第428回 トーナメント戦に突入した欧州カップ (2) 勝ち星はなくとも逆転可能なアウエーでの第1戦
■オセール以外のフランス勢を撃破したアヤックス
前回の本連載ではUEFAカップベスト8決定戦で対戦するオセールとアヤックスの過去の欧州カップでの対戦成績を紹介したが、オセール陣営は決して楽観視しているわけではない。まず、アヤックスはオセール以外のフランスのチームには好成績を残している。まずこれまでの連載で何度も紹介しているフランスの雄であるマルセイユは1971-72シーズンのチャンピオンズカップ2回戦ではホーム、アウエーとも連敗し、1987-88シーズンのカップウィナーズカップ準決勝ではホームの第1戦で0-3と大敗、アウエーの2-1の勝利もむなしく決勝進出を阻まれている。また、近年フランスを代表する地位を築いたリヨンは本連載第142回で紹介したように2002-03シーズンのチャンピオンズリーグのグループリーグで対戦しているが、アウエーで1-2、ホームで0-2と連敗しており、アヤックス戦の連敗によりリヨンはグループリーグで姿を消している。これ以外に1979-80シーズンにはストラスブールがチャンピオンズカップ準々決勝で対戦したが、ホームでのスコアレスドローが精一杯で、アムステルダムでは0-4と大敗している。このようにアヤックスはオセール以外のフランス勢を圧倒している。
■アヤックス以外のオランダ勢に劣勢のオセール
逆にオセールのアヤックス以外のオランダ勢との対戦成績を見てみよう。本連載第408回で紹介したように今回のUEFAカップのグループリーグでオセールはオランダのAZと対戦しており、アウエーだけでの対戦であるがオセールは0-2で敗れている。昨シーズンのUEFAカップ4回戦(ベスト8決定戦)ではオセールはPSVアイントホーヘンと対戦し、ホームで終盤追いつかれドロー、アウエーでは0-3と完敗している。さらにその前のシーズンにもチャンピオンズリーグでオセールはPSVアイントホーヘンとグループリーグで対戦している。この時もオセールでドロー、アイントホーヘンで0-3というスコアに終わっている。唯一のオセールのオランダ勢相手の勝利は、ホームで4-0、アウエーで0-0という昨シーズンのUEFAカップ2回戦のユトレヒト戦くらいである。オランダで最強チームであるアヤックスとの対戦成績のよいオセールであるが、それ以外のオランダ勢との対戦成績は惨憺たるものである。
そのような過去の対戦成績はあるものの、オセールもアヤックスも欧州の頂点を目指す気持ちは変わらない。オセールとアヤックスの対戦はまず2月16日にアムステルダムのアレーナで行われた。アヤックスは前半35分にマクスウェルがこの試合唯一のゴールをあげる。オセールも敵地でよく戦ったが、アヤックスは最少得点で第1戦をものにしたのである。
■雪のバーゼルで引き分けたリール
その翌日、フランス勢のソショーとリールも出陣、いずれもオセール同様、アウエーゲームが第1戦となり、できれば引き分け以上で翌週のホームゲームを迎えたい。スイスのバーゼルに赴いたのはリールである。スイスリーグはまだ再開しておらず、長い年末年始休みの間である。リーグ戦で首位リヨンを追走するリールにとってコンディションの整っていないバーゼルを破ることは難しいことではない。さらにスイスはワールドカップ予選ではフランスのライバル、3月末にはスタッド・ド・フランスで対戦することになっており、その1月前にクラブレベルでたたいておいて、意気消沈させたいところである。雪の中で行われたこの試合、序盤こそフランスリーグでもまれているリールは試合を支配したが、時間とともにバーゼルのエンジンが暖まってくる。逆に後半に入ってバーゼルが本調子となるが、結局は両チームともゴールネットを揺らすことなく90分終了、リールにとっては物足りない結果となる。
■アテネで最少失点に抑えたソショー
そしてバーゼルの試合が終盤を迎えた頃キックオフされたのがアテネでのオリンピアコス-ソショー戦である。オリンピアコスは今季の欧州カップではホームでは確実に勝利を収めているチームである。この試合も序盤から試合を支配し、ソショーのゴールを襲う。ソショーの守備陣もよく持ちこたえたが、29分にヨアニス・オッカスのゴールを許す。その後もオリンピアコスが試合を支配するが、ソショーは失点をこの1点に抑え、オセール同様のスコアでホームに戻る。
このようにフランス勢3チームは勝つことはできなかったが、十分に勝機のあるスコアでホームでの試合を迎えるのである。(続く)