第3048回 2022-23フランスリーグ開幕(2) リヨン、1部復帰のACアジャクシオを開幕戦で下す

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■8年ぶりに1部に復帰したACアジャクシオ

 2022-23シーズンのフランスリーグは8月6日、リヨンとAC小規模だったアジャクシオの1戦で始まった。コルス島の三大クラブの1つであるACアジャクシオは昨季の2部リーグで2位に入り、8年ぶりに1部に復帰した。100年以上の歴史を誇るクラブであるが、1部に初めて昇格したのは1967年のこと、この時は6季在籍したが、1973年にリーグ最下位となって2部に降格、そこから長い低迷期に入る。ようやく2部に復帰したのが1998年、そして2002年に1部に29年ぶりに復帰した。しかし、2006年に2部陥落、2011年に1部復帰したものの、2014年に2部に陥落した。今回の8年ぶりの1部復帰はACアジャクシオにとって2番目に長いトンネルから抜け出したことになる。クラブの歴史において1部では14シーズン目を迎えることとなる。
 このクラブの生んだ最大のスターはマリウス・トレゾールであろう。海外県のグアドループ出身のトレゾールは18歳の時にACアジャクシオの下部組織に入り、その翌年にプロ契約を結んだ。ACアジャクシオに来た時のポジションはCFであったが、当時のアルベルト・ムロ監督はトレゾールをDFにコンバートし、これが成功する。3季目にはクラブ史上最高のリーグ6位に導き、その後、マルセイユ、ボルドーで活躍する。そしてフランス代表での活躍は本連載で紹介してきたとおりである。

■欧州カップへの復帰を目指すリヨン

 このACアジャクシオを迎え撃つのがリヨンである。リヨンは23年間連続して欧州カップに出場してきたが、2020-21シーズンは出場することができなかった。リーグ4位となって昨季はヨーロッパリーグに出場、過去の実績から高く評価されたが、準々決勝で敗退、国内リーグでも欧州カップ圏外の8位に終わり、1996-97シーズン以来の四半世紀ぶりの悪い成績となり、今季はまた欧州の舞台に上がることができなかった。チームの中心はブラジル代表のルーカス・パケタである。昨夏にイタリアのACミランから移籍してきたが、リヨンでは変身したかのように大活躍した。契約途中であるが、ビッグクラブの熱い視線を感じた夏である。パケタは背番号10を付けて先発する。欧州への復帰を目指すリヨンはイングランドのアーセナルからアレクサンドル・ラカゼットが復帰、早速CFを務める。またベンチにはドイツのバイエルン・ミュンヘンから戻ってきたコランタン・トリッソも控えている。

■序盤に2点を先行したリヨン

 4万8000人の大観衆が集まったリヨンのグルーパマ競技場、リヨンのキックオフで試合は始まる。開始直後にACアジャクシオはチャンスをつかむが、先制はならず。過去13回のホームでの対戦は12勝1分と相性の良いリヨンは、2021年2月のフランスカップでも5-1と勝利しており、この日も試合を支配する。リヨンはゴール前でパスをつなぎ、12分にマテウス・テテが先制点をあげる。その直後にもリヨンはラカゼットがペナルティエリア内で倒され、VARとなったがPKは与えられず、追加点をあげることができなかった。しかし、20分にリヨンはチアゴ・メンデスがクロスを入れる。このクロスのターゲットのテテに対して、ACアジャクシオの選手がファウル、主審は今度は迷わずペナルティスポットを指さす。このPKをラカゼットが決め、リヨンはリードを広げた。

■GKが退場となったリヨン、開幕戦で勝利する

 リヨンの楽勝かと思われたが、26分、今度はACアジャクシオの攻撃に対してリヨンのGKアントニー・ロペスが決定的な得点機を阻止するファウル、アントニー・ロペスは退場となり、ACアジャクシオにPKが与えられた。リヨンはウッセム・アウアを下げて控えGKを入れる。10人に減ったリヨンはトマ・マニャニにPKを決められて1点差に追い上げられる。ところがACアジャクシオも前半のアディショナルタイムにロマン・アムマが2回目の警告で退場となり、後半は10対10で戦うことになった。
 後半は両チームとも得点をあげることはなく、リヨンが2-1とACアジャクシオを下して、得意の開幕戦を制したのである。(続く)

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