第3277回 フランス勢の欧州カップ中盤戦(5) 過去4戦勝利していないACミランと対戦するパリサンジェルマン
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■昨季ベスト4のACミラン、2試合連続スコアレスドロー
チャンピオンズリーグで好スタートを切ったRCランスは中盤戦でオランダのPSVアイントホーフェンに1分1敗と負け越し、3位で終盤戦を迎えることになった。
チャンピオンズリーグにフランスからもう1チーム出場しているパリサンジェルマンは中盤戦でACミラン(イタリア)と対戦する。かつては欧州の覇権を争ったACミランであるが、1980年代半ばにオーナーとなり、クラブに栄光をもたらしたシルビオ・ベルルスコーニも2010年代半ばに退陣することになった。ベルルスコーニが去ったと機を同じくしてACミランはチャンピオンズリーグに出場できなくなる。ようやくチャンピオンズリーグに戻ってきたのは2021年のことであった。このシーズンはグループリーグで敗退したが、国内リーグでは11年ぶりに優勝、チャンピオンズリーグでも準決勝に進出した。昨季はセリエAで4位、3年連続のチャンピオンズリーグへの出場となった。ACミランはニューカッスル(イングランド)、ボルシア・ドルトムント(ドイツ)に連続してスコアレスドロー、無得点のまま中盤戦を迎える。
■初対決の1994-95シーズンのチャンピオンズリーグ準決勝はACミランが連勝
パリサンジェルマンとACミランは欧州では2回対戦したことがある。1回目は1994-95シーズンのチャンピオンズリーグの準決勝である。1980年代後半から1990年代にかけて栄華を誇ったイタリアサッカーの中のチャンピオン、ACミランであるが、1990年代に入ってからはチャンピオンズカップでフランス勢のマルセイユだけには勝てなかった。1991-92シーズンには準々決勝で敗れ、1992-93シーズンは決勝で敗れている。パルク・デ・プランスでの第1戦は両チーム無得点で迎えた後半アディショナルタイムにACミランはズボニミール・ボバンが決勝点をあげる。ミラノのサンシーロでの第2戦はACミランのデヤン・サビチェビッチに2得点を奪われ、連敗したパリサンジェルマンは決勝進出を阻まれたのである。一方、フランス勢にようやく勝利したACミランであるが、決勝でオランダのアヤックスに敗れている。
■2000-01シーズンの二次リーグは2試合ともドロー
2回目もチャンピオンズリーグ、2000-01シーズンの二次リーグで対戦した。この時はまずミラノで試合を行ったが、ACミランが先制し、パリサンジェルマンはニコラ・アネルカのゴールで引き分けた。パリでの試合、パリサンジェルマンは終盤にローラン・ロベールのゴールでリードしたが、後半アディショナルタイムに同点ゴールを許し、引き分けた。結局、二次リーグの最終順位はACミランが3位、パリサンジェルマンは4位、いずれも決勝トーナメントに進むことはできなかった。
このように過去の戦績はパリサンジェルマンの2分2敗となっているが、パリサンジェルマンが欧州カップで勝利したことのないチームの中で最も対戦歴が多いのがこのACミランなのである。
■先発メンバーにイタリア人のいないACミラン
第3節はパリサンジェルマンがパルク・デ・プランスにACミランを10月25日に迎えた。パリサンジェルマンはこの時点でリーグ3位、ニューカッスル戦の大敗からチームを立て直すべく、ルイス・エンリケ監督はメンバーを変更し、ビティーニャを先発させる。ACミランはリーグ首位の座を保ってきたが、直前のユベントスに敗れ、インテル・ミラノにその座を譲っている。ACミランはマイク・メニャン、テオ・エルナンデス、ピエール・カルル、オリビエ・ジルーと4人のフランス人が先発に名を連ねた。そしてACミランの先発メンバーには1人もイタリア人選手がおらず、これはACミランの欧州カップでの試合で初めてのことである。
両チームのGKはそれぞれ対戦チームの国の代表チームの正GK、ジャンルイジ・ドンナルンマとメニャンである。特にドンナルンマは2年前にACミランから移籍しており、古巣との対決となる。そしてテオ・エルナンデスとルカ・エルナンデスの兄弟対決も注目点である。
このように注目点の多いカードとなったのである。(続く)