第3304回 2部勢のフランスカップ(2) 2部で首位のアンジェ、ベスト32決定戦に進出
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■2部に降格したトロワ、リーグ戦でもカップ戦でも振るわず
前回の本連載では1部リーグのチーム数の減少によって不運な2部落ちとなったオセールとACアジャクシオのフランスカップでの7回戦と8回戦の戦いを紹介したが、今回はそれ以外のチームを取り上げたい。
まず、今季2部に陥落し、捲土重来を期す昨季2部19位のトロワと20位アンジェを紹介しよう。トロワはリーグ戦でも調子が出ず、16位に低迷している。2020年にシティフットボールグループの傘下となり、この効果はてきめんで2部で優勝し、2021年には1部に昇格した。ところが、1部に復帰した初年度は15位、2季目の昨年は19位となり、大資本の優位性を活かすことができなかった。そして今季も下位低迷している。今季の2部リーグは20チームで行われているが、来季は18チームに減少させるため、17位以下の4チームがナショナルリーグへ降格する。16位のトロワはこの降格の危険性とも隣り合わせである。11月から参戦するフランスカップで立て直しを図りたいところであったが、初戦となる7回戦、3部に相当するナショナル1部リーグのエピナルと対戦する。かつて2部で対戦したこともある相手であるが、この試合でも振るわず、1-2と敗退、2部残留が今季の目標となる。
■昨季1部最下位のアンジェ、2部では首位で折り返し
昨季1部で最下位のアンジェは降格した中では最も良い成績を残している。2015年から1部に在籍し、中下位で何とかとどまってきたが、昨季は勝ち点わずか18、残留圏内の16位のナントの勝ち点36の半分しか獲得できず、第33節でレンヌに敗れ早々に2部降格が決まった。今季も開幕戦で敗れ、初勝利をあげたのは8月26日の第4節とエンジンがかかるのは遅かった。しかし、そこからは白星を重ね、特にホームでは7連勝、前半戦を12勝4分3敗で勝ち点40、首位で折り返した。
フランスカップの7回戦は6部相当の地域1部リーグのウイユに2-0と勝利する。8回戦も地域1部リーグのプレッシ・ロバンソン戦も2-1と連勝してベスト32決定戦進出を決めたのである。
このように昨季2部に陥落した4チームのうち、フランスカップの7回戦と8回戦を勝ち抜いたのはオセールとアンジェの2チームであった。
■1部昇格を目指すラバルとポーも8回戦を勝ち抜く
それ以外の2部勢の戦いを紹介しよう。前半戦を3位で折り返したグルノーブルは昨年のフランスカップでは準々決勝に進出している。今年は7回戦でナショナル1部のビルフランシュ・ボージョレを2-1で下し、8回戦ではナショナル3部のシャンベリーと対戦、1-1の末、PK戦となり、4-5で競り負けてしまう。
4位のラバルはナショナル1部から2部に復帰して2季目である。前半戦では首位に立つこともあった。7回戦では地域1部リーグのプロバンに5-1と大勝、8回戦ではナショナル3部のフィルベルタンに2-1と勝利する。ラバルは1988-89シーズン以来の1部復帰とこれまで準決勝に2回進出したことのあるフランスカップでの上位進出を目指す。
5位のポーは2部に昇格して3季目である。2部昇格以来14位、10位と順位を上げてきて、次なる目標である1部昇格も夢ではない。南西部のポーはバスケットボールとラグビーのクラブはトップクラスの経験があり、サッカーもそれに続きたい。フランスカップでも7回戦でナショナル3部のショーレイ、8回戦で地域1部のクーレーヌを下してベスト32決定戦に進出した。
■昨季ベスト4のアヌシーはナショナル3部のチームに敗れる
昨年のフランスカップで2部勢として最も良い成績を残したのがアヌシーである。昨年はベスト8決定戦で2部のパリFCを下し、準々決勝ではマルセイユにPK勝ち、準決勝で優勝したトゥールーズに敗れた。今年はリーグ戦では低迷しており、前半戦は17位と降格圏内である。今季は7回戦も8回戦も3つ下のリーグにあたるナショナル3部のチームと対戦し、7回戦は勝利したが、8回戦はティオンビル・ルジタノスに敗れ、昨季に続くフランスカップでの上位進出はならなかった。(続く)