第449回 リールとモナコが来季のチャンピオンズリーグへ

■チャンピオンズリーグ出場をめぐる争い

 早々とリヨンが優勝を決めてしまった今季のフランスリーグであるが、残り3節のファンの関心はチャンピオンズカップ、UEFAカップ、インタートトカップの出場チームであろう。
 まず、フランスからのチャンピオンズリーグへの出場権は上位3チーム、その中でも上位2チームは本戦へ直接出場できるが、3番目のチームは夏の予備戦から戦わなくてはならない。国内リーグのタイトルという点ではリーグ1位と2位は雲泥の差があるが、来季のチャンピオンズリーグのことを考えると2位と3位の間には大きな断層があるのである。したがって、優勝ができなくとも2位を確保するために優勝を逃したチームは死力を尽くすのである。
 さて、リヨンが地元で自力で優勝を決めた第35節が終了した段階での上位チームの成績を見てみよう。まず、1位はリヨンで勝ち点72(20勝12分3敗)、2位はリールで勝ち点は61(16勝13分6敗)、3位がモナコで勝ち点58(14勝16分5敗)、そして4位にはマルセイユで勝ち点53(15勝8分12敗)、5位はレンヌで勝ち点52(14勝10分11敗)、6位はオセールで勝ち点51(14勝9分12敗)、7位のサンテエチエンヌは勝ち点49(11勝16分8敗)となっており、ここまでのチームに来季のチャンピオンズリーグ出場のチャンスがある。

■4位マルセイユ、2月以上勝ち星から遠ざかる

 第36節は優勝をすでに決めたリヨンがボルドーを日曜日に迎え、それ以外の9試合は5月14日の土曜日に行われた。この9試合の中で1試合だけ来季のチャンピオンズリーグ出場の可能性を残すチーム同士の対戦があった。それが6位オセールと4位マルセイユの試合である。日本の読者の皆様ならばよくご存知の通り、期待を集めて招聘したフィリップ・トルシエ監督の就任以降、マルセイユは優勝どころかチャンピオンズリーグ出場も厳しくなってきた。シーズン中盤であるならば当然のごとく解任であるが、残り3試合と言うことから続投をクラブの首脳陣は決定する。相手のオセールも3位モナコとの勝ち点差は7であるが、10日のフランスカップ準決勝でニームを下して決勝進出を決めており、その勢いで同じプロバンスのチームを地元で連破したいところである。試合はオセールが一方的にボールを支配する。しかしながら、なかなかゴールを決めることができず、スコアレスドローと言う両チームにとって決して好ましくない結果に終わる。マルセイユは3月12日の第29節でランスに勝利したが、それ以降の成績は3分4敗、2か月以上勝利から見放されている。この2月で順位も2位から4位に落ちており、マルセイユ首脳陣の優柔不断な態度がファンを失望させたのである。

■リール、モナコが揃って勝利し、チャンピオンズリーグ出場権確保

 4位マルセイユが勝ち点を1しか上積みできなかったのと対照的に、2位リールと3位モナコは順当な結果を残す。リールはアウエーでナントとの対戦。カナリア軍団ナントも今季は元気なく下位を低迷、リールは敵地で開始早々に先制点、一旦は追いつかれたものの、勝ち越し点、ダメ押し点を決めて3-1と勝利する。
 そしてモナコは地元にバスティアを迎える。2部陥落の危機にあるバスティアは2分に先制点を決めて、モナコのファンはあわやと思ったが、すかさず8分にウルグアイ代表として訪日経験もあるアーネスト・チェバントンのゴールで8分に追いつく。チェバントンは前半終了間際に2点を追加し、ハットトリックを達成したところでハーフタイムとなる。後半は両チーム1点ずつ得点を挙げ、5-2というスコアでモナコが勝利した。2位のリールと3位のモナコが揃って勝利し、4位のマルセイユが引き分け、5位のレンヌも敗れたことから、これでリールとモナコが2位以内を確定し、来季のチャンピオンズリーグの出場権を確保したのである。

■残り2節は本戦直接出場をかけて2位争い

 しかし、両チームともこれでシーズンが終わったわけではない。先述したとおり、チャンピオンズリーグにリーグ2位で出場するのと、3位で出場するのには大きな差がある。リールはホームのアジャクシオ戦とアウエーのオセール戦、モナコはアウエーのボルドー戦とホームのサンテエチエンヌ戦を残している。現在、リールが勝ち点3をリードしているが、残り2節の結果によっては順位の逆転もあり、この夏のスケジュールに大きく影響があるのである。(この項、終わり)

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