第3275回 フランス勢の欧州カップ中盤戦(3) トゥールーズは勝利、レンヌは負け、リールは引き分け
平成23年の東日本大震災、平成28年熊本地震、平成30年7月豪雨、台風15号、19号、令和2年7月豪雨などで被災された皆様に心からお見舞い申し上げます。また、復興活動に従事されている皆様に敬意を表し、被災地域だけではなくすべての日本の皆様に激励の意を表します。
■ラグビーの都トゥールーズ
前回までの本連載では欧州カップ第2節でイングランド勢と対戦したパリサンジェルマン(ニューカッスルに敗北)、RCランス(アーセナルに勝利)、マルセイユ(ブライトンと引き分け)の3チームについて紹介した。
ヨーロッパリーグではトゥールーズはホームでLASK(オーストリア)、レンヌはアウエーでビジャレアル(スペイン)と対戦する。
トゥールーズの市営競技場は9月からラグビーワールドカップが繰り広げられていた。日本もこの競技場で2試合行ったことからよくご存じであろう。さらに25年前には日本が初めて出場したワールドカップで初戦のアルゼンチン戦を戦った競技場でもある。ラグビーワールドカップではすでに4試合が行われたが、このトゥールーズ-LASK戦の3日後には予選プール最終戦のフィジー-ポルトガル戦が組まれている。ラグビーの都トゥールーズである。
■14年ぶりに欧州カップで勝利したトゥールーズ
トゥールーズはLASKに押し込まれる時間帯もあったが、31分にガブリエル・スアゾが先制点を奪う。1点を争う試合は終盤までせめぎあいが続き、終盤はファウルの応酬となり、後半アディショナルタイムの96分にトゥールーズはヤニス・ベグラウイがゴールを決めたが、オフサイド。追加点はならなかったが、トゥールーズが守り切り、1-0で勝ち点3をあげた。トゥールーズが欧州カップで勝利したのは2009年12月3日のヨーロッパリーグのグループリーグのパルチザン・ベオグラード(セルビア)戦以来のことであり、ラグビーの都にサッカーの雄たけびが上がったのである。
■攻めながらも1点に泣いたレンヌ
レンヌは6シーズン連続での欧州カップとなる。フランスリーグでは2勝5分と無敗で、ヨーロッパリーグ第1節もマッカビ・ハイファ(イスラエル)に勝利している。一方のビジャレアルはスペインリーグでは2勝2分4敗と黒星先行、ヨーロッパリーグでも第1節はパナシナイコス(ギリシャ)に敗れて、負傷者を複数抱えている。
目立った欠場者もいないレンヌはアウエーで連勝を目指し、積極的に攻める。しかし、先制点を奪ったのはビジャレアルであった。ビジャレアルが放り込んだロングボールをレンヌのアドリアン・トルフェールがヘディングでクリアするが、これを拾ったアレクサンダー・セルロートが左足で強烈なシュート、レンヌのGKスティーブ・マンダンダも反応できず、先制点を許す。
レンヌはアウエーながら攻め続け、ビジャレアルのゴールを襲うが、ゴールネットを揺らすことができない。77分にはレンヌのアルノー・カリムエンドが倒されたかに見えたが、レンヌにPKが与えられることはなかった。それでもレンヌはひたむきに同点を狙う。86分にレンヌのルドビック・ブラがペナルティエリアの中でビジャレアルのアルフォンソ・ペドラザに倒され、VARの判定が長引き、後半アディショナルタイムになってようやくPKが認められた。ところが負傷による長期離脱から275日ぶりに復帰したマルタン・テリエのキックをホセ・レイナがストップし、2年前のこのタイトルの優勝チームであるビジャレアルが1-0で押し気味のレンヌを下したのである。
■リール、フェロー諸島でスコアレスドローに終わる
ヨーロッパカンファレンスリーグに出場したリールは第2節で取りこぼした。チャンピオンズリーグやヨーロッパリーグに近年出場しているリールは第1シードに入り、第1節はリュブリャナ(スロベニア)に2-0と白星スタートとなった。第2節は第4シードのフェロー諸島のクラクスビークとアウエーで対戦した。クラクスビークは第1節はスロバン・ブラチスラバ(スロバキア)に敗れ、ホームに戻ってきた。ところが本来のスタジアムは530人しか収容できず、首都トースハウンの収容人員6,500人の競技場を使用して欧州カップを戦う。リールは一方的に攻め続けたが、ゴールをあげることができない。逆にクラクスビークは何回もピンチを切り抜ける。結局試合はスコアレスドロー、リールは勝ち点1を上積みするにとどまったのである。(続く)