第3070回 UEFAネーションズリーグ終盤戦(3) 3バックシステムで臨むオーストリア戦
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■復活の兆しのある中央の古豪オーストリア
UEFAネーションズリーグの終盤戦、フランスには9月22日のスタッド・ド・フランスでのオーストリア戦、25日のコペンハーゲンでのデンマーク戦が待っている。
ここまで2分2敗で最下位のフランスがまず対戦するのが3位のオーストリアである。オーストリアはここまで1勝1分2敗で勝ち点4、唯一の勝利は第1節のアウエーでのクロアチア戦であり、フランスとはホームで戦って1-1で引き分けている。ウィーンでの試合については本連載第3029回で紹介したとおりであり、試合終盤にキリアン・ムバッペのゴールで追いついたが、最下位に転落している。試合内容もよくなく、3日後にホームで行われたクロアチア戦では0-1と敗れている。
中欧の古豪であるオーストリア、長い間精彩を欠いていたが、近年は復活の兆しが見え、ワールドカップでは1998年大会を最後に本大会には出場していないが、欧州選手権はスイスとの共同開催となった2008年大会で本大会に初出場した。2016年大会では初めて予選を突破してフランスの地を踏み、分散開催となった2021年大会は本大会でグループリーグを勝ち抜き、ベスト16に進出した。
2018年から始まったUEFAネーションズリーグでは第1回大会でリーグBで2位(全体では17位から20位に相当)、第2回大会ではリーグBで1位となってリーグAに昇格した。実力を蓄えてきたオーストリアはリーグA残留が現実的な目標であろう。
■ホームとアウエーの差が明確なフランス-オーストリア戦
フランスはオーストリアをアウエーの試合では引き分けたが、アウエーでは1993年のワールドカップ予選を最後に4戦連続で勝利を逃した。一方、ホームでは1965年の親善試合で敗れたのが最後で、その後は5連勝し、ホームとアウエーの成績の差が明確である。
■新調されたユニフォームでピッチに立つフランスのメンバー
フランスはワールドカップに向けて新調されたユニフォームでこの試合に臨む。ワールドカップ前最後のフランス国内での試合ということで66,183人の観衆がスタッド・ド・フランスに集まった。
先発メンバーはGKにマイク・メニャン、DFは右からジュール・クンデ、ラファエル・バラン、ブノワ・バディアシル、MFは右からジョナタン・クロース、オーレリアン・チャウメニ、ユスフ・フォファナ、フェルラン・マンディ、FWは中央のトップ下にアントワン・グリエズマン、2トップで右にオリビエ・ジルー、左にキリアン・ムバッペという布陣である。
■3バックシステムで臨むフランス、先発2人が代表デビュー
フランスは6月にUEFAネーションズリーグで4試合戦って以来の試合となるが、その時は初戦のデンマーク戦は3バックシステムで臨んだが、第2戦のアウエーのクロアチア戦から4バックシステムに変更している。2分2敗と不本意な結果になるが、4バックシステムと3バックシステムのいずれを採用するかが話題となったが、ディディエ・デシャン監督は3バックシステムに戻すことなく、最後の3試合は4バックシステムで戦った。
そして3か月のブランクの後、ワールドカップを前に、デシャン監督は3バックに戻したのである。主将を務めているウーゴ・ロリスに代わってGKにはメニャンを起用する。6月の4連戦でメニャンは第2戦と第4戦に出場、この時はロリスの疲労を考慮するとともに世代交代を目論んだものであったが、今回は負傷によるロリス不在の中での起用となる。また、ロリスに代わる主将として起用されたのは3バックの中心のバランである。6月の4連戦のロリス欠場時にはバランはメンバーを外れており、プレスネル・キンペンベが主将を務めた。バランが復帰してきた今回は、逆にキンペンベが不在となる。
そして注目すべきはバディアシル、フォファナという2人の新人が先発することである。フォファナはチュアメニとともに守備的MFを務め、チュアメニは今季スペインのレアル・マドリッドに移籍したが、2人は昨季までモナコでチームメイトであった。またバディシアルもモナコの選手であり、昨季のリーグ戦でチームを3位に引き上げた功績者がそろったのである。(続く)