第3075回 中盤戦を迎えたチャンピオンズリーグ(1) 連敗スタートとなったマルセイユ

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■昨季のヨーロッパリーグの覇者フランクフルトと対戦するマルセイユ

 本連載では第3061回から第3067回にかけてチャンピオンズリーグの開幕戦についてパリサンジェルマンとマルセイユの戦いを紹介したが、今年は秋にワールドカップがあるため、グループリーグを早く終わらせるために、矢継ぎ早に試合が巡ってくる。
 第2節は9月13日と14日に行われた。第1節とは逆で、13日にグループDのマルセイユが、ドイツのフランクフルトをベロドロームに迎えることになる。ホームゲームとはいえ、フランクフルトは昨季のヨーロッパリーグを制した第1シードである。フランクフルトも第1節はポルトガルのスポルティング・リスボン相手に黒星であり、両チームとも第2戦で勝ち星が欲しいところである。この時点でフランスリーグは第7節まで消化しており、マルセイユはこの時点で6勝1分、勝ち点19、パリサンジェルマンと勝ち点で並んでおり、得失点差で首位を譲っているものの、チャンピオンズリーグで初勝利を挙げてパリサンジェルマンに圧力を与えたいところである。

■メイド・イン・ジャパンが支えるフランクフルト

 対するフランクフルトはこの時点で13位とリーグ戦では出遅れている。両チームは2018-19シーズンのヨーロッパリーグのグループリーグでも対戦しており、その時はフランクフルトが2試合とも勝利している。フランクフルトには2人の日本人、長谷部誠と鎌田大地がおり、日本の皆様にとっては関心の高いチームであろう。それに加え、CFのランダル・コロムアニはフランスのオリンピック代表チームの一員として昨年訪日し、ベンチに控え、この試合の終盤に鎌田に代わって交代出場するエリック・ディナ・エビンベはパリサンジェルマンンの一員として日本ツアーに参加し、その後、フランクフルトに移籍している。メイド・イン・ジャパンのチームと言ってもよいであろう。そして長谷部は38歳、主審と同じ年齢であり、ドイツのクラブからチャンピオンズリーグに出場した選手のうちでローター・マテウスに次ぐ2番目に年長ということになった。

■リーグ戦では好調な新監督のイゴール・トゥドールの起用ミス

 今季からマルセイユの指揮を執るクロアチア人のイゴール・トゥドール、ワールドカップで2回日本と対戦したことがあり、日本の皆様にとっては忘れられない選手であろう。これまでに様々なクラブの監督を務めてきたが、初めてのチャンピオンズリーグ挑戦となる。
 チャンピオンズリーグなど欧州カップの試合は週の半ばに行われるため、1週間で3試合を行うことになる。その中でどのような選手を起用するかはチャンピオンズリーグに出場するクラスの監督にとっての手腕の見せ所である。
 しかし、トゥドールはその経験がなかったのか、選手起用に間違いを起こした。攻撃陣は左にディミトリ・パイエ、中央にアレクシス・サンチェス、右にジェルソンの3人を起用した。試合開始からマルセイユはボール支配率でフランクフルトを圧倒するが、最前線の3人がうまく起用せずに、全く得点を奪うことができる雰囲気ではなく、ブレーキとなってしまう。

■前半終了間際に失点したマルセイユ、最下位に転落

 マルセイユが一方的に試合を支配しているにもかかわらず、シュート数は両チームとも少なく、このままハーフタイムを迎えようとしていた43分、フランクフルトは前線へのロングフィードに対してマルセイユの守備陣がもたつくところをコロムアニが拾ってペナルティエリア内にいたデンマーク人のイェスパー・リンドストロームにつなぐ。リンドストロームのシュートはマルセイユのバランタン・ロンジに当たり、ゴールイン。劣勢のフランクフルトが先制する。
 マルセイユは結局前線の3人を後半の早い時間に交代させ、ルイス・スアレス、ジェンギス・ウンデル、アミン・アリが攻撃陣となる。しかし、フランクフルトの組織的な守備に阻まれ、得点をあげることはできず、マルセイユは0-1で敗れ、グループ最下位となったのである。(続く)

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