第3026回 思わぬ結果となったUEFAネーションズリーグ(2) 初戦の相手はワールドカップでも対戦するデンマーク
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■第3回を迎えたUEFAネーションズリーグ
今回で第3回を迎えるUEFAネーションズリーグ、当初の目的の通り、実力の均衡した相手との真剣勝負を増やす、ということは達成された。一方、欧州域外の国との親善試合の機会が減少し、ワールドカップが数少ない欧州域外の国との対戦チャンスとなったことも事実である。
UEFAネーションズリーグの第3回大会も第2回と基本的には同じで、参加国を4段階のレベルに分け、最上位のリーグAから3番目のリーグCまでは16チームから構成され、それぞれ4チームずつのリーグに分けられてホームアンドアウエーで総当たり戦を行う。リーグAの各グループの最上位の4チームにはファイナルズを戦う。他方、リーグAの各グループで最下位となった場合は、次の大会でリーグBに降格する。
■恵まれた組み合わせとなったフランス
前回大会の結果ですでにリーグAからリーグDまでのリーグ分けは終わっており、シード順も決定している。前回優勝のフランスはファイナルズに出場したスペイン、イタリア、ベルギーとともにリーグAの第1シードである。組み合わせ抽選は昨年12月に行われ、フランスはグループA1に入り、第2シードからデンマーク、第3シードからクロアチア、第4シードからオーストリアという国と対戦することになった。第2シードはデンマーク以外にはポルトガル、オランダ、ドイツ、第3シードにはイングランド、昨年の欧州選手権で敗れたスイスもいることから、フランスにとってはかなり楽観的な組み合わせになった。
6月のスケジュールを確認すると第1節は3日、スタッド・ド・フランスでデンマークと対戦する。第2節は中2日でクロアチアとスプリトで対戦する。第3節もアウエーでの戦いが続き、10日にウィーンでオーストリア戦、そして第4節はスタッド・ド・フランスに戻り。13日にクロアチアと戦う。この4試合でフランスは全勝の12に近い勝ち点を積み上げ、9月に行われる第5節と第6節では最後の新戦力の見極めを行いたいところである。
■昨年6月以来のスタッド・ド・フランス出の代表戦
6月3日20時45分、スタッド・ド・フランスは7万5000人の観客で埋まる。スタッド・ド・フランスでフランス代表が試合をするのは昨年6月8日、欧州選手権前に行われたブルガリアとの親善試合以来1年ぶりのことである。ファンの関心が高いことに加え、チケットは前売りで完売した。実際には若干の売れ残りはあったが、この1週間前にはロシアのウクライナ侵攻によってチャンピオンズリーグの決勝を代替開催し、その入場の際にトラブルがあったことから、このデンマーク戦は当日券の販売を行わなかった。
ファンにとってはワールドカップに向けて、それほどタフではない相手との4連戦でチームの基盤を築くことになると信じていた。唯一の心配と言えば、ディディエ・デシャン監督の父親が亡くなり、そのため、デシャン監督はこのデンマーク戦の指揮から外れることくらいであった。なお、デシャン監督に代わってギ・ステファンコーチが指揮を執る。
■ワールドカップでは2018年に引き分け、2002年に負けたフランス
さて、初戦の相手のデンマークとは11月に開幕するワールドカップでも同じグループに入り、第2戦で対戦する。さらにデンマークとは前回のワールドカップでも同じグループに入り、スコアレスドローであった。このワールドカップでフランスは優勝したが、唯一勝利をあげることができなかったのが、このデンマークなのである。さらに時代をさかのぼるとフランスとデンマークが親善試合以外で対戦したのは2002年ワールドカップのグループリーグ最終戦、1分1敗で崖っぷちのフランスは点差を付けて勝利すれば決勝トーナメント進出の可能性もあったが、0-2と敗れてグループリーグで敗退した。フランスがタイトルマッチでデンマークに勝利したのは2000年欧州選手権のグループリーグが最後である。
一方、この間の親善試合ではフランスはデンマークを圧倒している。タイトルマッチとなるとフランスの動きが悪くなる。この日も歴史は繰り返したのである。(続く)