第3180回 アイルランドにも勝利、連勝スタート(3) 完勝したオランダ戦から3人を入れ替え
平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■前半はフランスが圧倒するも両チーム無得点
5万人以上の観衆で埋め尽くされたアビバ競技場、フランスのオリビエ・ジルーのキックオフで試合が始まった。ラグビーであれば奇数年にこの競技場で対戦するが、サッカーのフランス代表が2011年に新装なったこのアビバ競技場で試合をするのは初めてのことである。序盤はフランスは様子見の時間帯となった。アイルランドがボールを支配するが、フランスは慎重な戦いを選択する。フランスは6分に左サイドのテオ・エルナンデスからキリアン・ムバッペにつなぎ、ムバッペがロングクロスを入れ、これが最初の攻撃となるがアイルランドのDF陣がクリアする。
ここでようやくスイッチが入ったフランスはここから一方的にボールを支配することになる。9分にランダル・コロムアニがペナルティエリア内に入る。自らがシュートせずにヒールキックでジルーにパスを送るが、ジルーはアイルランドの守備に阻まれた。フランスはアウエーながらボール支配率は7割を超える。フランスはパスをつなぎ、ボールを支配し、ゴール前まで迫るものの、得点をあげることができない。一方のアイルランドは完全に沈黙してしまう。しかし、スコアは両チームとも無得点のまま、試合は後半を迎えることになった。
■復活したバンジャマン・パバールがペナルティエリア外から強烈な先制点
前半のフランスの中で動きがよかったのが左サイドDFのテオ・エルナンデスである。攻撃の起点としてパスを供給するとともに、DFとしてはデュエルに勝利し、安定した守備力を見せた。前回の本連載でフランスの課題となるポジションがサイドDFであると紹介したが、逆の右サイドのバンジャマン・パバールも22分に警告を受けたとはいえ、クロスボールを供給し、ワールドカップで失った信頼を取り戻したといえるであろう。
後半に入って50分、フランスが攻め込み、アドリアン・ラビオの左サイドからのクロスをアイルランドのジョシュ・カレンがカットする、これを中央に下がっていたジェイソン・ナイトに横パスを出す。このパスをパバールがインターセプト、そのまま右足でミドルシュート、ゴールネットを揺らす豪快な先制点となった。パバールはこれが代表で3得点目であるが、2018年のワールドカップのアルゼンチン戦が代表初得点である。その時もペナルティエリアの外からの得点であり、これがペナルティエリア外からの2得点目となる。フランス代表の歴史においてペナルティエリアの外から2得点以上しているDFはパバールと3得点をあげているベルナール・ボスキエだけである。もっともパバールは所属チームのバイエルン・ミュンヘンではしばしばミドルシュートを決めている。このボールを含む2得点はペナルティエリアの外からのものである。
■追加点を奪えないまま試合は終盤に
69分にはラビオが相手に体をぶつけてボールを奪い、ジルーに代わって入ったムーサ・ディアビが左足でシュートするがアイルランドのGKギャビン・ガズヌにセーブされ、追加点はならなかった。75分のラビオのミドルシュートも21歳のガズヌはセーブする。76分にはコロムアニがGKと1対1となるが力のないシュートは真正面。
■試合終了間際に次々とスーパーセーブを見せたマイク・メニャン
ここまでフランスが一方的にボールを支配し、アイルランドのGKの攻守が目立ったが、試合の残り5分では逆にフランスのGKのマイク・メニャンがスーパーセーブを連発した。84分には左サイドから駆け上がってきたジェームズ・マクレーンのシュートをセーブしてCKに逃れる。85分にはそのCKをパンチングでクリアする。そして89分には相手の右CKをジュール・クンデがヘディングであわやオウンゴール、これをメニャンはセーブしてCKにする。さらにそのCK、アイルランドのネイサン・コリンズがヘディングでジャストミート、強烈なヘディングシュートをメニャンは右手一本で防いだ。
結局、復活を印象付けたパバールの一撃と、試合終了間際のメニャンの好セーブの連発でフランスが1-0と勝利、グループBで連勝スタートした唯一のチームとなった。フランスは2試合連続完封勝ちであり、これは2021年11月のカザフスタン戦とフィンランド戦以来のことである。(この項、終わり)