケットとして6200枚、企業相手に3000枚、一般向けには9000枚のみが割り当てられた。4分の3はナント以外に割り当てられたが、スタッド・ド・フランスは赤黒のニースよりも黄色と緑のナントの色が優勢であった。
試合前には大統領選挙で再選されたばかりのエマニュエル・マクロン大統領がピッチに降り立ち、両チームの選手を激励する。ニースは38歳のダンテ、ナントは24歳のルドビック・ブラがメンバーを紹介し、いよいよキックオフを迎えるのである。(続く)