第3193回 フランスカップ、トゥールーズ優勝(6) 先発11人が全員外国人のトゥールーズが先制点

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■1部復帰したトゥールーズ、決勝に進出

 2年間の2部リーグでの生活を送ったトゥールーズ、昨季は2部で優勝し、2位のACアジャクシオ、3位のオセールとともに1部に復帰した。ACアジャクシオ、オセールは下位を低迷し、1年で2部に戻る危険性があるが、トゥールーズは1部では中位をキープしている。
 トゥールーズは2部だった昨季もフランスカップでは7回戦から参戦し、7回戦、8回戦、ベスト32決定戦、ベスト16決定戦と勝ち抜き、ベスト8決定戦でナショナルリーグのベルサイユに敗れている。今季のフランスカップはベスト32決定戦から参戦し、ナショナル3部リーグのチームに7-1と大勝し、ベスト16決定戦では同時に1部に復帰したACアジャクシオに2-0と勝利、ベスト8決定戦でも1部のスタッド・ド・ランスを破り、1部勢を連破している。準々決勝のロデス戦、準決勝のアヌシー戦と2部勢との対戦が続いたが、注目すべきは接戦がなく、差をつけて勝利をしてきたところである。

■リーグ戦で低迷する昨年の覇者ナント

 一方のナントは、リーグ戦では低迷している。フランスリーグは2023-24シーズンからは1部リーグが20チームから18チームに削減されるため、17位以下の下位4チームは自動降格(2部の上位2チームが1部に自動昇格)となり、2部降格を気にしなくてはならない順位にいる。ヨーロッパリーグにも出場し、グループリーグを2位で通過したものの、決勝トーナメントではプレーオフでユベントス(イタリア)に敗れている。ただし、連覇を狙うフランスカップでは勝ち進み、ベスト8決定戦以降、アンジェ、RCランス、マルセイユと1部勢に3連勝し、決勝に進出した。
 66年ぶりか、連覇か、両チームのサポーターはパリに集結し、試合前からトラブルを起こす。コロナ禍の前のフランスではあまりなかった問題が頻発するようになった。

■先発11人全員が外国人のトゥールーズ、23年ぶりの連覇を狙うナント

 試合前にはエマニュエル・マクロン大統領が両チームならびに審判団を激励する。この日も白いユニフォームを着用したトゥールーズは、先発11人全員が全員外国人ということになった。その内訳はオランダ人3人、デンマーク2人、ベルギー1人、ノルウェー1人、アルジェリア1人、モロッコ1人、カーボベルデ1人、チリ1人である。フランスカップ決勝の先発メンバーにフランス人がいないのは長い歴史の中でトゥールーズが最初である。近年のフランスカップではパリサンジェルマンが圧倒的な強さを誇り、14度の優勝を果たしているが、そのパリサンジェルマンでも決勝の先発メンバーには誰かしらフランス人がいたのである。
 トゥールーズは準決勝以降のリーグ戦の戦績はアウエーでモンペリエとロリアンに勝利、ホームでリヨンに敗れているが2勝1敗と勝ち越し、降格圏内から離れて晴れの決勝戦を迎えることになった。
 一方のナントはこの日も黄色いユニフォームである。勝てば5回目の優勝となるが、パリサンジェルマン以外のチームが2年連続で優勝するのは1999年大会と2000年大会を制したナント自身以来のこととなる。その前の連覇チームとなると1986年大会と1987年大会のボルドーとなる。ナントは準決勝以降は元気がなく、ホームでモナコとトロワと引き分け、アウエーでオセールに敗れ、順位を下げた段階で決勝戦を迎えた。
 両チームはリーグ戦では8月にナントで対戦し、ナントが3-1と勝利している。トゥールーズでの試合は5月14日に予定されている。

■開始4分で先制したトゥールーズ

 トゥールーズのキックオフで始まった試合、立ち上がりからトゥールーズの攻撃が試合を支配する。トゥールーズは4分にこの試合最初のCKを獲得する。オランダ人のブランコ・バンデンブーメンのCKをカーボベルデ人のローガン・コスタがヘディングで合わせ、先制点をあげる。今季ここまでリーグ戦では3試合しか出場していなかった選手が先制点を奪ったところにトゥールーズの勢いを感じる。試合はそのままトゥールーズのペースとなったのである。(続く)

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