第3308回 1部勢が参戦したフランスカップ(2) ナショナルリーグのソショー、1部のロリアンを倒す
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■2部への降格のピンチにあるロリアン
前回の本連載では1部勢が参戦したフランスカップのベスト32決定戦での1部勢対戦の2カードを紹介した。いずれもPK戦で決着がつき、上位勢同士の対戦ではモナコがRCランスを、下位勢同士の対戦ではクレルモンがメッスを退け、ベスト16決定戦に進出した。
1部勢でそれ以外の14チームは下部のリーグのチームと対戦したが、今年はジャイアントキリングに遭遇したのは1チームだけであった。
それがロリアンである。1998年に初めて1部に昇格、それ以降は1部と2部を往復しているが、今季は前半戦を終えて下から2番目の17位、降格のピンチにある。フランスカップでは優勝はこれまでに1回だけ、2002年のことであるが、そのシーズンは1部では最下位の18位となり、2部に降格している。
■中国資本が失敗したソショー、経営問題でナショナルリーグに降格
そのロリアンの対戦相手はソショーである。ソショーはプジョーが作ったクラブであり、フランスリーグの黎明期に優勝を重ねただけではなく、1部在位年数も66年を数える。ただし、2014年に2部に降格してからはなかなか1部に復帰できない。成績不振とともに、長らくチームを支えてきたプジョーが2015年にチームの経営権を中国資本に譲った。名門ソショーはパリサンジェルマン、モナコに続いて外国資本の傘下になったのである。ところがカタール資本下のパリサンジェルマンのような成長曲線にのることができず、2部で下位を低迷する。2020年にはオーナーが別の中国の不動産会社に代わる。2022-23シーズンには2部で9位となったが、リーグの経営監理委員会から下部リーグへの降格を命ぜられた。ソショーはこの処分を不服としてフランスオリンピック委員会に訴えたが、認められず、3部に相当するナショナル1部で2023-24シーズンを迎えることになった。ソショーが3部相当のリーグでプレーするのは初めてのことである。
■地元資本で復活を目指すソショー
そして中国の企業も撤退、破産かと思われたが、地元の資本を集めたFCSM2028というグループが経営権を握り、かつてソショーの会長を務めたジャン・クロード・プレシスが会長の座についてチームの復活を目指すことになった。
ナショナルリーグでは前半を終えたところで5位、2部復帰は射程圏内である。2部時代のソショーはフランスカップでは7回戦、8回戦をコンスタントに勝ち抜いてきたが、今年は5回戦から参戦、格下のリーグのチームに対して4連勝し、ベスト32決定戦に進出した。
2024年を迎えたソショー、ベスト32決定戦で1部のチームとの対戦は2部復帰に向けてよい腕試しの機会である。ソショーとロリアンはこれまで1部と2部で37回対戦しており、ロリアンが15勝14分8敗と勝ち越しているが、フランスカップでの対戦は初めてのことである。下位のクラブのソショーのホームゲームであり、1月6日の土曜日、会場のオーギュスト・ボナル競技場には1万2000人を超えるファンが集まり、18時にキックオフされた。
■試合終了直前のPKを決めたソショーが1部のロリアンを下す
10月22日以来勝ち星がない不調のロリアンに対し、ソショーは立ち上がりから攻めるが、ロリアンのGKアルフレッド・ゴミスの活躍でゴールを許さない。2つ下のランクのクラブ相手に我慢の時間帯が続いたロリアンであるが、34分に左サイドを崩して上がったクロスをオーレリアン・ペロンが左足でシュートを決め、均衡を破る。その後、ソショーが得点機を2回つかむが、ゴミスの好セーブでロリアンが1点リードして折り返す。
後半に入り、69分にソショーはアレックス・ダホがシュート、ここまで攻守を続けてきたロリアンのGKゴミスは動けず、同点に追いつく。
そして90分経過し、PK戦突入は目前であった。PK戦となれば、PK戦の名手のゴミスのロリアンが有利である。ところがペナルティエリアの中でソショーの選手が倒され、PKがソショーに与えられる。キッカーはイスフ・マカルー、PK戦の名手は正しい方向に反応したが、ストップすることはできず、ソショーが2-1で勝利したのである。(続く)